隼人を一人置き去りにした香織は、ある人物の元へと向かった。「叔母さん!」「香織、久しぶりねぇ。元気にしていたかしら?」数少ない彼女の親族――叔母の滝沢美奈子だ。香織は顔の広い美奈子をあえてこのパーティーに招待していた。「はい、亮太と別居してからは比較的穏やかに過ごせています」「そう、それはよかったわ」実は父親と疎遠だった香織に代わって、忠嗣に亮太のDVを報告したのも美奈子だった。その点では、香織は彼女に感謝していた。「それにしても驚いたわ、あんなところで離婚を宣言するなんて」「そうでもしなければ彼は絶対に受け入れないと思ったんです……私の名誉を取り戻すためにも、考えている暇はありませんでした」「そうね、時には強引なやり方も必要だわ」美奈子は仕方が無いと言いながら、香織の肩をポンポンと叩いた。香織は目の前にいる叔母をじっと見つめた。間違いなく父親と血が繋がっているというのに、似ているところがまるでない。見た目も違えば、性格だって正反対だ。そのせいか、美奈子は昔から忠嗣とはあまりそりが合わなかった。不仲というわけではないが、特別仲が良いわけでもない。「お父さんが叔母さんのことを気にかけていましたよ」「に、兄さんが……?」「ええ、久しぶりに顔を見たいと言っていました」美奈子は驚きながらも、照れたように視線を逸らした。「そ、そうね……たまにくらいなら会ってあげてもいいわ……」素直になれない美奈子に、香織は笑いを堪えた。これを機に、二人の仲が良くなってくれることを願おう。「香織、あなた何だか雰囲気が変わったわね」「そうでしょうか」「ええ、前よりも明るい顔をしているわ」自分はそんなに変わったんだろうか。ふと、近くにあったガラスに反射している自分の顔を見つめた。たしかに前よりも表情が明るくなっている。香織は今になってそのことに気が付いた。「――あなたはもう自由よ。これからは自分の好きなように生きなさい」「叔母さん……」その言葉に、香織の胸が熱くなった。感動したように目を細めた彼女に、美奈子が声を潜めて尋ねた。「ところで、さっき横にいた男の人は新しい彼氏?」「え、ち、違いますよ!」香織は慌てて否定した。隼人の次は礼音が恋人だなんて。大体彼女は当分恋愛はしないと前に誓ったばかりだ。「あら、でも彼、あなたに気がありそうじゃない
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