Alle Kapitel von 獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかけて逃げた後その中の一人と番になる~: Kapitel 201 – Kapitel 210

224 Kapitel

16 王に捧げる

 執務室で仕事をしていたヴィクトリアはペンを走らせていた手を止め、顔を上げた。 ヴィクトリアの視線の先、外の風を入れるために開けていた窓から入ってきたのは、不審者ではなくて、この国の王だった。「ちょうどよかったわ。キャンベル家から資材の引き渡しの件で書面が来ていたから、目を通しておいてもらえる? それから、これと…… あとこれも……」 ヴィクトリアは言いながら必要な書類を取り出すと、背後からの風を背に受けて、自由人そのままの雰囲気で窓枠に脚をかけてだらしなく座るシドの手元まで、魔法を使って書類を運んだ。 以前はシドの番たちに物凄く憎まれ恨まれていたために、阻害されて魔法が使えなかったヴィクトリアだったが、「番解消の魔法」発動後は、彼女たちのヴィクトリアへの恨みの感情の大部分が消え、魔法が使えるようになった。 学校環境を整えるなどして頑張っている最中だが、獣人たちの識字率はまだまだ低く、文字を使って仕事ができる者も限られていて、そのためにヴィクトリアは「国」の重要な案件を含む書類と格闘する、とても忙しい日々を過ごしていた。 あの日ジュリアスから、「国を作ってほしい」と頼まれて以降、色々なことがあった。 様々な問題を乗り越えつつ、もちろん言い出したジュリアスやキャンベル伯爵家の協力も得て、時には反対する人間たちとの血なまぐさい衝突も皆無だったわけではないが、苦しみを乗り越えて、ヴィクトリアたちは国を作った。 この絶倫大魔王じゃなくて獣人王シド率いる獣人の里と周辺一帯の魔の森は、悲願叶い、「獣人の国」として人間社会からの独立を果たしている。「まあいいんじゃないか」 書類を読み条件を確認したシドがそう言った。「良いなら一番下の欄にサインをしておいてくれる? あっ! あなたのサインが必要なものが他にもあるのよ。ええと、これと、これと…… これもそうね。あとこれも――」「ヴィクトリア」 ふよふよと次々に書類を空中に浮かせて机回りのことばかり気にしていたヴィクトリアは、気づけばいつの間にか瞬間移動ばりの高速でそ
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《レインバッドエンド 愛していると言わない男》1 手籠め

エンド説明:《対銃騎士隊編》の「33 危機一髪」話の途中からの分岐です。ナディアが街歩きするヴィクトリアとレインに遭遇しなかった場です。監禁バッドエンドルートですのでご注意ください。 バッドエンド共通補足:ヴィクトリアは魔法の力に覚醒しないまま終わります。ブラッドレイ家の正体も知らないままです。  ********** (もう駄目――!)  ヴィクトリアはぎゅっと目を瞑った。下着が下ろされて足先から抜かれてしまい、胸当ても取られて全裸にされてしまった。レインの手が胸を撫でてきて、ヴィクトリアの体がビクリと反応する。目を開けると情欲にまみれたレインの視線とぶつかった。 「すごく柔らかい…… やっぱり最高だ」 「んっ、んんっ……」  胸を揉まれながら時々指先でひっかくように乳首をこねられると、刺激されている部分と下腹部が切なくなってきて、猿ぐつわの隙間から声を漏らしてしまう。  しばらく胸をもてあそばれてから手が離れ、今度は太ももに手をかけられる。レインの意図を察したヴィクトリアは脚に力を入れて抗おうとするが、抵抗虚しく開脚させられて、レインの目の前に秘部を晒してしまう。 「ああ、ヴィクトリア…… とても綺麗だよ」  レインが微笑みながらうっとりとつぶやく。ヴィクトリアの目からポロポロと涙の粒がこぼれ落ちた。そんな所を異性に見られてしまうのは初めてだった。 「んっ……!」  レインが秘所へ手を伸ばしてきた。ヴィクトリアは触れられた衝撃で体を跳ねさせ、声を漏らした。  レインはヴィクトリアの秘裂を指で開き中を覗き込んでいる。あまりのことにヴィクトリアの頭は真っ白になってしまって、成されるがままだった。  レインが開いた秘裂から指を挿れて中をまさぐり始める。 「んんーっ!」 (や、やめてー!)  抗議の声を上げながらもレインの指が自分の中に入っているのを感じて体がビクビクと反応してしまう。 「よくわからないな…… でも処女膜はちゃんとあるはずだよね?」  レインは膣内に埋まる指を動かしながらそんなことを言ってくる。処女膜を確認しているようだった。  衝撃的な言葉にヴィクトリアの頭は羞恥を通り越してただ戸惑うばかりだ。  レインはヴィクトリアの股間をいじり始めた時からずっと、嬉しそうにしている。 「今日で君が守り通した処女の証とも
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2 分かれ道

