ぶっつけ本番だった。クローが今日まで具体的な方法の説明をしてこなかったからだ。彼がなぜそうしたのか、理由はわからない。だが、それゆえにコハクとしてはクローに言われた通りを忠実に実行するだけだった。それ以外にやりようがないのだから。それに、なぜだか安心感もあった。クローの声を聞いて、コハクの肩の力は抜けていた。「!!」一同は大きく目を見張る。コハクとルーのまわりだけが激風に揺れる。明確に何かが起こり始めた。まるでコハクの両手から、何かが吸い込まれているように見える。「これは......」ルーは驚愕する。今まで様々な治療を受けてきた。魔法を用いた試みも幾度となく体験した。しかし、そのどれとも比較にすることができないほどの感覚、あるいは過去の治療や試みのどれもが記憶の彼方へ吹き飛んでしまうほどの劇的な感覚が、彼の全身を鮮烈に駆け巡った。「もういい、そこまでだ!」ここでクローがコハクの両手をルーから離させた。何かがおかしい。コハクは焦ってジタバタしている。「と、止められないよ!」 「大丈夫だ、落ち着け」クローは自らの両の手を、コハクの両の手に握り合わせた。互いに手を握り合わせて二人は見つめ合う。「く、クロー?」「私の目を見ろ」「は、はい」コハクの紅い瞳と、クローの青い瞳が交錯する。「大丈夫だ。落ち着いて、力を解くイメージをしろ。あの時みたいに」「あの時みたいに......」「そうだ、コハク」「うん......」やがて風は収まる。やや間を置いてから、コハクは無事、自分の力が収まったことを自覚する。その途端、安堵と脱力で腰が砕けそうになった。「コハク」とクローがコハクを抱き寄せる。コハクの立った姿勢は維持された。クローと密着することによって。「あっ、ご、ごめんなさい」コハクはあたふたとする。「大丈夫か? 立っていられるか?」「だ、大丈夫だよ、ありがとう」「離しても平気か?」「う、うん」ぴったりと密着していた二人の体が離れた。クローはまだコハクを見つめてきたが、コハクは視線を逸らした。「コハク」「な、なに?」「顔が赤いぞ? 今ので熱が出たのか?」「で、出てないし、大丈夫だから」コハクは体ごと背けて顔を見られないようにした。ちなみにクローの言った「今ので」とは、コハクがルーに対して行った魔法行為(治療行為)のことであっ
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