(あ、でも京ちゃん、今、特注って言った……? それって京ちゃんが私のためだけに手配してくれた指輪ってことだよね? だとしたら、すっごくすっごく嬉しい!) そんなアレコレを考えて、芽生がすぐさま肯定しなかったからだろう。京介がどこか決まり悪そうな顔をして「あー、やっぱ転用は嫌だよな? すまん。婚約指輪はちゃんと別のを手配するから……今のは忘れろ」とか言い出すから、芽生は慌ててフルフルと首を横に振った。「ヤダ! 忘れない! 私、京ちゃんが私のために特注してくれた指輪、婚約指輪にしたい!」 どんなデザインの指輪かは分からない。 でも、京介が自分のためを思って注文してくれた。それだけで、芽生にとってその指輪は特別な価値を持つ、唯一無二になる。 芽生の言葉に京介が「分かった」と言ってくれて、芽生は心の底からホッとした。 京介が女性店員に引換証のようなものを渡すと、彼女は「相良さま、無事仕上がっております。少々お待ちくださいませ」と恭しく一礼する。 芽生が京介のすぐ横。奥の方へ入っていく女性の後ろ姿を眺めていたら、京介がボソリと「その、俺が勝手に選んだモンだし……その、気に入らなかったらそう言ってくれて全然構わねえから」とつぶやいた。 その言い方がなんだか芽生の反応を恐れているように見えて、芽生は京介には申し訳ないけれど、そんな彼のことを可愛い! と思ってしまった。 京介は基本余裕綽々な態度を貫く大人の男だ。だけど、時折こんな風に自信なさげにすることがあるのだと知って、芽生は何だかすごく嬉しくなった。もしも、それが自分だけに見せられるものだとしたら、これほど幸せなことはない。「京ちゃんが選んでくれたの、私が気に入らないわけないじゃない!」 ギュッとそんな京介の手を握って下から彼の顔を見上げたら、すぐさまそっぽを向かれて「バーカ」と吐き捨てられる。(なんて素直じゃないの!) このところのアレコレで、京介は照れさせるとそういう可愛くない態度を取ることを頭では理
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