 レインが雄を引き抜き、脱力して脚を開いたままのヴィクトリアを置いてベッドから離れていく。言いようのない寂しさが募った。 レインはすぐに戻ってきて、ヴィクトリアの股関あたりをハンカチでぬぐい、体を清めてくれた。それから猿ぐつわを外して、ヴィクトリアに粉薬と水を寄越してきた。 レインは避妊薬だと言った。 さっき中に出してしまったから、子供が出来ることを恐れたのだろう。獣人と子供を作ったことがわかれば死罪だ。 ヴィクトリアは言われるがままその薬を飲んだ。「媚薬入りだけどね」 と付け加えられたのは、飲んでしまった後だった。 呆気に取られる中、水の入ったコップを奪われて、レインに押し倒される。レインがまた猿ぐつわをしようとしてきたが、ヴィクトリアはそれを止めた。「ねえ、それやめて。そんなものしなくても私は大丈夫。枷も全部取って。もう逃げないから」「駄目だよ。ヴィクトリアが俺のことを番だってちゃんと思い知るまでは。もっとヴィクトリアの体に俺を馴染ませないと安心できない。だって、君は嘘をつくから」 抵抗したが、体の自由が効かない薬の効果は持続中で、また口の中にタオルを押し込められた。 レインが服を脱ぎ始めた。さっきは彼だけ服を着たままだったが、今度はレインも裸になってくれるようだ。 昨日も匂いで嗅いだが、改めて素肌を見てしまうと心臓がドキドキして視線を外せなくなってしまう。レインの体はとても綺麗だった。ヴィクトリアは拘束されて自由に動けないが、彼の筋肉を直接触ってみたいと思った。レインの全てが好きだ。 服を全部脱いでしまうと彼の中心部が気になって仕方がなかった。自分にはないその器官は、先ほどヴィクトリアを貫いた時と同様に大きくなっていて、雄々しく勃ち上がっていた。 レインはヴィクトリアの体を隠していた掛け布を剥ぐと。彼女の足を開いて――いきなり挿入してきた。「んっ……! んんっ!」 性急に侵入してくる感覚に喉が鳴るが、ヴィクトリアのそこはレインのものを難なく呑み込んでしまった。 ついさっき犯されたばかりの泥濘む穴にまた熱が蘇り、レインのペニスを歓迎するように蠕動して締めつける。こすられる度に快楽が増して、ヴィクトリアを追い立てた。ヴィクトリアの肉体が快感に悶え始めるのが初回の時よりも早かった。媚薬が既に効いているのか
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3 地下室

