来客時は相手によって外出時のイメージを保つように心がけていたのだが、今日はマリアたちとの話に気持ちが集中してしまい、つい、いつもの姿で出迎えてしまった。「正式にロックスマン家の一員になったのは一年ほど前からなんです。服装は、母の影響からの習慣ですね。だから気にしないでください。本題の話をしましょう。」「そ、そうね。私の事なんかより凛華の事の方がよっぽど興味深いけど……。また今度にするわ。」心なしか幾分元気を取り戻したマリアは、彼との関係から話始めた。彼の名はステンと言う。父の会社の共同経営者の次男だ。マリアの父は友人であるステンの父とファション関係の会社を立ち上げ成功した。その後服飾からアクセサリーや小物へと事業を拡大していき、今ではそれなりの人気ブランドとしての地位を築いている。ステンはマリアより4つ年上の18歳で、小さい頃から家族ぐるみの付き合いだった。上に姉しかいなかったマリアはステンとその兄を実の兄のように慕っていた。特にステンは何かに付けマリアに気を配り、「マリアは僕がずっと守ってあげるからね。学校でもどこでも誰にも君を傷付けさせたりしないよ。」と言っていつも側にいてくれた。そんな彼に、マリアも成長するにつれ淡い恋心を抱くようになっていった。ステンも、「マリアがもう少し大人になったら、僕たちちゃんとした恋人同士になろうね。」と言っていたのだ。ところが、彼は2年ほど前から友人達の影響もあり同級生の女の子たちと親しく過ごすことが増えてきた。数人の仲間たちと頻繁に遊びに出かけたり、食事に行ったりするようになり、その内に特定の女の子と特に親しくなる事もあった。マリアが気にして、「ステン兄さん、恋人が出来たの?」と聞くと、彼は決まって、「違うよ。彼女はただの友達だよ。僕はマリアがもう少し大人になるまで恋人は作らない。」と答えた。その言葉の通り、特に親しくする子は度々変わっていき、長く続くことはなかった。付き合い方も一線を越えることは決してなかった。マリアは彼の言葉を信じて彼への想いを募らせていった。この春、職業体験実習として調香師を選んだのは、将来父達の会社で役に立つ力を身に付けたかったからだ。そして、ステンとの絆になるような香りを身に着けたかったからでもある。幸い、オードパルファムを作る機会を得てそれなりの物を創るこ
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