All Chapters of 腐女子の私、推しカプのはずの美人上司に抱き枕認定されました。: Chapter 21 - Chapter 30

52 Chapters

第二十一話:ちょっとだけ、私の話

鳩村課長と野宮部長は頭を抱え、それはもう……深くて長~い溜め息をついた。 「?」首を傾げる私に 「貴生……僕は人生で初めて、きみに同情したよ」そう呟いた。そして、どうやら私が妄想に耽っている間に、三人で寝ることになったらしい。野宮部長はナイトウェアに着替えに、一旦、退室。鳩村課長は私に 「良い?僕が眠ってしまった後、貴生に何かされそうになったら、遠慮なく僕を起こして良いからね」と、何故か念を押された。 「はぁ……?」首を傾げる私に、鳩村課長は深い溜め息をついてから 「……木野さんは、好きな人とかいないの?」そう呟いた。 「好きな人……ですか。私はこんな感じなので、男の人に好かれないですから」ヘラッと笑う私に、鳩村課長が首を傾げた。 「こんな感じって……前にも言ったけど、木野さんは可愛いよ?」真顔で言われて、一瞬ウルッとしてしまう。そんな私に気付いたのか、鳩村課長が私の頭を優しく撫でると 「なんでそんなに自己評価が低いのかは分からないけど、仕事は真面目だし、いつもニコニコしていて愛嬌がある。気難しい経理部の村中課長だって、木野さんの事を可愛いって言っていたよ」そう言われて、私は笑顔を作り 「小野君がお昼休みに言っていた言葉……、あれ、初めてじゃないんです」と答えた。 「え?……あいつ、日常的に言ってたのか!」怒り出した鳩村課長に 「違うんです! 私、女子校に行ったのは……小学校の時、男子にデブスって言われて、虐められてたんですよね。それで、毎日、泣いて帰って来る私を見兼ねて、両親が私立の女子校に入れてくれたんです」そう言って小さく笑った。 「木野さん……」 「だから、今でもちょっと男の人が苦手で……」えへへって笑いながら呟いた瞬間、鳩村課長がふわりと優しく抱き締めて 「木野さん、無理に笑わなくて良いんだよ。木野さんの魅力に気付かないバカ共は無視だよ、無視。少なくとも、僕も貴生も……木野さんは可愛いと思っているよ」こんな言葉を推しに言われた
last updateLast Updated : 2026-02-14
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第二十二話:私、推しカップルの美人上司に抱き枕にされました。

「はい、じゃあ……おやすみ」 「おやすみなさい」 「おやすみ」左から野宮部長、私、鳩村課長でベッドに入った。この間は気付かなかったけど……、三人で寝ても余裕な広さ。このベッド、Wより上の大きさよね。そう考えていると、野宮部長の手が私の手を握り締めてきた。(しかも、恋人つなぎ!)驚いて野宮部長の方に顔を向けると、めっちゃ色気全開の表情で私を見ているじゃない! ──なに?なにが起こってるの?そう思っていると、野宮部長が握り締めている私の手の甲にキスして来た 「は、は、鳩村課長ぉ~」涙声でヘルプした瞬間、ムクッと鳩村課長が起き上がり 「た~か~お~!電気消して、秒でなにしてるんだよ!」 「私、鳩村課長の隣に行きます!」真ん中から逃避行しようとした私の腰を、野宮部長がガッチリホールドして離さない。 「木野、お前……麗の部屋の壁になりたかったんだよな?今、まさに夢が叶ってるじゃねぇか」 「私がなりたかった壁は、二人を隔てる壁じゃありません!」そう言って、私は鳩村課長に抱き着いた。 「ち……ちょっと、木野さん。抱き着かないで!」慌てる鳩村課長。 「嫌です!鳩村課長~」半泣きの私、必死に鳩村課長に抱き着くと…………鳩村課長の身体に違和感が……。驚いて見上げた鳩村課長は、頭を抱えて溜め息をつくと 「木野さん、あまり胸を押し付けないでくれる? 僕、一応……男だからさ」そう言われて、多分……頬を赤らめているのだろう。漏れ出る色気が、薄暗い部屋でもわかるもの。その時、私は受け様とか関係なく、鳩村課長は“男性”なんだと……頭だけじゃなく、体で理解してしまって──申し訳なくなった。 「ひゃあ!ごめんなさい」慌てて離れた瞬間、ホールドされていた部長側に倒れ込んでしまった。 「きゃあ!」 「うわぁ!」部長を押し倒したみたいな体制になってしまう。そ
last updateLast Updated : 2026-02-15
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第二十三話:抱き枕生活

