都内有数の大規模斎場。 朝から降っていた雨は上がっていたが、空はまだ薄く鈍く、光だけが曖昧に広がっていた。 黒塗りの車が絶えず出入りし、喪服の人波が途切れない。供花の香りと線香の煙が混ざり、その向こうには、この規模の葬儀にしては不自然なほど整然と区切られたメディアエリアがあった。 斎場の外には報道カメラが並んでいる。 決められた線より先には入らない。 それでもレンズは、絶えず祭壇の方向へ向けられていた。 まるで、それが当然の景色であるかのように。 彩は、その異様さをまだうまく理解できずにいた。 黒い喪服に包まれた自分の手を見る。 指先が少し冷たい。 隣には柳田。 少し後ろには、南条、井原、加納、黒瀬。 UTAHARA OFFICEでレイラを支えてきた面々が揃っていたが、今日は誰一人として仕事の顔をしていなかった。 「……彩さん、大丈夫ですか」 小さく声をかけたのは柳田だった。 彩はすぐに答えられなかった。 大丈夫かと聞かれても、何をもって大丈夫と言えばいいのか、もう分からない。 「……はい」 ようやく、それだけ返す。 自分の声なのに、自分のものではないように聞こえた。 祭壇の中央には、歌原レイラの遺影がある。 大輪の白い花に囲まれ、姉は笑っていた。 いつものように綺麗で、隙がない。 それなのに、そこにいるのは写真だけだった。 病院で白い布の下にいた人。 花の中心で微笑んでいる人。 毎朝、当たり前のように「起きなさい」と言っていた姉。 その三つが、まだ一つに結びつかない。 死んだという言葉だけが先にあって、姉がいないという現実は、まだどこか遠かった。 * 「少し座りませんか」 井原が椅子を引いた。 彩は小さく頷き、腰を下ろす。 南条が水を差し出した。 「無理して立ってなくていいから」 「……うん」 キャップを開ける手が、わずかに震えた。 黒瀬は壁際で腕を組んだまま黙っている。加納は何度か口を開きかけたが、そのたびに閉じた。 誰も、正しい言葉を持っていなかった。 「レイラさん、こういうの嫌いそうっすよね」 南条が低く言った。 彩が顔を上げる。 「……何が?」 「メディア席ですよ」 彩は視線を向けた。 一般参列者の導線から少し外れた場所に、報道関係者の区画がある。 カメラは静かに向
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