こうして今日のメインイベントである茶話会が和やかに始まった。 あたしはコーヒーにスティックシュガーを二本とミルクを入れて、絵美さんはミルクティーを選んだ。お菓子は史絵さんお手製のクッキーとカップケーキを頂くことにした。 「――ではみなさん、今日は初参加の由衣さんもいることですし、みなさんから簡単に自己紹介をしてもらいたいと思います。できれば、恋人やパートナーさんからどんな被害を受けているのかも話して差し上げて下さい」 史絵さんからの提案で、あたしは絵美さんを含む他の参加者たちの自己紹介とともに、壮絶なDV被害の体験談の数々を耳にすることとなった。 看護師をしている絵美さんを始めとして、ここにいる人たちは年齢も職業もバラバラだ。大学生もいれば既婚者もいる。でも、みんなに共通して言えることは、別れたくても様々な事情ですぐには恋人、もしくはパートナーさんと別れられないという点だった。 「まだ結婚してない人たちは別れようと思えばすぐにでも別れられるけど、ウチはそうもいかないのよねー。子供の学校のデータベースに父親の名前も登録されてるから。子供にまで手を上げないうちは、私がガマンしてるしかなくて」 主婦でもある紗季さんは、ご主人からのDVに苦しんでいるらしい。それも物理的なDVだけじゃなく、あたしも幸樹さんから受けているようなモラハラなどの精神的DVと、生活費をほとんど家に入れない経済的DVも受けているんだとか。そのうえご主人は家事に子育てにも非協力的なため、彼女はフルタイムで働きながら家事や子育ても一人でやらなければならず、かなり追い詰められているように見えた。 恋人からのDVなら別れるのは比較的容易なのかもしれないけれど、夫婦となるとそうもいかない。離婚するには法的な手続きが必要だし、お子さんの親権のこともあるので、こじれてしまったらそれこそお子さんがかわいそうだ。&nb
Última atualização : 2026-03-12 Ler mais