あれから1ヶ月が経過しました。私への呼び方や、私のお二人の呼び方に変化がありました。「こずえちゃん、これ運んでくれる?」「分かりました!」私が置かれた煮物の入った器をテーブルに運ぼうとすると「ちょっと待って!はい、あ~ん」菜箸に挟まれたサラダをパクリ。「うわっ!美味しいです!マヨとヨーグルト。白胡麻の塩梅が最高です」親指を立てて答えると「本当に?味、薄くない?」そう言われて 「全然です!めちゃくちゃ美味しいです」と答えると、鳩村課長がふわりと微笑み 「良かった~。じゃあ、それ置いたらこれも運んでね」と言われ、私は頷いた。すると、まるで昭和のオヤジの如く、どっしりと座ってテレビを占領している野宮部長が 「こずえ~!麗とばっかりイチャイチャしてないで、俺の相手もしろ!」 と叫んだ。「イチャイチャって……。だったら、たかぴょんも手伝ったらどうですか?」 「たかぴょんって……」苦笑いする野宮部長ですが、満更では無さそうです。さて、どうしてこんな生活をしているかと言うと──なのですが……あの日、鳩村課長は睡眠薬なしで爆睡出来たらしく、会議ではキレッキレのプレゼンを展開したんだとか。そしてその日の夜、お礼と称した食事会で 「木野さん、この通り! しばらく我が家で一緒に暮らしてくれないか?」と、手を合わせてお願いされてしまったのだ。 「え?えぇっ!」驚く私に「睡眠薬なしで朝まで爆睡って、本当に久しぶりで……。迷惑なのはわかる。でも、人助けだと思って……」合わせた手の間から、様子を伺うように私をチラ見する白鳩姫。その愛らしさよ……。こんな風に頼まれて、断れる人間はいるのだろうか?否、全人類探しても、何処にもいないだろう!(ん?なんかこの言葉、デジャブ感が……)「三食付き、家賃不要。ただし、僕の抱き枕なんだけど……」きゃるるんとした目で、プルプル震えた子犬のように私を見つめている。
last updateLast Updated : 2026-02-16
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第二十四話:同居生活と決まりごと

まぁ……そんな事もあり、私の両親から同居を許可されたわけです。そして、しごできな二人は、私の気持ちが変わる前に……と、さっさと引越しセンターさんの楽々パックに私の引越しを依頼し、挨拶を済ませた翌日には鳩村課長の部屋で暮らすことになりました。暮らすにあたり、色々とルールを決めようという話になりました。私の部屋は課長の寝室の反対側で、施錠出来るようになっているのです。課長が単身出張の時、野宮部長が自由に出入り出来るこの部屋は危険だと、鍵付きの部屋を用意してくれました。まず、野宮部長には、お試しお泊まり会みたいな事はしないと約束させました。じゃないと、鳩村課長の寝室は出禁です!(ちなみに私の部屋は、最初から出禁でした。※鳩村課長が決めました)そして、三人で話し合った結果──決まった共通ルールが、こちら。①社内ではバレないように、今まで通り接する。②帰宅したら、役職名で呼ばない。③木野こずえの部屋は、男子禁制。④特別な関係になった時は、必ず報告する。⑤木野こずえに好きな人が出来たら、この生活は終了する。①と②以外は、鳩村課長が決めたことだったんだけど……。④と⑤はありえないんだけどなぁ~と首を傾げたが、鳩村課長がそっと私の頭を撫でて 「未来は誰にも予想出来ないんだから、絶対なんてないんだよ」 と言われてしまった。それで、②を強く言い出したのが、野宮部長だ。「帰宅して、役職名で呼ばれると萎える」と言われた。それで、どう呼ぼうか?となった時、私と鳩村課長は「こずえちゃん」「麗さん」ですんなりと決定。問題が、野宮部長だった。野宮部長はいきなり「こずえ」だったけど、野宮部長から「こずえちゃん」呼びされたら逆に怖いからね……。それはそれで良かったんだけど、問題は私の呼び方だった。私は「貴生さん」で良いんじゃないかと提案したら 「さん付けは止めろ!」 と言われ、さすがに「貴生」とは呼べないと言ったら 「何故呼べない?むしろ、
last updateLast Updated : 2026-02-17
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第二十五話:白鳩ママと黒鷹パパ

