Lahat ng Kabanata ng 夫の拷問で死んだ私、今世は離婚します!今さら泣いて縋っても戻りません!: Kabanata 51 - Kabanata 60

77 Kabanata

第51話

香織は呆然と、目の前の光景を眺めていた。突然割って入った紳士的な男性と、床に倒れた男。突然のことで理解が追い付かない。(助けてくれたんだよね……?)礼を言おうと、香織は彼の背中に声をかけた。「あ、あの……」「……」その声に、彼が振り返った。「あ、あなた……!」その顔を見た瞬間、香織の中で一気に安堵感が広がった。香織の知った人物だったからだ。「――この間会った社員さん!」「……」香織を助けたのは礼音だった。彼は本当は九条グループの社員などではないのだが、香織は誤解したままだった。「ここにいるということは、あなたも帰りですか?」「……まぁ、そんなところだ」香織の問いに、礼音は頷いた。三回もたまたま会うだなんて、もしかすると私たちは本当に運命かもしれない。(でもダメよ、彼には恋人がいるんだから)香織はある程度の距離を保ったまま、礼音に尋ねた。「助けてくれてありがとうございます……名前を教えてもらってもよろしいですか?」「……安本礼音だ」「安本さんっていうんですね!」名前まで素敵、と香織は胸をときめかせた。彼女は面食いで、顔の綺麗な男性に弱かった。礼音は黙ったまま、何か考え込む様子で香織をじっと見つめた。探るような視線に、彼女は困惑した。「あ、あの……私の顔に何か付いているんでしょうか……?」「いや……」礼音は何かを誤魔化すように話題を変えた。「夜遅くに一人で出歩いているようだな。危ないから家まで送っていこう」「あ、ありがとうございます……!」礼音は香織の横に立ち、二人で家までの道のりを歩いた。「いつも一人なのか?」「はい、家から職場まではそれほど遠くないんです。運動のためにもいつも歩いています」「そうか……」二人の間に、不思議な空気が流れた。香織は人と話すときに緊張するタイプではなかったが、彼のように美しい男が相手となると話は別だ。(早く家に着かないかな……)しばらくして、九条邸へ到着した。自宅の前に立った香織は礼音に深くお辞儀をした。「送ってくださってありがとうございました。また会社で会いましょう」「ああ」香織は彼に見送られながら、家の中へ入って行った。***一人残された礼音は、香織が入って行った家の扉をしばらくじっと見つめていた。実は二人が出会ったのは偶然ではなかった。礼音は香織と一度二人で話
Magbasa pa

第52話

「香織さん、今度の休み、一緒にライブにでも行きませんか!」「ライブ……ですか?」夕食をとっていた香織に、有真が明るく声をかけた。今日の彼女はずいぶんと機嫌がよさそうだ。特別な日ではなかったが、テーブルの上にはご馳走が並んでいた。「実は人気アイドルグループのライブのチケットが取れたんです!香織さんと一緒に行きたいなと思って!」「アイドル……」有真が一枚のチケットを香織に手渡した。そこに書かれていた名前は、今や誰もが知る有名アイドルグループだった。そういえば、有真は推し活をするのが趣味だったっけ。香織は今になって思い出した。彼女はじっとチケットを眺めた。テレビで見ない日はないほどの人気絶頂のアイドルグループのチケットだ。倍率は高く、取るのも一苦労しただろう。「こんな貴重なものを……私と一緒でよかったんですか?」「もちろんです、むしろ香織さんのために取ったんですよ」香織との仲をもっと深めたい。香織には彼女のそんな気持ちがよく伝わってきた。彼女の返事をソワソワしながら待っている有真を、香織は何だか可愛らしく感じた。(そうね、たまにくらいならいいかしら……)香織は笑顔で有真に応えた。「ぜひ行かせてください。楽しみにしています、有真さん」「香織さん……!」彼女の返事に、有真は感動したように目を輝かせた。(ライブに行くだなんて初めてだわ、楽しみね)香織は食べたあとの食器を下げ、後片付けの手伝いをした。洗い終わった皿を拭いていた彼女に、有真が声をかけた。「香織さん、何だかさっきよりも表情が柔らかくなっています。楽しみですか?」「ええ……お出かけするのは久しぶりなもので、今からワクワクしてきました」「そうですか、香織さんはそういうところが旦那様に似ていますね」「ア、アハハ……」喜んでいいのか、香織は苦笑いした。たしかに香織は最近仕事ばかりしていたし、休みの日もあまり外には出ず、家で過ごしていた。(羽川家にいたときはどこへ行っても敵ばかりだったもの……)香織は羽川邸で暮らしていた頃、近隣住民からあまり好かれていなかった。最初は良い関係を築こうとしていた香織だったが、どれだけ努力してもダメだったのだ。彼らの中で、香織は亮太と日菜乃を引き裂く悪役でしかなかったから。羽川家でのことを考えると、どうしても気分が沈んでしまう。そんな彼女の気の沈
Magbasa pa

