こうして彼と楽しく晩酌している間にも、テーブルに置いてあるあたしのスマホはブーンブーンと振動を続けている。ディスプレイに表示されている発信者の名前は幸樹さんだ。 マナーモードにしたままでよかった。着信音が鳴っていたら、楽しい雰囲気がブチ壊しになっていただろうから。 「電話、鳴ってるけど出なくていいのか?」 「いいの。放っとけばそのうち諦めて切るでしょ」 「つうかお前、彼氏と距離置くっつっといて連絡先はブロックしてないんかい」 「うん……。なんかごめん。職場の人だし、ブロックしたらしたで後々面倒そうかな……と思って」 「いや、俺に謝ってもらってもな」 そうこうしている間にも、まだ電話は鳴り続けている。どうしてだか、留守電に切り替わってくれない。 「…………ああもう、しつこい!」 プツッ。――とうとうブチ切れたあたしは、拒否ボタンをタップして電話を切った。 「お前……、切っちまったの?」 「切りましたともさ」 フンッと鼻息も荒く答えるあたしに、直也くんが吹き出した。 「だって、うっとうしいんだもん。あたしが根負けするの待ってるとしか思えないよ」 「なんかさ、強くなったな、お前」 「え? そう?」 直也くんのコメントに、あたしは彼の言った意味を理解できずにポカンとした。
Última atualização : 2026-03-21 Ler mais