そこで、私は苦し紛れに、絶対呼ばれたくないであろう呼び名を口にしてやったのです。 「じゃあ、た~くんとか貴ちゃんとかになりますが?」 と……。 その瞬間、野宮部長は絶句したが、『ぶはっ』と吹き出して笑うと「それで構わないが?」なんて答えたのだ……。逆に私が唖然となると、楽しそうに「じゃあ、お互いが気に入る呼び名が決まるまで、好きに呼んでくれ」と言われてしまい、今日は苦し紛れの『たかぴょん』だったわけだ。 部長は日替わりで、なんと呼ばれるのか楽しみにしているみたいで、まぁ……私も何だかんだ部長の呼び名を考えて野宮部長の反応を見るのが楽しくなってきたんだけどね。料理を並べ終わり、三人で食卓を囲む。鳩村課長が汁物を配り終え、席に着いたのを合図に「いただきます」三人で手を合わせ、食事を始める。私の中では、黒鷹パパに白鳩ママという……子育てBLの子供になった気分です。どんなに遅くなっても、三人が揃ってから食べるのが暗黙のルールになっているのも面白かった。そんな中、鳩村課長が遅くなった時があり、私がカレーを作って出したら、何故か感動された。「たまに、人が作る料理が食べたくなるんだよね」なんて、可愛いことを仰っておりました。野宮部長も、家庭的な料理が珍しかったのか、「旨い、旨い」と言って、お代わりまでしてくれました。私は、作る喜びをこの時に知ったのです。なので、土日祝の時間のある時に、鳩村課長に料理を教わるようにもなりました。鳩村課長の教え方は優しくて「こずえちゃん、素材を切る時はにゃんこの手ね」なんて、知ってても、白鳩ママからの『にゃんこの手』を頂けて、もう幸せです。しかも、面白い変化が起こり始めたのですが、最近、私と鳩村課長で料理していると、何故か黒鷹パパが配膳してくれるんですよ!それには、白鳩ママもびっくりしていた。味見をしている時、私と白鳩ママの間から顔を出し 「あ~ん」と、無言の俺も混ぜろ攻撃が時々うざいですが、食べさせてあげるとご機嫌になるので、仕方ないから
last updateLast Updated : 2026-02-18
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第二十六話:黒鷹パパとデート?

「こずえ、出掛けるぞ」鳩村課長を玄関でお見送りした後、突然、野宮部長が言い出した。 「え?た~ぼ~も出掛けるんですか?」と首を傾げると 「こずえ、聞いてたか?お前と出掛けるんだよ」そう言って、私の鼻をつまんだ。 「それから……、外に出たら『貴生』と呼べ」と言われ 「えぇっ!いきなりハードル高いです!」と返す。すると私の頭を撫でながら 「さん付けでも良いから。分かったか?」優しく言われ、調子が狂う。 「分かりました」頷いてから 「じゃ、行くぞ」と腕を掴まれ 「待って下さい!た……貴生さんは、外出しても大丈夫な普段着ですが、私、スウェット上下なので……」慌てて叫ぶと、野宮部長は 「別に構わないが?」などと言ってきた。 「いやいや、私が困るので!すぐ着替えるので、待っていてもらえますか?」と言うと、野宮部長は小さく笑い 「分かった」そう言って頷いた。 私は部屋に戻り、自分の持っている服の中で一番良いワンピースに着替えた。 「お待たせしました」部屋から出ると、着替えに行っていたらしく、野宮部長も先程とは違う普段着だった。先程までは、ダブっとしたトレーナーにグレーの綿パンだったのに、今、タイトなTシャツに黒いアウターを羽織り、黒い細身のパンツになっている。タイトなTシャツをきていると、ガッシリと鍛えられた体躯がわかる。しかも、モデルさんみたいでカッコイイ!思わず見蕩れていると 「準備出来たか?」ニヤリと笑い、歩き出した。 「何処に行くんですか?」野宮部長の後ろに着いて歩いて行くと、エレベーターで地下駐車場に到着。前に乗せて頂いた車が停まっている方へと私が歩き出すと 「こずえ、何処に行く?」そう言って、真っ赤なフェラーリの方へ向かって行くじゃない。 「あの……部長、私、車高の低い車は苦手なんです」そう言うと、野宮部長は唖然とした顔をした後、深い溜め息をついて 「麗の言う
last updateLast Updated : 2026-02-19
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第二十七話:デートの筈が……置き去り?