第53話

それから数日が経ち、いよいよライブ当日となった。香織はカジュアルな服に着替え、ライブが行われる多目的アリーナへとやって来た。(天気が良くて助かったわ、せっかくのお出かけが雨だと気分下がるし……)香織はライブ会場を見上げた。雲一つない青空を背景に、ドンッと存在感のある大きな建物。この場所に何万人もの人々が一堂に会するとは、とても想像がつかない。そのことを考えると、香織は何だかワクワクした。横ではアイドルのうちわやペンライトを持った有真がウキウキした様子で香織に話しかけた。「香織さん、今日は楽しみましょう!」「有真さん、張り切ってますね」有真は香織の十歳年上で三十を過ぎていたが、まだまだ若く、二人はそれほど歳が離れているようには見えなかった。「ライブにはよく行かれるんですか?」「そうですね、数少ない私の趣味です」二人は和気あいあいと会話をしながら、列に並んだ。「それにしても香織さんがいてくれてよかったです。旦那様は誘っても絶対に来ないでしょうし……」「アハハ、お父さんは来ないだろうなぁ」忠嗣が若いアイドルのライブでペンライトを振ってる姿など想像もつかない、いや想像したくもなかった。二人が会話に花を咲かせていると、背後から突然声をかけられた。「――あれぇ、奥様ではありませんか!」「……!」聞き覚えのある声に、香織は嫌な予感がしながらも後ろを振り返った。「日菜乃さん……亮太……!」彼女の予想通り、日菜乃と亮太が立っていた。(どうして二人がここに……!)せっかくの休日なのに、彼らと会ってしまうなんて最悪だ。日菜乃はライブには似つかわしくない派手なパーティードレスを着用していた。「もしかして奥様も、ライブを観戦しに来たんですか?」「ええ、そうよ……もしかしてあなたも?」「奇遇ですね、私たちもなんです」日菜乃は困ったように眉を下げて笑った。そして、彼女に一歩近づいた。「奥様、記事見ました。奥様がそのようなことをする人だなんて……信じられません」「あなたねぇ……!」香織はやったのはあなただろうと言いそうになるのを何とか抑えた。まだ日菜乃が首謀者だという証拠は掴めていなかった。その状況で彼女を責めたところで、香織の悪あがきだと思われるのは目に見えている。そんな香織の心境に気付いた日菜乃はニヤッと笑みを深めた。”九条家に戻ったか
Magbasa pa

