ヴィクトリアはマリアに案内されて二階のリビングまで来ていた。 ヴィクトリアは聞きたいことがたくさんあったので、移動の途中で彼女に話しかけようとしたが、マリアは口を開きかけたヴィクトリアの唇に人差し指を押し当てて黙らせてしまった。 「誰かに聞かれるとまずい話が色々あるから、周りに誰もいない所に行ってからにしましょう」 ヴィクトリアが話そうとするのをやめた後も、なぜかマリアは指でぷにぷにとヴィクトリアの唇の感触を確かめている。 何だろうと小首をかしげながら瞬きをしているヴィクトリアを見たマリアは、ふふふ、と妖しく笑ってから指を離した。 ヴィクトリアは促されてリビングにあったテーブル前の椅子に座った。すると、隣の椅子を引いてカナリアが椅子によじ登ってくる。椅子に座ることに成功したカナリアは、ヴィクトリアを見てニコニコと笑っていた。 「お姉ちゃんすごく綺麗。お姫さまみたい」 ホットミルクを入れたカップをヴィクトリアの前に置きながら、それを聞いていたマリアが笑っている。 「あらあら、懐かれたわね。この子は美人が好きなのよ。誰に似たのかしら」 そう言いながらマリアはカナリアの体を椅子から抱き上げると、少し離れた子供用の小さなテーブルの椅子に座らせた。 「ママはお姉ちゃんと大事な話があるから、カナはお絵描きやお遊びをして少し待っていてくれる?」 「うん!」 カナリアは素直にうなずくと、テーブルの上にあったクレヨンを掴んで白い紙に絵を描き始めた。 マリアはヴィクトリアの正面の椅子に座った。 「ナディアからどこまで聞いてる?」 そう言いながらマリアは湯気の立つカップを手にすると中のお茶を一口飲んだ。ヴィクトリアに用意した飲み物とマリアが自分用に用意した飲み物は中身が違う。 おそらくマリアはヴィクトリアが獣人であることを承知しているのだろう。 「あなたたち夫妻が以前ナディアを助けたということと、あなたが魔法使いであること。それから魔法使いのことは他言無用であること。あなたたちの命がかかっているからと。それくらいだわ」 ヴィクトリアの言葉を受けてマリアは大きくうなずいた。 「そうね。私が魔法使いであることは誰にも言わないでいてほしいの。私たち家族は私が魔法――『真眼』という特殊能力を持っているせいで、以前殺されそ
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