もみじが長机の前に座ると、髙野辺が口を開いた。 「……玖渡川 もみじさん。この度はTK株式会社及び髙守株式会社が協賛しているデザインコンテストへのご応募、ありがとうございます。今回、このコンテストに応募されようと思ったきっかけはございますか?」 髙野辺は、常と変わらない柔らかな笑みと口調で、もみじに話しかけてくれる。 もみじは緊張感に速まっていた心臓の音が、髙野辺の落ち着いた声音で幾らか落ち着いたように感じ、髙野辺の質問に答えるために口を開いた。 「はい、私がコンテストに応募させていただいたきっかけは──」 もみじは、自分がどのような気持ちや覚悟を持ってこのコンテストに応募したのか。 そして、デザインを通じてどんな事を世間に伝えたいか。 それを話した。 話を進めて行くにつれて、熱が入ってしまいとても熱弁してしまったように感じ、もみじははっとして口を噤む。 「──もっ、申し訳ございません!長々と喋ってしまい……っ」 羞恥により、顔を赤くしながらもみじは俯く。 すると、もみじの話を聞いていた髙野辺が柔らかく微笑みながら答えた。 「とんでもございません。玖渡川さんのデザインに対するお気持ち、とても伝わりましたよ」 「ええ、ええ。本当に。玖渡川さんの応募してくださったデザインもとても素晴らしいものです」 「デザインにこれだけの情熱を込めているからこそ、玖渡川さんの応募されたデザインは目を引くのでしょうね」 髙野辺のみならず、その場に参加している重役達はみな笑顔を見せ、もみじに言葉をかけてくれる。 最後に髙野辺はもみじを真っ直ぐ見つめ、口を開いた。 「──本日は、ありがとうございました。最終選考の結果は明後日に」 「──こ、こちらこそ!ありがとうございました!」 面談終了の合図だ。 もみじは椅子から立ち上がると、深々と頭を下げて自分の席に戻った。 (た、沢山お話を出来た……!凄く充実した面談だった……。髙野辺さんのデザインに関する知識量も凄いし……、とても楽しかった……!) もみじが頬を紅潮させ、ほくほくとやり切った顔で椅子に戻る。 すると、明るい表情のもみじに見蕩れるように隣の金髪の男性──坂崎がもみじをじっと見つめていた。 ◇ 「では、本日は御足労いただきありがとうございました。明後日の結果をお待ちください」 最終選
Last Updated : 2026-05-12 Read more