香織はそんな日菜乃をじっと見つめた。自らの置かれた状況に気付いていないのか、彼女は冷めたような目で香織を見ていた。「今ここで、真実を全て明らかにしたいと思います」その言葉に、日菜乃がピクリと眉を上げた。「週刊誌フルールに掲載されていた私に関する記事は全て……」香織は会場の中央にいた日菜乃を指差した。「――山川日菜乃による、捏造です!」会場がざわめき出した。日菜乃が香織の夫亮太の愛人であるということはこの場にいる誰もが知っている。本妻の香織と愛人である日菜乃。二人の間には亮太もいる。会場にいる全員が、三人の動向を注目していた。(このためだけに人をたくさん呼んだのよ)日菜乃は言い返すこともせず、ただ香織を鋭い目で真っ直ぐに見つめ返していた。動じているように見えないのは、自分には亮太が味方になってくれるという確信があるからだろうか。しかし、今の香織にとってはそんなもの何の意味も持たなかった。「な、何を言っているんだ!」予想通りというべきか、最初に反論してきたのは亮太だった。彼は香織から日菜乃を守るように、彼女の前に立ちはだかった。「日菜乃に嫉妬しているからって、ふざけたことを言うのもいい加減にしろ!」亮太は真実を全て知っている。つまり、日菜乃の心の醜さを知っていてもなお彼女を愛しているということだ。香織は二人の純愛に、感動して涙が出そうになった。ふと横にいた礼音に目をやると、彼は面白そうに一部始終を眺めていた。「いいえ、嘘ではありません。全て日菜乃さんが私を貶めるために仕組んだことです」「お前、いい加減に――」亮太は香織の胸倉を掴みそうになったが、突然向けられた礼音の鋭い目に動きを止めた。やっぱり礼音を連れてきて正解だった、と香織は思った。「フルールに掲載されていた私に関する情報は全てデマです。私は夜遊びや虐めなどしたことがありません」「ハッ……どうだかな……口だけなら何とでも言えるさ」亮太は香織を嘲笑うように口角を上げた。それに同調するかのように、ずっと黙り込んでいた日菜乃が口を開いた。「奥様……酷いです……いくら私が憎たらしいからって、そのようなことをおっしゃるだなんて……!」彼女は口元を両手で押さえ、小刻みに身体を震わせ始めた。大きな瞳に涙を浮かべ、弱々しい声で言葉を継いだ。「――私、そんなことしてません」その言葉
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