「それ、女よ!」その日、仕事終わりに秘書課の小川さんと経理の安川さんに誘われて、ご飯に行ったときのことだった。「女って……お姉さんだから、女性ですよ?」と答えた私に、安川さんと小川さんが同時にコケる仕草をした。「違うわよ! 浮気しているのか、こずえが浮気相手なのか分からないけど、もう一人女がいるのよ!」テーブルを叩き、怒り心頭の小川さん。「待って、ひーちゃん。それは早計すぎるよ」小川さんを宥める安川さん。「で、こずえ的にはどう思うの?」肩で息をしながら、小川さんにそう聞かれた。「私は……れ、彼を信じたいです」そう答えた。「ただ……夜のアレだけの関係みたいになってて、ちょっと嫌かな……とは思ってて」えへへっと笑いながら、重くならないように話したつもりだった。……そう、つもりだったんです。しかしその瞬間、二人の目が同時に据わった。「はぁ? 絶倫ヤバ雄、デートしないくせにやることやってんの?」「はぁ? 絶倫ヤバ雄のくせに、うちらの木野ちゃんをなんだと思ってるの?」二人の顔が……怖いです。実際、実家に帰るようになってから、麗さんが私にひっつく頻度は上がっていて。最近、ソファーに一人でゆっくり座った記憶がない。必ず麗さんの前に座らされて、バックハグされた状態でソファーに座っています。夜も……実家から帰ってきてからは激しいと言いますか……何度か本気で殺されるんじゃないかと思いました。麗さんにとって、私に触れることが精神安定剤代わりだと分かっているものの、やっぱり普通に過ごす時間も欲しいんですよね。「はぁ……」一つ溜め息をつくと、「あ! ごめん。一番傷付いてるのは、こずえなのに……」私の溜め息をどう受け取ったのか、安川さんと、怒涛の絶倫ヤバ雄クレームを言いまくっていた小川さんが、私の顔を見て呟いた。「木
Last Updated : 2026-03-15 Read more