Todos os capítulos de 一緒に美味しい朝ゴハンを。: Capítulo 41 - Capítulo 50

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茶話会と次の恋 PAGE4

 こうして今日のメインイベントである茶話会が和やかに始まった。 あたしはコーヒーにスティックシュガーを二本とミルクを入れて、絵美さんはミルクティーを選んだ。お菓子は史絵さんお手製のクッキーとカップケーキを頂くことにした。 「――ではみなさん、今日は初参加の由衣さんもいることですし、みなさんから簡単に自己紹介をしてもらいたいと思います。できれば、恋人やパートナーさんからどんな被害を受けているのかも話して差し上げて下さい」  史絵さんからの提案で、あたしは絵美さんを含む他の参加者たちの自己紹介とともに、壮絶なDV被害の体験談の数々を耳にすることとなった。 看護師をしている絵美さんを始めとして、ここにいる人たちは年齢も職業もバラバラだ。大学生もいれば既婚者もいる。でも、みんなに共通して言えることは、別れたくても様々な事情ですぐには恋人、もしくはパートナーさんと別れられないという点だった。 「まだ結婚してない人たちは別れようと思えばすぐにでも別れられるけど、ウチはそうもいかないのよねー。子供の学校のデータベースに父親の名前も登録されてるから。子供にまで手を上げないうちは、私がガマンしてるしかなくて」  主婦でもある紗季さんは、ご主人からのDVに苦しんでいるらしい。それも物理的なDVだけじゃなく、あたしも幸樹さんから受けているようなモラハラなどの精神的DVと、生活費をほとんど家に入れない経済的DVも受けているんだとか。そのうえご主人は家事に子育てにも非協力的なため、彼女はフルタイムで働きながら家事や子育ても一人でやらなければならず、かなり追い詰められているように見えた。  恋人からのDVなら別れるのは比較的容易なのかもしれないけれど、夫婦となるとそうもいかない。離婚するには法的な手続きが必要だし、お子さんの親権のこともあるので、こじれてしまったらそれこそお子さんがかわいそうだ。&nb
last updateÚltima atualização : 2026-03-12
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茶話会と次の恋 PAGE5

「つまり、彼は暴力や行動の監視によって、あなたを服従させてるということね?」「はい」 史絵さんの解釈に、あたしは深く頷いた。あたしのこれだけの話でそこまで理解できるということは、史絵さんご自身もかつてはDVの被害者だったのかもしれない。「性暴力の被害は?」「時々……。無理やり押し倒されたことも何度かありました。あたしが拒むと、彼はものすごく不機嫌になるんです。彼はあたしがどうしてほしいとか、全然考えてないみたいで」 このことはまだ、直也くんには打ち明けていない。彼が異性で、ここにいるのが全員同棲だから話しやすかったというのもあるけれど。直也くんはあたしのこととなると周りが見えなくなるところがあるので、この事実を聞いた途端に冷静さを失う恐れがあるからだ。「でも、今は彼と少し距離を置いていて、いずれ別れるつもりでいます。そこで、ここにいるみなさんにあたしからお訊きしたいことがあるんですけど」「何かしら?」「あたし今、彼以外に好きな人がいて……。というか幼なじみで、つい最近になって彼への気持ちに気づいたんですけど、その人と次の恋愛に進むタイミングが分からなくて。あたしとしては、今の彼とキチンとけじめをつけてからじゃないと、二股をかけるみたいでイヤなんです。それで、もしみなさんが新しい恋を始めるならどうしたいのかなぁ、と思って」 あたしは目下の悩みを質問という形で口に出した。玲奈には「ナシだ」と答えたけれど、正直に言えばあたしも直也くんの気持ちに早く応えてあげたいし、あたし自身も彼と早く付き合いたいと思っている。ただ、今はそのタイミングが分からないだけだ。 だからこそ知りたい。いつまで彼を待たせることになるのか。終わりかけの幸樹さんとの関係をズルズル続けたままで、直也くんとも付き合うというのは許されることなのか。「……私は、それもアリだと思う」 真っ先に口を開いたのは、ついさっきまであたしとその話をしていた絵美さんだった。「だって、今カレと別れるのを待ってたら、それこそいつになるか分からないし。由衣さんの彼氏って、由衣さんのこと服従させようとしてるみたいだから、そうそうすんなりとは別れてくれないと思う。それに、その幼なじみの人とはもう両想いなんでしょう?」「うん。向こうはあたしの気持ち、まだ知らないけど。そうだね、両想いってことになるか。彼があ
last updateÚltima atualização : 2026-03-13
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茶話会と次の恋 PAGE6

