All Chapters of 婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様: Chapter 71 - Chapter 73

73 Chapters

ep71 え?

「はぁー、はぁー」廊下の端までいき、コハクは立ち止まって壁に手をついた。正直、自分の行動に自分が驚かされていた。何も逃げなくてもいいのに。ボク、何をやっているんだ?「どうしよう。絶対ヘンに思われたよね。それどころか嫌われたかも。フツーに失礼だし。強引なナンパでもないのに。しかも相手はクラスメイトなのに......。クラリナも、どう思っただろ......」冷静になってくると、ますます不可解になってくる。そもそも相手に下心があるかどうかもわからない。ナンバだとも限らないんだ。純粋にクラスメイトと親睦を深めたいだけなのかもしれないんだ。ウブな乙女にもほどがあるぞ。「でも、前世で、ハヤテのナンパを散々見てきたからなぁ」それゆえに過剰反応したのだろうか。ましてや自分の場合、男から女に転生している。男側の心理もわかる分、より男に対する警戒心が強いのかもしれない。「クローは平気なのに......」そう。クローは、最初から平気だった。出会い方も関係しているだろうけど、それだけでは語れないものがある気がする。「あれ?」ここでふと、コハクはあることに気づく。そういえば、ルーのことも平気だったと。告白された時はさすがに戸惑ったけど、それでもエリオットに対して抱いたような警戒心はない。
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ep72 不安

反応に困る、とはまさにこのことと言わんばかりにコハクは返事に詰まってしまった。どういう意味で言ってるの? それは要望なの? それともただの希望なの? 「......あの、コハクちゃん?」クラリナが不思議そうに顔を覗き込んでくる、「わたし、変なこと言いました?」「あっ、いや」コハクはハッとする。そうだ。べつにクラリナの言っていることは、決しておかしなことじゃないんだ。赴任してきたばかりの素敵な先生と仲良くなりたい。そんなの、ごく当たり前の感情じゃないか。ましてやクローは美男子で、クラリナは十代の女の子だ。ある意味、当然とも言える。「わたし、コハクちゃんのこと、困らせちゃったかな......」クラリナが申し訳なさそうな微笑を浮かべる。コハクはマズイと思った。ちゃんと返さないと!「そ、そんなことないから! 大丈夫だから!」「本当ですか?」クラリナは不安そうにしている。友達を困らせてしまっていないか、本気で心配している顔だ。「本当だよ!」コハクは精一杯の笑顔を作って見せた。「今度、放課後かお休みかで、三人でお茶でもしようよ!」「いいんですか?」クラリナの目が輝いた。「もちろんだよ!」「すごく楽しみです」クラリナの笑顔が戻った。コハクはホッとする。ただ、胸の奥では、言い知れない不安が低気圧となって雨雲を作り始めていた。しかしコハク自身、それを自覚するまではしばしの時間を要するのだった。
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ep73 悩み

  【4】 コンコン。コンコン。部屋のドアがノックされた。回数が多い。なんだよ煩いな、と思ったのも束の間。コハクはハッとして時計を見る。普段の起床時間を明らかに過ぎていた。理由は明白。昨夜、色々と考え事をしていて遅くまで眠れなかったせいだ。昨日の出来事だけが原因なのか、はたまた昨日の出来事がきっかけとなってこれまで溜まっていたものが爆発したのか。どちらにせよ、モヤモヤする。昨日、あれからクラリナと別れてクローと会う直前までは良かった。特に何も気にしてないと思っていた。ところが、クローと顔を合わせた瞬間、クラリナの言葉がフィードバックした。わたしも、グレーアム先生と仲良くしたいです。「コハク? どうかしたのか?」クローが顔を覗き込んできた。コハクは慌てて誤魔化した。「な、なんでもないよ」その時はとりあえず誤魔化したが、気持ちはずっとモヤモヤしたままだった。帰りの馬車の中での会話は自然と減り、屋敷に着いてからは不自然に口数が減った。さらにルーと顔を合わせると、今度はエリオット・エルガーのことが思い起こされた。以前、ルーはこう言った。魔法大学の男たちに気をつけてね、と。あの時は的外れな心配だと思っていたけど、どうやらルーの心配は当たっていたようだ。エリオット・エルガーが警戒すべき男かどうかはまだわからないが......。「コハク? どうした
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