 ヴィクトリアはレインに馬車に乗せられ、途中宿を取りつつ二日ほどかけてこの国の首都近郊まで連れてこられた。 途中、人気の多そうな街中を通ったりもしたが、馬車の窓は外が見えないように黒い布などで覆われてしまい、外を直接見ることはできなかった。 ヴィクトリアは窓の隙間から入る風の匂いから、外の風景をぼんやりと感じ取れる程度だった。 レインはヴィクトリアのことをもう誰にも見せたくないのだと言う。特に男には。 馬車の窓を布で覆って覗き込まれないようにするのもそうだが、馬車から出て宿に入る際も徹底していて、顔はもちろん手など肌が露出している部分や髪の毛まで外にはさらしたくないと、レインの衣服や他のもので隠されたり、ぐるぐる巻きにされて、宿屋の部屋にたどり着くまでが息苦しすぎてつらかった。 明らかに怪しい人型のものを抱えた人物がやってきたら宿泊をお断りされそうなものだが、銃騎士であるレインは訳ありなのかとあまり詮索されなかったようだ。 馬車が止まり、レインの自宅だという場所に着いた。 ヴィクトリアは案の定、御者台の男から隠すために体を布でぐるぐる巻きにされてから、戸建ての家の中に入った。 ソファに座らされるが、布はまだ取らないでと言ってレインが外に出ていく。荷物や馬車の支払いが残っているからだろうと思った。 ヴィクトリアは言いつけに背いて少しだけ顔に巻かれた布をずらし、隙間から周囲の様子をうかがった。 レインは愛する番であり、彼から離れるつもりはもう微塵もないが、たぶんこのまま監禁されてしまう可能性が高いので、自分の現在の状況を早めに確認しておきたかった。 現在いるのはおそらくリビングだと思うが、部屋の中ははっきり言って殺風景だった。 テーブルや椅子やその他の生活に必要だと思われるものは置かれていたが、それ以外に趣味のものや調度品が飾られているということもなかった。 何にもない。がらんどうに近い。 レインが戻ってくる気配がしたので、ヴィクトリアはずらした布を元の位置に戻した。 レインは無言のまま近寄ってくると、ヴィクトリアを抱えて歩き出した。 リビングを出たレインはどこかの部屋に入った。数歩行ったところでヴィクトリアは床に下ろされる。 ギギィ…… と扉のようなものが開く音がした。「……ねえ、これもう取ってもいい?」「まだ駄目」 レインが
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4 愛していると言わない男

 ヴィクトリアがレインの家の地下で暮らすようになってしばらく経つ。  少し前にレインは任務のために首都から離れてしまい、ヴィクトリアは一人地下室でレインを恋しく思いながら過ごし、レインに会えることだけを心の支えにして生きていた。  外に出られないことと、レインが仕事でいなくなって会えない時間が多いことを除けば、地下室の住み心地自体はそれほど悪くない。  その日も朝起きて、いつものように花壇のマリーゴールドに水をあげてから、先に洗濯をすませてサンルームに干しに行く。  この部屋の光は一階のサンルームに注いだ光をさらにガラスに透過させているので、暗いわけではないのだが、外で浴びていたものよりも陽射しはどこか淡く儚げだ。  洗濯の後に昨日作った料理の残りで朝食を簡単にすませようとするが、あまり食欲が出ずに半分ほど残してしまった。  皿を洗ったあとは地下中央のリビングにあるソファに座って、何をするでもなくぼうっとしてしまう。最近はただぼうっとしている時間が増えた。  このままではよくないことはわかっている。ヴィクトリアは気持ちを奮い立たせて浴室に向かった。趣味である入浴をしている時は心が落ち着いていつもの自分でいられた。  お湯を溜め、里では禁止されていた入浴剤を入れて香りを楽しみながらお湯に浸かると、落ち込んでいた気分が少し上向いてきた気がする。 (自由がなく一人でいることが多かったのは里でも同じだったわ。だから大丈夫。あの頃はリュージュが支えだったけど、今はレインがいてくれる。私の番。大丈夫よ、レインの仕事が終わったらまた会える)  入浴後は昨日読みかけだった本を持ってサンルームへと向かう。書斎やリビングで読むこともあるが、椅子を持ち出してきてサンルームで読むことも多かった。外にいるようで少し気持ちがいいのだ。  読書に没頭しているといつの間にか陽の光が橙色に近づいていることに気づく。時間の感覚が麻痺してしまっていたが、もう夕方のようだ。そのうちここも暗くなる。  照明設備のないサンルームの夜は、真っ暗で怖いのであまり近づきたくない。ヴィクトリアは急いで洗濯ものを取り込むとサンルームを後にした。  昼食を飛ばしてしまったが、あまり空腹を感じない。とりあえずヴィクトリアはまたお風呂に入った。  入浴で気持ちをすっきりさせた後に夕食の準備に取りか
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5 彼の復讐 1