車で走ること数十分。郊外の高級そうな建物に滑り込んだ。 「いらっしゃいませ、野宮様」 綺麗な女性がズラリと並び、お出迎えです。 「彼女を綺麗にしてくれるかな?」まるで映画のワンシーンみたいなことを言って、野宮部長が私の方にチラリと視線を向けた。 「かしこまりました」多分、責任者なんだろうな?という人が頭を下げると 「じゃあ、俺は二時間後に迎えにくるからな」そう言って、私の頭をなでなでして去って行った。 (え?いきなり置き去りですか?)戸惑う私に、責任者っぽい女性が微笑みながら声を掛ける。 「野宮様のお連れ様、失礼ですがお名前は?」 「あ、はい!木野こずえです!」思わず大声で返事をしてしまった。すると品の良い女性は、ふわりと笑い 「元気にお答え頂き、ありがとうございます」と答えた。 (うっわ~!すっごい美人!) 今更ながらビビっていると、ふと名札が目に入った。 『野宮』 (まさか……)一瞬そう思ったけれど、あんなに他人行儀なんだから、偶然よね?と自分を納得させる。 「さぁ、皆さん。木野様を素敵なレディにしますよ」責任者らしき人が手を叩くと、一斉に 「はい!」と声が響いた。最初に受けたのは、温かいマットに包まれて身体を温めた後、ゴリゴリと身体中をほぐされる施術だった。 「痛い!痛い痛い痛い!」室内に、私の悲鳴が響き渡る。 (え?映画とかだと、めっちゃ優雅なエステじゃない?もしかして……私、野宮部長に虐めを受けてる?)地獄のような時間が終わると、今度は顔だった。 「ぎゃー!痛い、痛い、痛い!」あんなに優しかった責任者っぽい女性が 「我慢です!美への一歩は、我慢からです!」と断言
last updateLast Updated : 2026-02-20
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第二十八話:似たもの親子

高級そうなワンピースに袖を通し、 「ん?」 思わず声が出た。いつもならムチムチなウエストラインが、心なしか余裕がある。サイズを確認すると、間違いなくいつも着ているサイズだった。高級品って、ゆったりめに作られているのかな?そう思いながら、鏡のあるヘアメイクの部屋に通された。 「ん?」鏡に映る自分の顔に違和感がある。じっと見つめて首を傾げていると、 「木野様、どうされました?」ヘアメイク担当の女性に声を掛けられた。 「あの……自分の顔に違和感が……」そう言った直後、 「あぁっ!二重顎が無くなってる!」と叫んでしまった。 「麗子さんの施術を受けたんですもの、当然ですよ」微笑まれて、 「レ……レイコさん?」と首を傾げる。 「はい! 美のカリスマと呼ばれている、野宮麗子さんです! 麗子さんの手に掛かれば、この世からデブは消えます!」 「はぁ……」唖然とする私に、追い打ちがかかる。 「ただ、麗子さんの施術は一回五万円。予約待ち二年以上ですけどね」 「ご……ごごご五万?」私は本気で椅子から転げ落ちそうになった。 「あ、施術だけですよ?」ケロッと返され、 「あの……私の今受けているこれは……」 震えながら尋ねると、にっこりと笑顔だけが返ってくる。 (どうしよう……お金。私、払えるかなぁ?)真っ青になっている間に、気付けばメイクも完了し、可愛らしいお嬢様に変身していた。 「お疲れ様でした」通された部屋では、野宮部長がお茶を飲みながら寛いでいる。 「まぁ、木野様。可愛らしい」私を変身させた張本人、野宮麗子様が微笑んだ。一方の野宮部長は、口を開けたまま固まっている。
last updateLast Updated : 2026-02-21
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第二十九話:デート