「史絵さんの別れたご主人も、DVひどかったんですか?」 「それはもう、毎日お酒に酔って帰ってきては、大声で喚き散らしてわたしや息子に手を上げて。ご近所にも相当迷惑をかけていましたね。わたしにだけならともかく、子供にまで暴力を振るうなんて父親の風上にも置けないわね。幸い、息子が大きくなってからはわたしのことを守ってくれたし、義父母もそっかりした人たちで、わたしの味方でいてくれたからそれが救いでした。そのうえ、母が法律に強かったし」  史絵さんはもう過ぎたことみたいに話すけれど、それはもう壮絶な毎日だったことだろう。彼女がこのNPOを立ち上げたのは、ご自身の地獄のような体験があったからだと思う。 「わたしには仕事があったし、子供もいたし、実家や職場、義実家っていう逃げ場所があったからあの生き地獄の中を無事に生きてこられたの。だから、同じような目に遭っている女性たちの逃げ場所を作ってあげたくて、この〈止まり木〉を立ち上げたんです。ここにいる間だけでも、過酷な現実から逃げてこられるように。孤独ではないと思ってもらえるようにね」 「史絵さん、すごいですね。尊敬します。ちなみに、お仕事は何をされてたんですか?」 「福祉に関わってました。仕事は大変だったけど、わたしは仲間に恵まれてましたね。何より、わたしはあの仕事が好きだったから。この法人を立ち上げると決めて退職するのは少し名残惜しかったかしら。今でも、かつての同僚たちとは連絡を取り合ってるんですけどね」  それでも、ご自身と同じような境遇に悩む女性たちをサポートしようと奮闘なさっている今の彼女は生き生きとしているように見える。 「あたしも好きなことを仕事にしてますし、事情をよく知る親友やあたしのことを大事に思ってくれてる両親や、あたしのことが好きで守ろ
last updateÚltima atualização : 2026-03-14
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新たなスタートとクリスマスデート PAGE1

「――いらっしゃいませー!」  初めて入ったランチタイムの洋食屋〈アポロ〉では、前に来た時とは違うウェイトレスさんが出迎えてくれた。 そして、ランチタイムでも今日は休日のためか、それほど混み合ってはいない。池袋という土地柄、平日の方が働く人たちで混むんだろうか。 「こんにちは。一人なんですけど」 「はい、大丈夫ですよ。席までご案内しますね」  山根さんというネームプレート胸につけたそのウェイトレスさんは、あたしを窓際の小さなテーブルへと案内してくれた。その途中。 「……あの、失礼ですけど。お客様、一ノ瀬由衣さんっていうお名前じゃないですか?」  彼女は唐突にあたしの名前を訊ねた。でも、どうしてあたしが一ノ瀬由衣だと分かったんだろう? 「ええ、そうですけど……」 「やっぱり。直也さんから写真見せてもらってたんで、由衣さんの顔は知ってたんです」 「……えっ? あなたは、直也くんとはどういう……。ただの同僚って感じじゃないですよね?」  ただの同僚に、大切な幼なじみの写真を見せたりするだろうか? そう疑問に思ってしまうのは、彼女に嫉|
last updateÚltima atualização : 2026-03-15
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新たなスタートとクリスマスデート PAGE2

「――由衣、いらっしゃい。今日、茶話会行ってきたんだろ?」  しばらくして、お冷を飲みながらオーダーした料理を待っているあたしの元へ、いつかの夜みたいにコックコート姿の直也くんがやってきた。 「うん。なんかごめんね、仕事中に。呼びつけたわけじゃないんだけど、厨房は大丈夫?」 「ああ、問題ねえよ。俺のほかに、オーナーシェフともう一人いるから。由衣にだったら、俺は呼びつけられなくても来ます」 「あははっ! 直也くん、どれだけあたしのこと好きなのよー」  彼の言葉からは、あたしへの愛情がこれでもかと溢れ出しているのが伝わってくる。これはお世辞なんかじゃなく、彼の本心からの言葉なのだ。 「さっき応対してくれたウェイトレスさんが、〈止まり木〉のことを直也くんに教えてくれたんだよね? 山根さんっていう子」 「ああ、陽菜ちゃんな。 ……ああ、下手な勘繰りすんなよ!? ウチの店、スタッフ同士は下の名前で呼び合うことになってるんだ。だから、俺もあの子のこと名前で呼んでるだけ」  彼は山根さんのことを下の名前で呼んだ理由を、慌てて言い訳がましくまくし立てる。もしかして、あたしが一瞬だけムッとしたから? 「ああ~、そういうことね。でも、スタッフさん同士名前で呼び合うってなんかアットホームでいいね。〈止まり木〉もそうだったよ」 「そっか。あの子も前、彼氏からひでえDVに遭っててさ。三ヶ月くらい前に別れたんだけど、その時に俺とここのオーナーシェフも力貸したんだよ。シェフは口が立つし、俺は腕っ節強いからさ」  二人はきっと、別れ話がこじれた時のための用心棒として力を貸したん
last updateÚltima atualização : 2026-03-16
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新たなスタートとクリスマスデート PAGE3

