メイブリットは、慌ててナースコールを押して看護師に助けを求めた。夜勤明けで家に帰り、食事をした後眠っていた凛華は、携帯の着信音で起こされた。誰からの連絡かも確かめずに、まだぼうっとした頭で答えた。「はい、若桜です。」「凛華、大変だ。今すぐSNSを見ろ。」電話はロルフからだった。訳が分からず取り敢えず開いて見ると、トレンドの中に“詐欺師研修医”と言う言葉があった。嫌な予感がして見てみると、顔までははっきりしないが明らかに自分であると分かる写真が載っていた。「ロルフさん、これ何ですか?」「こっちが聞きたい。お前何やったんだ。病院に苦情の電話やメールが来てるらしいぞ。」「わかりません。詳しく見て後で連絡します。」凛華は一旦通話を切って、改めて詳しく見てみた。どうやらあのポーチが原因らしい。自分がマキ・フカサワの贋作でお小遣い稼ぎを目論んだと言うことになっている。しかも、大学病院の研修医と言う身元まで特定されている。なぜこんなことに。呆然としているうちに、問題の投稿やそれにまつわるコメントの山はあっと言う間に消えていった。あっ、誰かが気づいたんだ。誰だろう。マリアさんかな。お父さんかな。後者だったらちょっと怖い。その時の凛華は検討外れの心配しか浮かばなかった。メイブリットが投稿を削除した後、その地点でのコメントを削除させたのはマリアだった。気づいたのが早かった為、炎上までにはなっていなかった。これで何とか収まるかと皆が思った。が、甘かった。マキ・フカサワと【AKOGARE】への注目度がそれを許さなかった。暫くして、ポーチの画像を保存していたらしい誰かがコメントと共に新たな投稿をした。おそらく、どちらかの熱心なファンなのだろう。『私達の大切なキャラクターを汚す行為は許せない!』『勇気ある告発を揉み消すとは卑劣!』『そうだ!断固糾弾して断罪すべき!』と言う過激な声をあげ始めた。こうなっては仕方ない。マリアは正式なコメントを出さざるを得なくなった。『我が社のキャラクターの刺繍入りポーチについて。これは次期キャンペーンの為の試作品です。デザインは、マキ・フカサワさんによるオリジナルに間違いありません。偶然目にした人物が、誤解をして勝手に投稿したに過ぎません。非難を受けている人物は無関係です。どうかこれ以上のコメントはご自重くだ
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