突然の礼音の発言に、香織は固まった。そんな彼女を見た彼は慌てたように口を開いた。「あ、いや……すまない、女性に対して失礼な発言だったな」「い、いえ……」香織は困惑した。礼音とは知り合ってまだ日も浅く、お互いのこともあまりよく知らない。それなのに、会いたいだなんてどうして。その一言で、香織は急に彼のことが気になり始めた。微妙な空気の中、彼女は顔を背ける礼音に声をかけた。「あの……福本さんは彼女さんとかはいらっしゃいますか?」「いや、いないが……」「……よかったら連絡先を交換しませんか?」「あ、あぁ……別にかまわない」礼音の了承を得た香織は、スマホを取り出して連絡先を交換した。彼はサッと上着を羽織ると、香織から背を向けた。「迷惑をかけてすまなかったな、この詫びはいつか必ずしよう」「……」香織は彼の後ろ姿をじっと見つめていた。彼が部屋を出て行く寸前、無意識にあることを尋ねていた。「あの、私たちどこかで会ったことありませんか?」「……!」香織の言葉に、彼はピクリと肩を上げ、思わず足を止めた。チラリとほんの一瞬だけ香織のほうを振り返ると、呟くように返事をした。「…………いや、気のせいだろう」「そうでしょうか……」彼は最後に納得いかない表情の香織と一度だけ目を合わせると、そのまま部屋を出て行った。彼が出て行ったあと、入れ替わるようにして入ってきたのは美由紀だった。「香織お嬢様、おはようございます」「おはよう」美由紀は香織に近付くと、彼女の耳元でそっと囁いた。「日菜乃から招待の返事が届きました」「……」美由紀は香織に一枚の封筒を手渡した。水色のずいぶん可愛らしい封筒だった。香水を吹きかけたのか、フローラル系の香りがした。(ご丁寧にどうも……)香織が封を開けると、綺麗な文字で返事が書かれていた。彼女の予想通り、日菜乃は亮太と共に参加の意を示した。「日菜乃は何と?」「喜んで参加すると言っているわ」香織はニヤリと笑みを深めた。日菜乃と亮太も来ることだし、主役は全員出揃った。「ドレスを準備しないとね、できるだけ華やかなものが良さそうだわ」「お嬢様にとって特別な日になりますからね」美由紀が笑顔で返事をした。パーティーには彼女も同伴する予定だ。あと一ヵ月はあると言っても、きっとすぐその日はやってくる。そのための準備は入念にし
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