 唇に冷たい感触が当たった。口の中に甘い液体が入り込んてきて、深く寝入っていたヴィクトリアは反射的にそれを飲み込んでしまった。それは以前にどこかで口にした味だった。 液体を嚥下した後も口の中に柔らかな肉の感触が残っていて、少しざらついているその肉は、ヴィクトリアの舌や歯列の感触を一通り確かめるように触れた後に、離れていった。「ヴィクトリア」 すぐ近くで愛しい人の声がする。(ああ、レイン…… 帰って来てくれたのね……) 深く眠り続けていたために夢も見なかったが、ヴィクトリアはレインの声が聞こえたことをきっかけに、色づいた幸せな夢を見始めた。 レインと二人で一階の食卓に着いている。レインはヴィクトリアが作った料理を美味しいと言ってくれて、二人で笑い合いながら食事を共にする。 カチャリ、カチャリと、ナイフとフォークが触れ合う、食事中の金属音にしてはやや大きめの音が夢の中で響いた。 ふと、ヴィクトリアは身の各所に冷たい感触を感じた。両手と両足と、それから特に胸や下腹部あたりから冷たい感触と共に、快楽が迫り上がってくる。「んっ…… あっ…… あっ」 自然と喉から漏れてくる自身の喘ぎ声と共に意識が夢から浮上していく。まぶたを開けると、まるで世界が終わったかのような酷く暗い顔をしたレインが全身ずぶ濡れの状態ですぐそばにいた。 レインは指と指の間でヴィクトリアの乳首を挟み込みながら、胸を鷲掴みにするようにして揉んでいた。 もう片方の手はヴィクトリアの性器に伸びていて、ぬちゅぬちゅと音を立てながら膣の中に沈み込んで蠢いていた。冷たい感触は雨に打たれて冷えたレインの手に触れられていたからのようだ。 しかし寝ている状態で性的なことをされていたことよりも何よりも、いつの間にか寝衣を剥ぎ取られた全裸の状態で、両手両足に枷をかけられて、続く鎖でベッドに繋がれていたことの方が驚いた。 脚に関しては膝を折った状態で大きく股関を広げられていて、陰唇がパックリと口を開けたようになっていて、レインの指を貪欲に飲み込んでいた。 恥ずかしくて脚を閉じようとしても鎖が短すぎて閉じられない。なぜだか体に力が入らなくて、鎖を引きちぎろうとしても叶わなかった。 レインはヴィクトリアが起きたことに気づいても、暗い表情をしたまま手を止めずに、クリトリスの裏側を執拗に刺激していた。「あ
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6 彼の復讐 2

「や、やだっ! やめて!」  レインは張型を横に倒すように押しつけると、膣口からあふていた愛液が張型全体に付着するように動かして押しつけてくる。「うぅっ……」 冷たい感触に嫌悪感が全身を駆け巡る。張形からは樹液から作られたような匂いがして、人体の一部でないことはわかるが、感触は勃起したレインのソレにそっくりだった。 この国の人間社会ではそういう方面のものが発達していて、張型と呼ばれる男性器を模した器具があること自体は以前本で読んで知っていたが、獣人社会ではそんなものは流行っていない。獣人には不要というか、番を持つ獣人女性が使ってもただ苦痛なだけだろう。 ヴィクトリアだって番であるレインの体以外の物はそこに入れたくない。獣人女性は本能でそんなものは受けつけないのだ。(レインはそのことを知らないの?)「レイン! やめて! こういうのは獣人は……っ!」 ヴィクトリアの言葉が途中で止まる。張型を使われるかもしれない恐怖でガタガタと震えているヴィクトリアの口に、突然レインが脱がした寝衣の一部を突っ込んだのだ。レインは首の後で寝衣を強く結び、簡単には外れないようにしている。(これは、猿ぐつわ…… あの時と同じ……) ヴィクトリアは枷と薬のせいでろくに抵抗できず、ただ驚きのまま目を丸くしてレインを見ていた。暗く淀んだような表情をしているレインを。 知らないんじゃない。張型を使うことが番持ちの獣人女性にとっては拷問に近いことを、レインは知っている。だからこその猿ぐつわだ。手枷足枷を使って、逃げないように体を拘束しているのだ。 衝撃しかなかった。街歩きをしていた時に薬を飲まされて奴隷にすると宣言された時よりも、レイプされた時よりも、裏切られたと感じた。(なんで…… どうしてよ…… レイン……) 今の彼からは、愛情なんて一欠片も感じない。 レインは張型の先端でヴィクトリアのクリトリスを刺激しているが、先ほどレインの指で膣内をまさぐられていた時とは違い、クリは小さくなって縮み上がっている。レインのペニスで刺激されている時とは大違いだ。 レインだってヴィクトリアが全く求めていないことはわかっているはずなのに、彼はやめてくれなかった。 張型でヴィクトリアのクリトリスを勃起させることを諦めたレインは、張型の先端をうっすらと開いた陰唇に当てがった。 恐怖と
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7 二度目の強姦

