――礼音は長い間、一人の女性を探し求めていた。彼が彼女と出会ったのは彼がまだ子供の頃だった。自分より少し年下くらいだろうか。彼女と初めて会ったのは昔住んでいた家の近くにある公園だった。当時、礼音は母親に捨てられて父親の元に引き取られた。義母や義理の兄弟たちは揃って礼音を虐げ、父親はそれを見て見ぬフリした。家庭に居場所は無く、彼は次第に家にいるのが嫌になり、用もなく外へ出るようになった。そんなときに、彼女と出会った。『何てカッコイイのかしら!あなたのことを好きになったわ!結婚しましょう!』彼を見るなり、まだ幼い少女は頬を赤らめてそう言った。家族から虐げられ、一人ぼっちだった彼にとって、彼女は光のような存在だった。顔は薄っすらとしか覚えていないが、香織に似た愛らしい少女であった。そのことを、初めて彼女と出会ったときから彼も感じていた。しかし、そんなわけがないと心のどこかで決めつけていた。彼は彼女を見つけるために実業家となり、探せるだけの権力を手に入れた。そしてようやく、彼女を見つけた――前の恋人と出会ったのは、今から二年前のことだ。礼音は秘書から条件にピッタリ合う女性を見つけたとの報告を受けた。このとき、彼は半信半疑だった。条件が合うというだけで別人、という女をこれまで何度も見てきたからだ。しかし、彼女に会ってみて礼音は衝撃を受けた。彼女の顔が、初恋の少女そっくりだったのだ。彼はそのとき、彼女こそがあのときの少女に違いないと確信した。彼女は鈴木真央(すずきまお)という名前の女性だった。愛らしい笑顔が、初恋の少女とよく似ていた。それから礼音は真央に猛アプローチを始めた。アクセサリーをプレゼントしたり、仕事終わりに家まで送っていったり。彼女を落とすためならどんなことだってやってのけた。その努力の甲斐あって、彼は真央と交際することになった。しかし、恋人同士となるとこれまで見えてくることのなかった彼女の傲慢な部分が見え始めた。『礼音、私あのバッグが欲しいわ』『……前にも買ったばかりだろう?』『それでも欲しいのよ!あなたの財力なら買えるでしょう?』真央は次第に、彼とのデートで毎回高価なプレゼントを自らねだるようになった。それだけではなく、周りにいるカップルまでも貶すようになった。ある日のデートでは、近くにあったファミレスに入って行く男女を見
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