「確認するけど、由衣は……ホントにそれでいいんだな? もう決めたことなんだな?」 「うん。あたしは自分の今の状況より直也くんの気持ちを大事にしたいし、もし幸樹さんにバレて修羅場になったとしても、直也くんが助けてくれるって信じてるから」 「……お前、俺のこと買い被りすぎだって。まぁ、もしホントにそうなったら助けるけど」 「ほらね?」  直也くんはやっぱり、あたしのよく知ってる昔の彼のままで変わっていない。だからこそ、心から信用できる。 「…………やべぇ。マジで嬉しいんだけど、俺。お前がそれでいいなら、俺に断る理由なんかないよ。つうか、俺が先に告ったんだし」  あたしの告白を聞いて、直也くんはものすごく嬉しそうな笑顔でそう答えた。それはつまり、「付き合おう」というあたしの言葉への「YES」の返事ということでいいと思う。 「そうだよ。あたしも直也くんの彼女になれるの、すごく嬉しい。だから、これからはカレカノとしてよろしくね、直也くん」 「おう、よろしく。――じゃあ俺、仕事に戻るわ。今日はランチタイム終わったら上がれるから、帰ってからまた話そうな」 「分かった。お仕事頑張ってね」  長い間想いを寄せていたあたしと両想いになれた喜びを噛みしめるようにして、彼は厨房へと戻っていく。そんな彼と入れ違いに、山根さんがあたしのオーダーした料理を運んできてくれた。 「――お待たせしました。特製デミグラスハンバーグセットでございます。お飲み物はデザートと一緒でよろしいですか?」 「うん、後でゆっくり味わうことにするから。ありがとう」
last updateÚltima atualização : 2026-03-17
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新たなスタートとクリスマスデート PAGE4

 ――直也くんは夕方五時ごろ、あたしの部屋のインターフォンを鳴らしてくれた。手には荷物でパンパンになったショッピングバッグを提げて。 「悪りぃな、来んの遅くなっちまって。ここで一緒に晩メシ食おうと思って、買い出ししてきたもんだからさ」 「えっ、いいの? でも、あたしも実は、帰りに買い物してきちゃって。食材被っちゃうかも……」  今日はカレーを作ろうと思って、張り切ってスーパーで材料を買い込んできたのだ。今、この部屋の冷蔵庫はその材料であるジャガイモや玉ねぎ、ニンジンと豚肉でいっぱいになっている。そして、シンクの作業台にはカレールウの箱も。 「なんだ、お前もカレーの材料買ってきてんのかよ。思いっきり被っちまった」 「ええっ!? ……どうしようか?」  彼が買ってきたのもあたしと同じくカレーの材料だったと分かり、あたしは困ってしまった。 あたしは明日のお弁当と晩ゴハンにもできるような量で材料を買ってきたけれど、直也くんが買ってきた分も合わせて作ると、二人で食べても確実に余る。 「いいや。二人が買ってきた分の材料、全部合わせて作っちまおう。余ったら冷凍しときゃいいし」 「そうだね。そうしようかな」 「……ちなみにお前、何の肉買ってきた?」 「豚肉。そういう直也くんは?」 「俺も豚。だって、お前ん
last updateÚltima atualização : 2026-03-18
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新たなスタートとクリスマスデート PAGE5