第54話

香織と有真は思わず足を止めた。日菜乃はそんな彼女たちを挑発するかのように言葉を続けた。「家政婦をわざわざライブに連れてくるだなんて、奥様は優しいんですね」「日菜乃さん、この人は家政婦ではないわ」香織は有真を庇うように前に出た。彼女はあまりにも失礼な日菜乃の発言を看過できなかった。「私の継母であり、九条グループの社長夫人の有真さんよ」「あらぁ、そうだったんですね。私ったら、失礼しました」失言をしたという自覚はあるのか、彼女は口元を手で押さえた。「有真さんっていいましたっけ?社長の奥さんにはとても見えないもので、間違えてしまいました。すみません」「……」有真は忠嗣と結婚して大金持ちの家の妻となったが、特にハイブランドのものを買うわけでもなく、以前のように庶民的なファッションを好んでいた。「それにしても随分若いんですねぇ、香織さんとあまり年齢が変わらないように見えます。社長とは何歳差なんですか?」「……あなたにそれを教える必要がありますか」有真は素っ気なく答えた。どうやら家政婦と間違われたことに憤りを覚えているようだ。「そんな……私はただ興味本位で聞いただけなのに……」日菜乃は目に涙を溜めて呟いた。(出た!この女の悲劇のヒロイン症候群!)前世で見覚えのある光景だった。日菜乃は相手に挑発するような言動や行動を繰り返しては、責められるとまるで被害者であるかのように振舞うのだ。香織はこれまで何度も彼女の策略に嵌められてきた。「日菜乃!お前たち、何てことを言うんだ!」ずっと黙っていた亮太が間に割って入った。「亮太、私たちは何も日菜乃さんを責めたわけではないわ。それに先に失礼な発言をしたのは彼女のほうでしょう?」「失礼な発言だと?ただ日菜乃は社長と何歳差か聞いただけだろう?何も悪いことはしていないではないか」香織は呆れてものも言えなかった。こうやって亮太が日菜乃の肩を持つまでがもはやお決まりだった。「あのねぇ、亮太。人の家庭のことに他人があまり口を挟むべきではないと思わない?日菜乃さんと有真さんの仲が良いのならまだしも、二人は初対面よ?」「何だと?日菜乃が悪いというのか!」「社長、やめてください!私が悪かったんです!」「日菜乃……」日菜乃は亮太の腕にしがみついた。自分で相手を陥れておきながら、責められたときにはこうやって庇う様子
Magbasa pa

第55話

亮太と日菜乃が去ったあと、二人は会場の中へ入った。「有真さん、すみません……あの二人が好き勝手言ってしまって……」「いえ、気にしないでください。香織さんに非はありませんから」そう言いながら、有真は明るく笑った。彼女は亮太と日菜乃の二人と会うのは初めてだった。もちろん、二人の話は忠嗣や香織から聞いてはいたが、あそこまで常識のない人だということは知らなかった。慣れたように言い返す香織を見るに、あのようなことは羽川家では日常茶飯事だったのだろう。有真は香織の境遇を思い、胸が痛んだ。「あの二人はVIP席にいるんですよね。どこかで私たちを見ていると思うと、腹が立ってきます……!」「香織さん、落ち着いてください。こんなにも人がたくさんいる中で見つけられるわけがありません」今でも二人のことを考えると、苛立ちが収まらない。何故いつも自分の目の前に現れ、ああやって邪魔ばかりするのか。自分の知らないところで勝手に結ばれればいいものを、これ以上干渉してこないでほしいものだ。(せっかくのお出かけなのに、どうしてこんなにも不幸なことが立て続けに起こるのよ……)有真は苛立ちを抑えきれない様子である香織の背中を優しく撫でた。「香織さん、あんな人たちのことなんか忘れて今は楽しみましょう」「有真さん……」「ほら、もうすぐライブが始まりますよ!」「あ、はい!」その言葉で香織は元気を取り戻し、ワクワクした気持ちでアーティストの登場を待った。***それから数時間後。「楽しかったですね、ライブ」「はい!あんな世界があるだなんて、感動しました!」香織は興奮気味で有真と共に会場を出た。楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、もう帰らなければならない。(前世ではこんな楽しみを知らなかっただなんて、勿体ない!)彼女はすっかりアイドルたちの虜になってしまった。元々香織は面食いで、顔のカッコいい人に弱い。彼女のカバンの中は、先ほどライブ観戦したアイドルたちのグッズでいっぱいだった。「生で見るとアイドルって物凄いカッコいいんですね、驚きました」「そうですね、香織さんは誰推しなんですか?」「私は……」香織は有真がスマホに表示した画面に映る九人のうちの一人を指差した。彼が一番印象には残っているが、名前までは覚えることができなかった。「あら、彼は一番人気なメンバーなんですよ。最
Magbasa pa