 レインが慟哭している。 ヴィクトリアは愛する番に非道なことをされて心が壊れそうだったが、同時にレインの悲しみを受けると胸が痛くて仕方がなかった。 レインが枷や猿ぐつわを取ってくれる。「……どうしてこんなことをしたの?」 泣き声以外はお互いに口を開かないまま、しばらく時間を置いた後にヴィクトリアがたずねた。 張型に犯されながら、ヴィクトリアが快楽ではなくて苦痛を感じていたことはレインだってわかっていたはずだ。わかっていながらレインはその行為をすぐにやめなかった。「ごめん」 レインは短くそう言っただけで詳しいことは何も言ってくれない。けれど悲しみに沈んでいる様子を見ていると、こちらまで苦しくなってしまって、レインをなじる言葉は出てこなかった。「獣人は人間とは違うからあんなことしても気持ちよくなんてならないの。苦しいだけよ」「ごめん、もう二度としないから…… 許してくれる?」(二度としない、二度としないのであれば……) ヴィクトリアは考える。愛する番に痛めつけられたのは泣き叫びたいほどに悲しい出来事だが、だからと言って番からは離れらない。終わってしまったことはもう水に流して、忘れて、しこりを残さないように受け入れた方が賢明だ……「……わかったわ。獣人はこういうことが全く駄目だって知らなかったのかもしれないけど、もう二度としないでね。約束よ」「ああ、わかった」 レインは知らなかった。事実は違っていたとしても、そういうことにしておきたかった。「私、お風呂に入ってくるわね」 体は汚されてベタベタだ。体を綺麗にしてすっきりしてから眠りたかった。しかし心身共に追い詰められられた影響か、寝衣で前を隠しつつベッドから下りたところで少しふらつく。 レインが手を差し出してきて支えようとするが、ヴィクトリアは触れられた瞬間ビクリと体を強張らせて、思わずその手を振り払ってしまった。 ヴィクトリアは自分で自分の行動に驚いた。直前までそんなことをするつもりは全くなかったのに、反射的に動いていた。レインの手が触れた瞬間、張型で責められていた時の苦痛が蘇ってしまったのだ。 こちらを見つめるレインも驚いたような顔をしている。「ヴィクトリア」 レインもヴィクトリアに拒絶されたことを理解したらしい。不安そうに名を呼んで一歩こちらに詰めてくるが、その分ヴィクトリア
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8 寝言

