【6】この世界に転生してから三日。ようやくコハクも新たな人生に慣れ始めていた。「これが今のボク......」部屋でひとり、姿見鏡の前に立ち、ポーズを取ってみる。前世のような女装ではなく本物の女の子。年齢不詳だが、見目麗しき銀髪美少女。「こうやって冷静になって、改めて見てみると......」鏡に映る自分自身と向かい合いながら、異世界の女の子に転生したという事実を改めて噛み締める。最初は戸惑ったお手洗いやお風呂も、意外なほどにすぐ慣れた。服装に関しては最初からほとんど問題なかった。前世での女装経験やコスプレ経験が役立ったのだろう。「気持ちの部分も、すっかり女の子になったのかな......?」現時点では判断しかねる。こればっかりは焦ってもしょうがない。それよりも、これからの人生に想いを馳せる。「せっかくこうやって生まれ変わったんだ。しっかり生きていきたいし、楽しんでもいきたいな」よしっ、とコハクは胸の前で両の拳を握る。「それには、もっとこの世界のことを知りたいな。魔法のことも......」まだ〔マギアヘルム〕以外には行ったことがない。そのマギアヘルムですら一部しか知らない。したがって、この世界のほとんどが未知だった。ナイジェルとアンから教えてもらったことを総合すると、前の世界で言うところの十八世紀か十九世紀ぐらいの西洋的な世界のようだが、はたして……。「ここは田舎だと言っていたから〔テルストリア〕の都市部に行けば、また全然違うんだろうな。ここものどかで悪くないけど、都会にも行ってみたいなぁ......」テレビや電話などはそもそも存在しない。だが上下水道や電灯といった基本的なインフラは田舎でも整備されていた。中には魔力を動力とするものまであった。残念ながら外見も効力も使用方法も前世のそれ(電化製品や設備)とほぼ変わらず、コハクを驚かせるには足らなかったが。しかし、都会に行けば田舎にはない『魔導車』『魔導列車』といった代物もあるらしい。そう。つまりこの世界では『魔法文明』とでも言うべきモノが様々に存在するのだ。「あの人について行けば......いや、でもアンたちと離れるのは寂しいなぁ」ベッドに腰かけて置き時計を見る。針は午後四時を差していた。今日のコハクはアンと一緒に付近を少々散歩しただけ。ほとんどを家の中で過ごしている。もっと正確に言えば、
آخر تحديث : 2026-02-24 اقرأ المزيد