大学卒業後、亮太は九条香織と結婚した。本人は嫌々だったが、彼女のもたらす利益が魅力的だったのか、婚約破棄まではしなかった。そのまま香織は九条邸に住むようになり、その代わり亮太は家にあまり帰らなくなった。そんな息子を、社長夫妻は諫めながらも義理の娘となった香織との仲を順調に深めた。美由紀は羽川家で家政婦として働いていたため、彼女と顔を合わせる機会も多かった。そのたびに、同じ女としてとても惨めな気持ちになった。結婚式で見たウエディングドレス姿の香織は招待客たちが見惚れるほどに美しかった。華やかな見た目の彼女は、亮太の隣に立っても違和感なく、むしろお似合いといえるほどだった。結婚式に参列していた美由紀は、ただタキシード姿の亮太をじっと見つめていた。本人は香織を毛嫌いしているかのように振舞っていたが、彼女は気付いていた。――香織を見る亮太の視線に熱がこもっていることに。彼は式中もチラチラと彼女に目をやり、どこか落ち着かないようだった。そうなるのも当然だ。結婚式での香織は胸元の開いたドレスを着用しており、とても色っぽかった。うっとりと恍惚の表情で亮太を見上げていた香織。亮太はそんな彼女に心を動かされているようだった。あのときの二人は間違いなく愛し合っていたように思えた。あまりにも完璧な二人の間に、自分が入り込む隙なんてない。長年亮太を傍で見てきた美由紀がそう思うのだから間違いない。しかし、結婚後の亮太は妻となった香織から目を背けるように彼女を避け続けた。社長夫妻が不慮の事故で亡くなってからは余計に酷くなった。亮太は次第に外で女遊びを繰り返すようになり、香織はそのことを悲しんだ。美由紀は権力で彼の妻となった香織を快く思っていなかったが、そこまでの仕打ちを受けるとさすがに同情した。そしてそんな中で、亮太は日菜乃を連れて本邸へ帰ってきた。美由紀と同じ、一般庶民の女。童顔で背が低く、男の庇護欲をそそるような見た目をしていた。驚くことに彼女との間には子供もいて、第二子を妊娠中だった。美由紀は羽川邸で過ごしながら、亮太と日菜乃の様子をじっと見守っていた。(社長は……あんなにも分別のない人だったかな?)日菜乃と出会ってからというもの、亮太は人が変わったように横暴になっていた。妻である香織に平然と手を上げ、人を見下すような態度をよく取るようになった。これま
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