 地下監禁生活にも変化はあって、以前レインと一緒に婚礼衣装を着て撮った写真が届いた。 大きく引き伸ばされて上等そうな厚紙に入ったものと、それよりは小さいが綺麗な写真立てに入れられたものがいくつかあって、ヴィクトリアは嬉しくなって地下室の至る所に飾った。 レインは全く同じ写真を何枚も買っていて、あの時撮った写真は全てアルバムの中に収められていた。 しかし鑑賞用が二つと保存用も二つあって頼みすぎではないかと思ったが、「地下室で見るのと一階で見るためには二つずつ必要なんだ」とレインは主張していた。 地下室の書斎には本だけでなくて、婚礼衣装とは別の写真が入ったアルバムも置かれていた。アルバムの中にはレイン自身が写った写真なんてほとんどないのに、十代前半頃から現在に至るくらいまでの、ヴィクトリアを隠し撮りしたような写真はたくさんあって驚いた。 ただそれ以上に驚いたのは、たぶん一緒に写っていただろうと思われるリュージュの部分が、そこだけ燃やされたような跡があったり、刃物で切り刻まれていたり、顔の部分に銃弾が撃ち込まれていたことだ。 五体満足で写っているリュージュの写真なんて一枚もなくて、レインがやったのに違いないと思うが、ちょっと引いた。 レインは、「実は獣人の里には銃騎士隊の潜入捜査員がいて、そいつからすごく美人で可愛い獣人の女の子がいるって聞いて、気になって、写真を撮って俺だけに渡すようにってずっと頼んでたんだ」と言っていた。 それを聞いたヴィクトリアは、本当の話だろうかと思った。 レインがヴィクトリアの存在を知ったのは、彼が銃騎士隊に入る前のはずだ。写真を見たからではないと思う。 ヴィクトリアは、「私たちは昔実際に会っているよね?」と何度も言いかけて、でも、結局言えなかった。 レイン自身があの時のことを話すのを避けているような気がして、それにヴィクトリアにとっても、かなり話しづらいことだったので、打ち明ける勇気も出ずに踏み込めないままだった。 ******「おかえりなさい!」 レインがしばらく不在だったので、リビングのソファで一人で座り気が抜けたようになっていたヴィクトリアは、愛しい人の匂いに気づいた瞬間、それまでとは真逆のような明るい表情になり、階段を一気に駆け上った。 ヴィクトリアは扉から現れたレインに飛びつく。レインも嬉しそうに笑って
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9 禁句

 レインが帰ってこない。 地下室に一人きり取り残されたヴィクトリアは、今レインがどうしているのか考える度に心が擦り切れそうになった。 レインは仕事だと言っていたが、本当は別の女の元にいるのではないかと悪い方にばかり考えてしまう。 入浴をしてももう気持ちを切り替えることができない。レインとの結婚写真だけが今のヴィクトリアの支えだった。 ヴィクトリアは写真を見つめながら自分に言い聞かせる。(信じなきゃ…… レインは私の唯一の番なのだから、信じないと……) たとえ愛していると言ってくれなくても。 ******「レイン!」 何日ぶりだろう、レインが帰って来てくれた。 ヴィクトリアは喜び勇んでレインに飛びついた。レインの体から女の人の匂いは全くしない。(やっぱりこの人は私だけのレインよ。信じてよかった)「ごめん、ヴィクトリア。遅くなった」 レインが抱きしめてくれる。この人の腕の中にいることがヴィクトリアの至上の幸福だった。 夕食前の時間帯だったので、レインが入浴している間に食事の準備をした。夕食の仕度をしながら、ヴィクトリアはある一つのことを決意していた。 今はレインがそばにいてくれるから気持ちが上向いているが、またいなくなれば沈み込み、暗いことばかり考えてしまう。延々と悩み続けるのもよくないし、ヴィクトリアはこの際はっきりと聞いてしまおうと思った。 ティナという人は誰なのかを。 ****** 夕食はステーキと、スープを用意した。食材がもう少なくなっていると告げると、レインは「明日は休みにしたから買い出しに行ってくるよ」と言った。 「どうした? まだ調子悪い?」 レインが心配そうにしながらたずねてくる。 いつものヴィクトリアであれば、レインの外であった話をニコニコと笑顔で聞いていたが、今日は寝言で呼んだ女性のことを聞こうと決めていたので、どこか緊張した表情でいたようだ。 ヴィクトリアは首を横に振った。月経はもう終わっている。 ヴィクトリアはナイフとフォークを置いた。「レインに聞きたいことがあるの」「何?」「ティナって誰?」 その瞬間、レインの表情から全ての色が消えた。 ダン! とナイフとフォークを叩きつけるように置いたレインが、激しい音を立てて椅子から立ち上がった。「レ、レイン、どうしたの……?」 レインはヴィクト
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