「お姉ちゃん、おはよう」 リビングに行くと既にカナリアが起きていて、テーブルの前の子供用の小さな椅子に座って牛乳を飲んでいた。マグノリアはまだ起きていないようだ。 勧められるままヴィクトリアもテーブルについたが、ロータスはまだうろたえている。「な、何か飲むか?」 ぎこちない笑みを向けられてヴィクトリアは顔を隠すようにうつむいた後、突然吹き出した。「え? ヴィー?」「ごめんなさい、ちょっとそのエプロンが……」 ロータスが身につけているのは女性用の花柄エプロンで、ついでのように白いレースのヒラヒラまでついている。シドの顔とそのエプロンがありえない組み合わせすぎて、笑いが込み上げてきてしまった。 少し場の空間が和む。ロータスがほっとしたような顔になる。「ごめんな、変な匂い嗅がせて。すぐにマグを起こして魔法をかけ直してもらうから」「驚いたけど気にしてないから大丈夫よ。二人は夫婦なんだし…… どうして魔法が解けたの?」 マグノリアは寝室に元々の匂いがわからなくなるような魔法をかけていたようだ。それが朝になったら効かなくなっていたのは、ヴィクトリアが寝ている間に魔法が解けてしまったからだろう。「その…… マグがちょっと気絶しちゃって」「気絶?」「普通に寝てるだけなら魔法は解けないけど、何かの理由で気絶したりすると、魔法は解けてしまうんだ」(そういえば昔読んだ魔法書にそんなことが書いてあったかもしれないわ) 魔法使いは普通に気絶する以外にも、魔法を使いすぎて魔力が枯渇しても気絶するらしく、それでも魔法は解けてしまう。「おはよう…… ごめんね、寝坊しちゃったわ」 ほどなくリビングにマグノリアが現れた。マグノリアは昨夜寝る前は金髪茶眼の姿だったが、今は本来の黒髪黒眼に戻っている。 朝すっきりと目覚められないと言っていたが、確かに顔色は悪くないものの、少し気怠そうだった。「おはようマグ」 対するロータスは完全にすっきりとした爽やかな笑顔を向けている。「いいんだよ、今朝は俺が全部やるから。ささ、座って」 ロータスは上機嫌でニコニコしながらテーブルの椅子を引いてマグノリアを座らせようとするが、マグノリアはその前に姿替えの魔法を使い、ロータスを黒髪黒眼に、自身を金髪茶眼の姿に変えた。 極力正体がばれないように、魔法が使える時はできる限り魔法を
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