カツカツ、とヒールの音を響かせ、もみじが壇上に現れると、会場に居た来場者は息を呑んだ。 煌びやかなスポットライトに照らされたもみじは、その煌めきにも負けない程の輝きを放っている。 来場者達はみな、壇上に現れたもみじの美しさに魅了され、ほうっと感嘆のため息を零した。 「おめでとうございます、玖渡川さん。今後、我が社で一緒に働ける事を楽しみにしています」 「ありがとうございます。御社のお力に少しでも役に立てれれば幸いです」 髙野辺からトロフィーを受け取り、握手を求められる。 もみじと髙野辺はにこやかに笑顔を交わし、固く握手をした。 その場面を、会場にいた報道陣がここぞとばかりに撮る。 沢山のフラッシュに包まれたもみじと髙野辺を、唖然と見つめる男が1人。 「──は?あれ、は……もみじ……?」 「え……なんで、お姉ちゃんが……」 唖然とする男──それは、誠司だ。 そして、誠司と同じく目を見開き、ぽかんと口を開ける胡桃。 その2人を、少し後ろから怪訝そうに見つめる秘書──中野。 中野は、もみじを見て、そして唖然としている前の2人を見つめた。 (──もみじ?それに、お姉ちゃん……?もしかして、あの壇上にいる女性が社長の奥様……?あんなに綺麗な女性が奥さんだったの?胡桃より全然綺麗じゃない) 自分でも、あんな綺麗な女性には敵わない、と中野はあっさりと負けを認めた。 それに、こんなに大きなコンテストで金賞を受賞しているのだ。 デザインの才能も、全く自分では敵わない。 (奥様が優秀過ぎるから、社長は嫌なのかしらね……?なら、馬鹿な女、か弱い女が好きなのね。だから社長は胡桃と不倫したんだわ) ふうん、と中野は鼻を鳴らした。 中野がそんな事を考えている間、誠司の頭の中はパニックに陥っていた。 (なんで、どうしてもみじが……?それに、玖渡川って……。もみじの祖父母の苗字だろう。確か、死んだ実母の苗字……どうして新島を名乗らない……!?) 顔を真っ青にしている誠司の横で、胡桃は悔しげに爪を噛んだ。 (なんでもみじが……っ、どうして私より目立つ場所にいるのよ……!しかも、どうしてあんな女があれだけ格好いい男の人達に囲まれているの!?ずるいっ、ずるいわ!あの女には分不相応だわ!あの男達も、デザインコンテストの受賞だって、私の方が相応しいのに……
Last Updated : 2026-05-24 Read more