第56話

「ど、どうしよう……浮かれててどうやってここまで来たか全く覚えてない……」 香織は周囲をウロウロしてみるが、どこも覚えのない道だった。ライブの余韻のせいか、入る前のことがまるで記憶になかったのだ。 (どっちから来たっけ?一旦あっちに行ってみよう……) 香織は直感で来た道を戻った。ここは初めて来る場所だったため、マップを見ても全くわからなかった。彼女は一旦スマートフォンで有真にメッセージを送った。 『すみません、道に迷ってしまって少し遅くなりそうです』 彼女に迷惑をかけたくはなかったから、何とか自力で戻るしかない。そう思いながらしばらく歩いているうちに、会場の裏まで来てしまった。 香織は、目立たない裏の道を通って有真の元へと向かおうとした。その途中だった。 「え」 次の瞬間、香織は腕を引っ張られ、草むらの陰に強引に押し込まれた。 「――ッ!」 彼女は強い力で床に押し倒された。目を開けた香織の視界に、美しい顔の男が映った。 「――お前か?最近プライベートで俺を付きまとっているのは」 至近距離で男に顔をじっと見つめられる。香織は自身を押し倒し、両脇に手を付いている彼の顔に見覚えがあった。 「あ、あなたは……!」 ついさっきまで香織がライブ観戦をしていたアイドルグループの人気ナンバーワンメンバー・如月隼人(きさらぎはやと)だった。隼人はグループ内で圧倒的人気を誇り、最近はドラマや映画などにも出演している。 まさに香織が指差していた推しそのものだった。 (ど、どうして彼がこんなところに……!) 香織は目の前に推しがいることに驚きを隠せなかった。私は夢でも見ているのか、きっとそうに違いない。そう思うことで何とか心を保った。彼は何も言わない香織に痺れを切らしたのか、強めの口調で問い質した。 「答えろ、ストーカー女め」 「…………へ?」 愛しの彼の口から飛び出したのはいわれもない罵倒だった。香織は慌てて口を開いた。 「ちょ、ちょっと待ってください!どういう意味ですか!?」 「お前が俺を付きまとっていたことは知っている。さっさと白状しろ」 隼人は覆いかぶさったまま、香織の頬を片手で掴んだ。 「ッ……!や……めて……」 「弁明でもしたらどうだ?このまま警察に突き出すぞ?」 彼は歪んだ笑みを浮かべた。香織は我慢の限界を迎え、彼を思いき
Magbasa pa

第57話

香織は掴まれた腕をもう片方の手で押さえた。ずいぶんと強い力で掴まれたものの、跡は残っていないようでよかった。 「謝罪の言葉すらないんですか?」 香織の鋭い視線に、隼人は一瞬狼狽えたが、すぐに口を開いた。 「……誤解して悪かったよ」 「二度とこのようなことはしないでください。私に対しても、それ以外の方々に対してもです」 「わかったよ、俺も心に余裕が無くってつい行き過ぎたことをしてしまったようだな」 隼人は反省したようで、香織から気まずそうに目を逸らした。二人は会場の裏の人気のない場所で座り込んでいた。押し倒されたせいで、香織の服には土や葉っぱが付着していた。彼女は自身の服に着いた葉っぱを一枚一枚取りながら尋ねた。 「ところで、どうしてこんなところにいるんですか?」 「あー……まぁ、色々あってな……」 はぐらかす隼人に、香織は不満げに頬を膨らませた。 「言わないおつもりですか?私はあなたにあんな目に遭わされたというのに」 「……」 外部の人間が口を挟むことではないかもしれない。しかし、少なくとも彼の誤解によって酷い目に遭わされた香織にはそれを知る権利があるのではないだろうか。 隼人は観念したように話し始めた。 「実は最近……何だか誰かにつけられてるような気がしてさ……どこにいても視線を感じるというか……」 「つけられてる……?」 さっきストーカーと言っていたのはそういう意味だったのか。香織は納得した。 「今日はその視線の正体を探ろうと思って……出待ちしてたんだよ。そしたらちょうどお前が通りかかったから……」 「それで、私を犯人だと思ったってわけですね」 「そうだ」 隼人は頷いた。 彼が人気アイドルである以上、過激な追っかけファンがいてもおかしくはない。 (そういや、私も大学時代似たようなこと亮太にしてたっけ……) そのことに気付いた香織は、目の前にいる隼人から視線を逸らした。 「あなたに付きまとっている人、私じゃありませんよ」 「そのようだな、誤解して悪かった」 ストーカーの前科アリだなんて知られたら、絶対に警察に突き出される。そう思った香織は、犯人は絶対に自分ではないと念を押した。 「事務所のほうで警告を出してはいるんだが……ファンの迷惑な行為は収まらないんだ」 「人気アイドルも大変なんですね……」 そこで隼
Magbasa pa

