「皆さん面と向かっては仰らないでしょうけど、東雲家の令嬢は共に成人を祝ってくれる友人の一人もいないんだわって思われますわよ。」「そうかしら?それで、何のご用でさっきからここに居座っていらっしゃるの?」「意地を張るのもおやめになったら。どうせ私達の衣装も準備されているのでしょう?」「そうよ。一言、“お願いします”って頭を下げてくださったらいいのよ。そしたら私達、今までの事は水に流してまた一緒に活動して差し上げてもいいのよ。」「今日だって一緒に〈目覚め〉を演奏してあげるわよ。音楽教室の先生方とお約束なさっているのでしょう?今日こそ全曲披露するって。今あの曲を演奏できるのは私達だけなのだから。」終始上から目線で話し掛けてくる彼女達に、彩愛が尋ねた。「不思議なのだけど、聞いてもいいかしら。」「何かしら?」「大学のコンサートで一緒に演奏なさった方ってどなた?何処でお知り合いになられたの?」彩愛の問いかけに、彼女達は呆れたように笑った。「何を惚けていらっしゃるの?彼女はあなたと同じ音楽教室の、非常勤講師じゃない。練習でスタジオを借りる時に何度か会ううちに話しかけてくれたのよ。それで初めて知ったのよ。あなたが彼女から曲を奪ったって。」「彼女がレッスンで使っていたら、いい曲だから自分も使わせて欲しいって。なのに払うと言った使用料も支払わず、それどころか教室からの使用料は独り占めしているって仰っていたわ。」彩愛は呆れて言葉が出なかった。しかし、何とか一言を絞り出した。「そのお話はどなたからお聞聞きになったの?」「宗像(むなかた)楓華さん御本人に決まっているでしょう。いつまで惚ける気?」ドアの外で話を聞いていた凛華は、耳を疑った。「宗像……楓華?まさか……。」凛華が呆然としている間に、話は続いた。「彼女はとても優秀な方よ。まだ18歳なのに飛び級で今年の4月から医学部の3年生に進むらしいわよ。」「そう。聞かせてくれてありがとう。せっかくだけど、あなた達にお願いする事はもう何もないわ。すぐに帰ってくださる?」女性達は彩愛がまだ強がっていると思ったのか、本気にせずに、しつこく催促してくる。「もうあまり時間もないのよ。強がりはやめて早く頭を下げなさい。」「言葉が分からない?あなたたちとは11月の末で縁が切れているの。それもあなた達からの希望で。だか
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