落ち着かない気分で、慌ただしい長距離チームの島と彼を交互に見遣った。「ダイバートした便を、この後どうするか。乗客の誘導も、元営業のあんたなら役に立つ。燃料積んで再フライトするようなら、その分のプランも作らなきゃいけない。情報収集の人手が必要になる」氷室さんは、表情も変えずにそう言った。 無意識にゴクッと唾を飲んだ私に、ゆっくりと視線を向ける。「八巻さんでも、猫の手くらいにはなるんじゃない? 行っといで。俺も、こっちの業務が済んだら、行くから」どこか棘を含んだ言い方だけど、カチンとしてる暇はない。「……はいっ! 行ってきます」私は気持ちを奮い立たせて、席から立ち上がった。国内長距離線チームのサポートに回った私は、他の空港に着陸した便の乗客の代替経路手配と、再フライトに備えたフライトプラン作成に必要な情報収集を任された。再フライトと言っても、乗客や機体の整備状況を、先のフライトプランから踏襲できるわけではない。 降機して、陸路で移動する乗客もいるから、ロードプランも含めて、すべて一から作り直し。 最新のデータが必要になる。 まさに台風が直撃している那覇の気象状況は、刻々と、目まぐるしく変化していて、三十分前の予報も当てにならない。ディスパッチャーが、コックピットと密な交信を行う中、私は九州各地の空港や、JR、私鉄、バス会社などと連絡を取り、輸送手段の調整を行った。 同時進行で情報収集に駆けずり回り、機長とのブリーフィングにも、オンラインで参加させてもらって……。荒天時のOCOは、一言で言うと凄絶。 とにかく大変で、目が回りそうだった。それでも、台風は留まることなく通り過ぎていく。 午後六時には、那覇空港上空の天候も回復して、代替空港にダイバートした便の再フライトにも目途がつき……。「八巻さん、フォローありがとう。助かったよ。あとは自チームで対処できるから」長距離線チームのリーダーに言われ、午後八時、私は仕事から上がることができた。 午前五時半から、十四時間超――。 さすがに、疲労困憊だった。それでも、初めての荒天対応で足を引っ張ることなく、『助かった』と言ってもらえた高揚感が湧いてくる。 身体は疲れてるのに、妙な興奮が収まらない。私は、OCOの隅にある簡易的な休憩室に移動した。 コーヒーの紙コップを手に、ベンチタイプ
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