「お知り合いですか?」 ナディアが名前をつぶやいたのを聞いて、ヴィネットが視線をシリウスに固定させたままでたずねてくる。「ええ、あの人は大丈夫よ。構えを解いて」 ヴィネットは言われるがまま鞭を元の場所に収めた。 ヴィネットが武装を解くとシリウスが距離を詰めてくる。「ナディアちゃん……!」 シリウスは立ち上がっていたナディアの元まで駆けてくると、なぜかしゃがみ込んでナディアのお腹あたりにしがみついた。「ナディアちゃん! ごめん! ごめんね! 俺が悪かった! 俺が間違ってた! 俺は君のそばから離れちゃいけないんだ! 何があっても守るから! ナディアちゃんが死んじゃうなんてやだよ! これからは俺がずっとそばにいるから!」 下半身を拘束されてナディアは動けない。シリウスは号泣し始めていた。「ナディアちゃんが俺のこと好きじゃなくてもいいよ! 別の奴が好きなままでもいい! 番になれなくてもいいからそばにいさせて! 君がいないと俺は生きていけないんだよぉぉぉっ!」「ちょ、ちょっと……」 泣き落としが始まった。いきなり現れて号泣する超絶イケメンを見て、近くにいたヴィネットも戸惑っているようだ。「愛してる! 愛してる! 愛してるぅぅぅー! 俺とエッチしたくないならそれでもいいからぁぁぁっ! 俺のことは下僕か召使いか愛玩動物とかそんな扱いでいいからっ! 一生そばにいさせてくださいお願いしますーっ! ナディアちゃんがいない人生なんて地獄すぎるんだよぉぉぉおーーーっ! 君が死んだら俺も死ぬぅぅぅぅぅぅっっ!!」 騒ぐシリウスの声を聞きつけて、外にいた護衛たちも何だ何だと中に入ってきてしまった。 きっと彼らの目に映っているのは、跪いて号泣しながら愛を請う可哀想な超絶美青年を盛大に振っているように見える、ものすごい悪女の図が出来上がっているのではないかと思った。「ナディアちゃん! 一生のお願いだから俺と一緒に来てくれ! 君の許可がない限りはちゅーもお触りも全部全部我慢すると誓うから! 番にならなくてもいいから! お願いだから俺と駆け落ちしてくれ!」「駆け落ち……」 つぶやいたのはそばで成り行きを見守っていたヴィネットだ。 ナディアはシリウスが泣き出してからずっと戸惑っていた。 あの真っ黒な手紙を受け取った日、シリウスを決定的に傷つけたと理解し
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