第58話

「有真さん!お待たせしてすみません!」「いえ、気にしないでください。ご無事で何よりです」隼人と別れ、香織は急いで有真の元へ戻った。彼女がトイレへ行くと言ってから既に二十分以上が経過していた。「無事……?」「またあの人たちに絡まれていたらどうしようかと……」「あぁ~……まぁ、そのときはそのときです」本当は亮太と日菜乃ではなく、別の人に絡まれていたのだが、それは言わないことにした。彼が人気アイドルである以上、そのようなことが広まってしまうのはよくないだろう。(お詫びとして連絡先ももらってしまったし……)ファンの一人と個人的に繋がっているだなんて噂にでもなったら、彼の人気に傷が付く。いくら無礼を働いたのが向こうであるとはいえ、香織は今回の一件を大事にするつもりはなかった。(……綺麗ね)見上げると、空がオレンジ色に染まっていた。もうすぐ日が沈みそうだ。「帰りましょう、香織さん」「ええ、そうですね。今日は有真さんのおかげでとても楽しい一日になりました」「それはよかったです!」今日は本当に色々なことがあったな。ライブへ行って因縁の二人と出会ったり、トップアイドルと思わぬ形で繋がったり。どれも予想もできないことだったけれど……(でも、すっごく楽しかった!)今では心の底から来てよかったと思える。香織はそんなことを思いながら、有真と共に帰路についた。***一方、羽川家が所有する車の中。「……」ライブ観戦を終えた亮太と日菜乃は、車で羽川邸へと帰る途中だった。人気絶頂のアイドルグループのライブ後だとは思えないほど、車内では重苦しい空気が流れていた。車の運転手は、ルームミラー越しに見える二人の不機嫌そうな顔に冷や汗が止まらなかった。ライブ終わりの二人を迎えに来るだけの仕事だったのに、何故こんなにも変な気を使わなければならないのだろう。ちょっとでも急ブレーキや荒い運転をしたりしたら一発でクビになりそうだった。ハンドルを握る運転手の手が小刻みに震え始める。助手席に乗っていた秘書の芹沢は、運転手にしっかりしろと視線でメッセージを送った。何故亮太と日菜乃がこれほど機嫌が悪いのか。芹沢のみが理由を知っていた。亮太は元々ライブ観戦など興味が無く、日菜乃が行きたいと言ったから権力を使ってチケットを取っただけだった。そのため、亮太は日菜乃と違ってライブに
Magbasa pa