「……っていうか、土日ってお店あるんじゃないの? 直也くん、休んで大丈夫?」  あたしは会社員なので、もちろん土日はお休みだけれど(仕事が詰まっていれば休日出勤もあり得るけれど)。飲食店で働いていて、それも厨房の中心人物らしい彼が土日のどちらかとはいえ抜けてしまうのは。お店にとっても痛手なんじゃないだろうか。 「ウチの店、平日の方が忙しいんだよ。客層が働いてる人中心だから。お前も今日、何となく分かったろ?」 「うん、まぁ」 「それに、ちょうどその土日に設備の変更の工事が入ってて、店が休みになるんだよ。だから、俺の都合は気にしなくてよろしい。分かった?」 「ああー、そういうこと。分かった。じゃああたし、直也くんに何買ってもらうか考えとくよ」 「おう。あんまり高けえもんねだられても困るけど、お前はそういうところしっかりしてるから大丈夫だよな」 「当たり前でしょ。あたしは彼氏をお財布とかATM代わりにするような女じゃないもん」  もっとも、幸樹さんはATMどころかお財布にもなるような人じゃなかったけれど。こっちから何かねだったら最後、しつこくねちねちイヤミを言われるか、機嫌を損ねて手を上げられるかのどっちかだった。最悪の場合、その代償として無理やり抱かれることもあった。 「でも、駅とかで幸樹さんにバッタリ会ったら修羅場になっちゃいそう。そのへんは大丈夫?」 「それなら問題ねえよ。俺の車で行くから」 「えっ? 直也くん、車持ってるの?」 「ああ。今の店で働くようになって、食材の買い付けとかに必要だから買った。
last updateÚltima atualização : 2026-03-19
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新たなスタートとクリスマスデート PAGE6

「……でも、こういう緩~い恋愛もいいよね」 「そうだなあ。由衣が相手だと、俺も背伸びしないでいられるから気が楽だ」  お互いに気を遣わなくても、一緒にいられるだけで楽しかったりホッとできる関係。これこそ理想的な恋愛なのかもしれない。 そして疑問に思う。じゃあ、幸樹さんとの関係は一体何だったんだろう? 玲奈も言っていたけれど、「彼女に平気で暴力振るったり、暴言吐いたりするような男を〝彼氏〟って言えるのか」と自分でもそう思う。 「安心しろよ、由衣。俺はお前に暴力振るったり、服従させるようなことは絶対しねえからな。お前じゃなくてもしねえけど」 「うん、分かってるよ。直也くんは罷り間違っても、そういうタイプにはならないって。それに比べて、幸樹さんは何なのさって感じ」 「あー。あのDV男か。そいつ、なんでお前と付き合ってんのかな。そもそも自分のオンナに平気で手ぇ上げたり、暴言吐いたりするような男を〝彼氏〟って呼べんのかね?」  彼がいつかの玲奈と同じようなことを言ったので、あたしは思わず彼の顔をまじまじと見つめた。でもやっぱり、みんなそう思うよね……。 「それね、玲奈も直也くんとまったくおんなじこと言ってた。あたしのこと、『〝彼女〟だなんて思ってないんじゃないか』って」 「俺も玲奈ちゃんに同感だな。そいつ、由衣が簡単に服従させられそうだから付き合ってるだけなんじゃね
last updateÚltima atualização : 2026-03-20
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新たなスタートとクリスマスデート PAGE7

「――直也くん、ビール飲む?」  夕食が終わると、あたしは彼に一緒に晩酌しようと声をかけてみた。幼い頃からお互いのことをよく知っている仲なので、一緒にお酒を飲むなんて何だか不思議な感じがする。 「んー、どうすっかな……。俺、あんまり酒強くねえから、飲んだらここで寝ちまいそうだし」 「寝ちゃってもいいよ。何だったら、今夜はウチに泊ってってもいいし」 「いや、それはダメだろ。そしたら明日の朝メシ作れねえから」 「あ、そっか……」  あたし自身、彼が作ってくれる朝ゴハンがこのごろ毎日の楽しみになっているので、それが食べられないのは非常に困る。……まあ、ここのキッチンで作ってもらうという選択肢もないことはないのだけれど。 「……でも、どうせ部屋は隣だしな。ちょっとだけならいいか」 「ホントに!? じゃあ用意するね!」  てっきり晩酌のお誘いを断られるものだと思っていたあたしは、彼の返事に喜びを爆発させた。さっそくキッチンへ行き、冷蔵庫からキンキンに冷えた缶ビールとお揃いのグラスを二つ取ってきた。 「お待たせ~!」 「あれ? お前、こないだグラス一個割ったんじゃなかったっけ?」  あたしが幸樹さんとのイザコザでグラスを割ってしまい、そのうえケガまでしていたことを知っている直也くんは首を傾げた。 「ああ、あの後百均で新しいの買ってきたの。見て、二つお揃いだよ」 「ホントだ」  
last updateÚltima atualização : 2026-03-21
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