「氷室君……俺みたいになるなって、言ったじゃない?」ポツリと続けた。「あれ、どういう意味だろうって考えて、わかったんだよ」「え?」「憧れから発展した恋に溺れる気持ちも、破れた恋にもがく苦しさも、不可抗力な嵐に掻き乱される混乱も、氷室君自身が痛いくらい経験済みだから」氷室君が、警戒心を研ぎ澄ませた空気を、肌で感じる。 私が顔を上げると、目が合うのを避けるように、睫毛を伏せた。「ごめんね。恋に本気になるのが嫌な氷室君に、特に業務上……関わりがある相手なんて、迷惑だったよね。これで終わりにするから、一度だけ聞いて」私は彼にとって、立花さんと変わらないくらい、自分勝手なことを言おうとし
Last Updated : 2026-02-02 Read more