「さぁ! 私なんかと時間を無駄にしている暇、ないでしょう!」野宮麗子様はそう言うと、私と野宮部長の背中を押した。私と部長は顔を見合わせ「さ、行こうか」そう言って、部長が手を差し出した。おずおずと手を伸ばすと、その手を少し強引に引かれた。「それから、こずえ。お前、さっきから『野宮部長』って呼んでるぞ」「あ……」思わず両手で口を覆うと、部長が小さく笑う。「まぁ……今は、こずえが可愛いからいいか。でも、この後『野宮部長』って呼んだら、俺の頬にキスな」「えぇっ!?」「こずえが呼ばなきゃいいだけだろ?」子供みたいに笑う部長にエスコートされ、車へ向かう。「こずえちゃん、あなた可愛いわよ。自信持ちなさい」車に乗り込む寸前、麗子様にそう言われてポカンとする。「ほら、猫背になってるわよ!」肩を張る仕草をされ、慌てて背筋を伸ばした。「こずえちゃん、またね」笑顔で手を振られ、私は深くお辞儀をした。車に乗り込むと、部長が苦笑いする。「こずえ、あの気難しいババアに気に入られるなんて、さすがだな」「え? 麗子様ですか?」「なんだよ、その“様”は」「美のカリスマ、野宮麗子様なんですよね?」羨望の眼差しで言うと、部長が呆れたように笑った。「あぁ、従業員に聞いたのか?」「はい! 今日、私をこんなに綺麗にして下さったのは、麗子様の魔法です!」両手を胸の前で祈るように握ると、「こずえは、元から可愛いよ」と、運転しながらさらりと言われた。いつもなら冗談で返せるのに、今日はやけに胸がドキドキしてうるさい。水族館に連れて行かれ、その後は夜景の見えるお洒落なレストランで食事。まるでお姫様みたいな扱いに、足元がふわふわしていた。車は途中、小高い夜景の綺麗な場所で止まった。二人で降り、並ん
last updateLast Updated : 2026-02-22
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第三十話:私は壁です!

朝。清々しい一日の始まり……の、はずでした。 「こずえ、おはよう」鳩村課長と朝食の準備をしていると、背後から野宮部長が現れ、頬にキスをしてきた。 「……おはようございます」皆様。私のような壁ごときが、このようなファンサを受けてお怒りでしょう。分かります。えぇ、分かります。私も同意見です。ですが、こうしないと野宮部長と鳩村課長の仲が険悪になるのです。致し方なく。あ、誤解なきよう申し上げますと、“野宮部長の頬キスを許可せざるを得ない状況”が致し方なく、です。 「こずえ、俺には?」顔を寄せてくる部長の顔面を、ワシッと鳩村課長が掴んだ。 「お前からの頬キスは百歩譲って許した。だが、こずえちゃんからのキスは許可していない!」 「あ? 女顔で油断させて、可愛いこずえのファーストキスを奪ったくせに、何を偉そうに」 「だから百歩譲ったと言っているだろう!」あぁ……また、始まりました。あのデートの日。私のファーストキスを麗さんが奪って以来、野宮部長はずっと大激怒中です。掴みかかり、殴り合いになりそうな勢いでした。そこで私が叫んだのです。 「喧嘩したら、二人のこと嫌いになります!」すると、ぴたりと止まりました。これが……“妹属性砲”の威力というやつですかね。お試しで言ってみたのですが……効果てきめんです。妹属性、恐るべし。しかし問題はその後。 「だったら俺にもキスさせろ!」と部長が言い出したのです。 「はぁ?嫌ですよ。突発事故でファーストキス奪われたんですよ?二度目は好きな人とします」そう言った瞬間。 「ファーストキス……だったの?」青ざめる鳩村課長と 「お前、俺のこと好きじゃねぇのかよ!」と怒る野宮部長。なんなんでしょう?ここ、怒るの私ですよね?と、思っていると、落ち込む鳩村課長に、なぜか部長が追い打ちをかける。
last updateLast Updated : 2026-02-23
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