第59話

「――おかえり、ライブは楽しめたか?」 「お父さん……!」 家に帰った香織と有真を、忠嗣が出迎えた。彼は今日仕事があるはずだが、珍しく定時に上がったようだ。リビングでコーヒーを飲んでくつろいでいた。 「ええ、とっても楽しかったです。有真さんのおかげですよ」 「私も香織さんがいたからいつもより楽しめました」 香織と有真は顔を見合わせて微笑んだ。いつの間にそんなに仲良くなったのかと、忠嗣は驚きを隠せなかった。こうして見ると、義理の母娘というより姉妹のようだと彼は思った。 「すぐにご飯の支度しますね」 「あ、私もお手伝いします!今日は休みの日なので」 香織はキッチンへ向かった有真のあとを慌てて追いかけて行った。そんな二人の様子を、忠嗣は温かい目で見守っていた。 九条邸では、新しく家族となった三人の平和な時間が流れていた。 *** 「――美佐子、飯まだか?」 「今作ってるわよ。私だって普段忙しいんだからね」 「忙しいって……お前仕事してないだろ」 香織がライブに行った日のこと。彼女の実母である美佐子は、家で同棲中の恋人の食事を用意しているところだった。 (ったく、どうして私がここまでしないといけないのよ……) 美佐子はソファでくつろぐ男を恨めしそうに見つめた。彼とはもう五年以上の付き合いになる。 彼女は一度目の離婚を経験したあと、すぐに不倫相手だった男と再婚した。忠嗣ほどではなかったが、彼も比較的裕福で、見た目も悪くなかった。しかし、三年も経てば夫婦仲は破綻し、離婚となった。 (前の旦那はモラハラだったし……離婚して正解だったわね……) それからすぐに美佐子は別の男と付き合い始めた。彼女は昔から恋人が途切れたことが無かった。美佐子は類稀なる美貌を持ち合わせていたうえに、男に媚びるのが上手かった。多少歳を取ったくらいでは、彼女の魅力は衰えない。 新しく恋人同士となり、現在同棲中の彼は美佐子と同年代のバツイチ男だった。前の旦那と同じように、彼もまた高収入のエリートサラリーマンだった。しかし、家事は一切やらないし、美佐子にも早く仕事を見つけろと言ってくる始末だ。 (あー……他に良い男さえ見つかればこんな男さっさと捨ててやるのに……!) 彼女はそんな思いから結婚相談所に通っているが、いつまで経っても良い出会いは見つからなかった。 若い
Magbasa pa

第60話

三人での夕食を済ませたあと、香織は父忠嗣の書斎を訪れていた。「お父さん、失礼します」「香織?どうかしたのか?」香織はノックをし、扉を開けて中に入った。いつになく真剣な面持ちの彼女を見た忠嗣は、秘書に出て行くように命じた。秘書が部屋から出て行き、香織は父親と二人きりになった。「お父さん、週刊誌に掲載された記事のことなんですけど……」「ああ、間違いなく羽川が仕組んだことだろうな」忠嗣も香織と同じように、この一件に亮太が絡んでいることを確信しているようだった。二人にとって、このようなことをするのは彼以外ありえなかった。「調べてみたが、あの雑誌を発行している会社の社長は羽川亮太と知り合いだった。おそらくあの男が頼み込んだんだろう」「そうだったんですね……」どうやら出版社ぐるみでの陰謀のようだ。社長ともあろう人間が、正々堂々と戦わずに人を貶めることに精を出すとは何とも情けない。「社長があの男のくだらない計画に協力したのは、九条グループそのものを狙っているからだろう。娘であるお前の名誉を傷付ければ、九条の名にも傷が付くからな」「ええ、そう考えるのが自然ですね……」九条グループを敵視している社長は、忠嗣が知っているだけでもかなりいる。彼はそのうちの一人だった。(とにかく、あの二人にしてやられるのだけは耐えられないわ……!)前世ではまんまと彼らの策略に嵌まり、惨めな最期を迎えた。今世では二度と同じようなヘマはしない。日菜乃の陰謀を予測し、私が最後の勝者となる必要がある。香織は握り締めた拳に力を込め、忠嗣を真っ直ぐに見つめた。「お父さん、今回の件は私に一任していただけませんか」「……何だと?」忠嗣が驚いたように目を見張った。強大な羽川家を相手に、娘がたった一人で立ち向かうと言ったのだ。「香織、私に迷惑をかけるのではないかということを気にしているのなら……」「いえ、そうではないんです」香織は父親の言葉を遮った。「羽川家にいた頃、私はずっと彼らの手のひらの上で転がされてきました。このままやられてばかりでは、私の気が済まないんです」「香織……」忠嗣は胸がチクリと痛んだ。娘がそれほど辛い思いをしていたというのに、助けてやれなかった自分が恨めしかった。自分を恨んでいるだろうから……というくだらない思い込みで忠嗣は娘に連絡をしてこなかった。そ
Magbasa pa
PREV
1
...
345678
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status