実のところ咲夜も、剛が戻ってきたばかりの孫である自分を、あまり気に入っていないことには気づいていた。なぜ気に入らないのかまでは、咲夜にも分からない。もっとも、正直に言えば、咲夜のほうも剛という祖父に親しみを感じることができなかった。おそらく、単純に祖父と孫の相性が悪いのだろう。咲夜は考えるのをやめ、星奈との会話に戻った。剛は最初から咲夜を威圧してやろうとしたのに、当の本人がまるで気にしていないのを見て、ますます表情を険しくした。軽く咳払いをすると、低い声で告げる。「時間だ。食事にしよう」そう言って真っ先に立ち上がり、ダイニングへ向かった。剛が動き出してから、咲夜もようやく立ち上がり、彼のあとについていった。咲夜の席は紗智子の隣に用意されており、その次が星奈だった。しかし、その席は以前まで星奈が座っていた場所だった。わざわざこのように席を変えた理由など、考えるまでもなく剛の意図は明らかだった。咲夜は、こんなことまでするのかと呆れてしまった。彼女は何度か星奈に席を替わろうと持ちかけたが、そのたびに星奈は笑いながらやんわりと断った。そもそも星奈自身、こうした細かいことはまったく気にしていなかった。彼女は咲夜の耳元へ顔を寄せると、自分に気を遣わなくていいと小声で囁いた。結局、咲夜は星奈に押し切られ、居心地の悪さを感じながらその席に座るしかなかった。剛の刺すような視線を感じ、咲夜の表情もどこか不自然になる。星奈はわざと剛へ目を向けた。「おじいちゃん、せっかくの食事なんだから、そんな雰囲気で食べてたら、咲夜さんも食欲がなくなっちゃうよ。ようやく帰ってきてくれたんだから、まさかお腹いっぱい食べさせないつもりじゃないでしょう?」星奈の言葉を聞き、剛は顔を険しくした。「よせ。お前からおじいちゃんなどと呼ばれてはかなわん。前にも、本来の姓に改めろと言ったはずだ」二十年以上も鷹司家で暮らしてきたというのに、剛はたった一言で、星奈が鷹司家で過ごしてきた年月そのものを否定した。咲夜は横目で、星奈の瞳に一瞬だけ悲しみがよぎったのを見逃さなかった。彼女は手にしていた箸を置いた。すると剛は、今度は咲夜に直接言った。「今まで違う姓を名乗っていたのなら、これから改めればいい。必要な手続きを済ませて、
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