離婚が成立してから、司は目に見えて明るくなっていった。 肩に乗っていた重い何かが、ようやく降ろされたような、そんな軽さがあった。 朝の目覚めも違う。事務所に入る足取りも、以前より確実に速い。仕事にも、これまで以上に精力的に取り組んだ。 自ら外へ出て頭を下げ、久しく途絶えていた取引先とも再び話をつなぎ、 いくつかの新しい仕事を、確実に会社へ持ち帰ってきた。だが――現実は、甘くはない。養育費、そしてそれ以外の支払い。 小さな運送会社の社長が、容易に払い続けられる金額ではなかった。 前の家族に、役員報酬のほとんどを渡し、 それでも自分自身の生活は続けていかなければならない。これは、美里からの 「奴隷は解放しない」 という宣言のようだと、司は時折、考えてしまう。いずれ子どもたちも社会人になる。 だが、「いずれ」では遅すぎた。 現実問題として、慰謝料と養育費で、今まさに資金繰りは苦しい。そのことを考えるだけで、胃のあたりが、きりきりと痛んだ。そんな司を、真澄は黙って見ていたわけではなかった。「社長、あの新車は社長しか乗らないのであれば、会社名義にしたらどうですか? それとも、知り合いのつてで売ってしまうか」真澄の提案だった。 売ってしまうのは惜しいと判断し、会社名義に変更し、経費として支払うことにした。さらに真澄は続けた。「役員報酬を上げましょう。社長も売上に貢献しているんですから」ほんの少額ではあったが、確かに意味のある増額だった。 それだけで、司の胸の内は、驚くほど軽くなった。最近では、運転手を横に乗せて「俺が運転する」と言い、自らハンドルを握って現場へ出ることも多くなった。久しぶりに戻った、トラックの運転席。 ハンドルを握る司の横顔を見て、真澄は思った。 ――あの雪の日の、かっこいい運転手さんだ。そんなある日。真澄が、知人から紹介されたという、新しい輸送案件を持ってきた。 一日、大型トラック十台分の仕事だった。話を聞いた瞬間、司は思わず目を見開いた。「真澄さん……これは、誰から?」驚きを隠せずに聞くと、真澄は少し照れたように答えた。「昔からの知人に相談したら、信用できる会社なら、ぜひ任せたいと仰って……」そして続ける。「うちの会社だけでは無理なので、社長のお知り合いの会社にもお願いして、何台か
최신 업데이트 : 2026-02-25 더 보기