陸奥はバカバカしいと抵抗していたが、小手毬が駄々をこねたとかで、十日に一回ほど、彼は小手毬の病室で初心な身体に快楽を教えているらしい。彼のことだから本気になることはないだろうが、罪深い役回りである。「陸奥先生はコデマリに優しい?」 「たぶん。ときどき意地悪する、けど」 転院当初よりも女性らしくなった小手毬を見て、加藤木は何も言えなくなる。幼馴染に叶わぬ恋をしながら、ほかの男に身体を捧げなくてはならない“女神”の“器”。最後まではしていないというが、小手毬は男性医師たちの手で確実に女としての悦びを教えられている。あくまで医療行為だと、陸奥だけは言い訳していたが、もはや逃れられないと悟ったのか、近頃は小手毬に対する態度を和らげている。 いまだけの歪んだ関係。 それでもこのことを自由が知ったら発狂するだろう。「だけど、ミチノクは“器”の適合者じゃないから、それ以上のことはできないよ。いまだってお薬や道具を使って身体反応を観測することが多いし。ウリュウなら直接関係を持っても問題ないって言われてたけど」「直接、ってそれはそれであからさますぎるわ」 加藤木は非科学的なことを平然と口にする小手毬に辟易してしまう。けれど生まれた頃からそれが当たり前のものであると刷り込まれている彼女からすると、この土地へ外から入ってきた加藤木や陸奥の方が異質な存在なのだろう。 この地域特有の信仰として、“諸神”の存在はいまも密かに語り継がれていた。それを商売道具へ変換させたのが桜庭雪之丞と、彼に金で服従した亜桜の一族だ。もともと神社を管理していた亜桜の人間は“巫”としての素質があったため、氏神をその身に降ろすことができたという。いつしかそれが、一族の女のみにしか受け継がれなくなり、その特別な女性を“女神”と呼ぶようになった。だが、“女神”は選ばれた男の精を受ける“器”としての役割が課されている。小手毬はその男と娶せられる運命を背負っている。 赤根一族は雨龍にその役目を負わせようとしているのだと本人が言っていた。けれども雨龍にその気はないという。 加藤木は誰が小手毬を狙っているのか、すべてを把握しきれていない。「ジユウお兄ちゃ
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