お互いに相手だけが唯一家族になりうる存在だと思っていたのに、芽生にとっての京介は〝唯一〟ではなくなってしまった。それがこの感情の正体だ。 そう気付いた京介は、(俺も大概クソヤローだな)と嘆息せずにはいられなかった。 なんのことはない。芽生に誰よりも幸せになって欲しいと願う心の根っこの部分で、自分と同じように孤独な身でいて欲しいとも希っていたってことだ。(芽生が自分にゃねぇモンを得たことで、こんなにも不安になるなんてな。俺はどんだけ自分勝手な男なんだよ) もちろん相良組の面々のことだって、自分の身内のように大切に思っている。だが、構成員をもってしても、芽生ほどの存在にはなっていなかったということだ。(芽生に依存してたのは俺のほうかよ) 京介は自分の身の上を今ほど忌々しく感じたことはない。「それでね、おじいちゃん」 そんなことを一人考えていた京介に、芽生のソワソワとした、だけどどこか弾んだ声音が飛び込んできた。それと同時、不意にこちらへ視線を向けられて、「京ちゃん」と呼びかけられる。何事だろうか? 家族水入らずのところを邪魔する気なんてさらさらなかった京介は、「あ?」と努めて不機嫌そうに返事をしたのだが、そんなのお構いなし。栄蔵のベッドへ腰かけていた芽生が、そこからぴょんと飛び降りてこちらへ駆け寄ってくるのだ。「私ね、京ちゃんと……この人と結婚しようと思っているのっ」 グイッと芽生に腕を引かれてにっこり微笑まれた京介は、思わずフリーズしてしまう。 芽生の言葉は正に青天の霹靂。まさかこのタイミングで芽生の方から婚姻の件を切り出されるとは思っていなかった京介は、思わず「はぁ!?」と素っ頓狂な声を上げてしまった。*** 孫娘は最初こそしどろもどろではあったけれど、今日一日あっ
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