「――由衣、こいつが例のDV男か?」 直也くんが、怯えぎみのあたしをさりげなく気遣ってくれる。「幸樹さんのことなんて怖くない」と思っていたはずなのに、こうして対峙してみるとやっぱり怖くて一人では足が竦んでしまいそうだ。 「うん」 「分かった。大丈夫だからな。ここは俺に任せて、お前は下がってな」 直也くんはあたしを庇うようにして前に立ち、正面から幸樹さんと視線を切り結ぶ。大丈夫かな……、これって一触即発の状況なんじゃないの? 「俺っすか? 俺は由衣の本物の彼氏っすけど。そういうあんたが由衣にモラハラやらDVしまくってたっつう元彼氏っしょ?」 「元……!? お……オレはまだ、由衣とは別れてない!」 余裕のある直也くんからの挑発に、幸樹さんは顔を真っ赤にしてムキになった。後ろから成り行きを見守ることになったあたしは、ハラハラすることしかできない。 「あれ、おかしいな。由衣はもう、あんたへの気持ちは一ミリも残ってないらしいっすよ? 別れるつもりだって聞いてますけど、どうせあんたが認めたくないだけっしょ?」 「……っ!」
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