洸のことを忘れられないくせに、彼女とは何でもないのだと繰り返し主張し、すべてを咲夜の被害妄想だと決めつける。激しい口論の末、最後には必ず逆上して話を打ち切る――それがいつもの晴南だった。そこまで事情を察してしまえば、晶子ももはやそれ以上口を挟むことはできなかった。「咲夜さん……私は、あなたの味方ですからね」そう言い残し、晶子はスタッフたちに早上がりを伝えるため部屋を後にした。先ほどまで活気に満ちていたスタジオは、瞬く間に静寂へと沈んだ。咲夜は一人、オフィスに座っていた。目の前のPCモニターには、ある画面が映し出されている。あのゲームのワンシーン。画面の中では、お揃いの衣装を身にまとった男女が、満開の桜の下で肩を並べて立っている。二人の前には、花の蔦が絡みついたブランコが揺れていた。ブランコをクリックすると、インタラクティブ演出が始まる。舞い散る花びらの中、少年がブランコを押し、少女の顔には幸福に満ちた笑みが広がる。咲夜は何度も、何度もマウスをクリックし、その触れ合いを画面の中に再現し続けた。飽きることなく。まるで、これまで幾度となく繰り返してきた時間そのものをなぞるかのように。かつての彼女であれば、画面の幸福な光景に合わせ、無意識に口元を緩めていただろう。だが、今は――百回以上も繰り返してきたこの動作には、もはや甘さの欠片すら残っていなかった。胸を締めつけるような切なさだけが、静かに積もっていく。花江家の別荘の裏庭にも、これとよく似た百年桜があり、小さなブランコが吊るされていた。それは幼い頃、晴南が咲夜のために手作りしたものだった。幼い咲夜はそこに腰掛け、「晴南、もっと高く押して!」とせがむのが何より好きだった。ブランコを押し、押される日々の中で、二人はやがて大人になった。今では、あのブランコに咲夜の身体はもう収まらない。そして晴南もまた、あの頃のように彼女の背中を押してくれることはなくなった。あの記憶を抱え続けているのは、もう咲夜一人だけだった。そう思った瞬間、自嘲気味な笑みがこぼれる。取り残されていたのは、自分だけだったのだ。記憶の中で輝いていたあの少年は、もうどこにもいない。面影さえ残さぬほど変わってしまっていた。信じたくなくて、現実から目を
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