ナディアは浴室から出て用意されていたベッドに寝そべりながら、入浴中よりもさらに気落ちしていた。 ナディアの入浴後にゼウスの態度がかなりよそよそしくなったからだ。不自然なほどにこちらを見ないし、避けられているのが丸わかりだった。ナディアも気後れしてしまい、こちらから話しかけることもしなかった。 ゼウスからは、「先に寝室で寝ていて」と言われたのみで、ナディアも「わかった」と返事はしたが、会話はそれだけで終わった。 留置場から家に来るまでの間、ゼウスはもう少し優しかった気がしたのだが、それはナディアの体を気遣ってくれただけである。 やはり、ゼウスが自分のそばにいることにしたのは「責任」からであって、ナディアの番としてこれから一生『悪魔の花婿』という枷を背負い続けることは、彼にとっては理不尽で不本意なことなのだろうと思う。「責任」だとしても、愛しい番がそばにいてくれること自体は嬉しい。だけど、ナディアがゼウスを思っているのと同じようには、彼は自分を愛さないだろうと思ってしまって、寂しく感じた。 獣人に忌避感が見え隠れするゼウスは、いつかナディアではなくて人間の女の子を選んで結婚するかもしれないと思った。そのことは覚悟しておかなくては。 もう自分は奴隷だ。ゼウスがナディアを奴隷にすることを了承したからこそ、自分は生きていられる。ゼウスの態度が冷たかろうと、自分は彼を受け入れ続けるしか道はない。 それにナディア自身が、もうゼウスなしでは生きていけなくなった。監禁されたような状態で、枷をはめられて自由もなく奴隷扱いでも、彼から逃げようなんて結論にはならない。たとえこの先何があろうと、自分はこれからはゼウスとずっと一緒にいたい。 もしもゼウスが結婚することになったとしたら、彼の選択のすべてを受け入れて、鼻を焼こうとナディアは思った。 そんなことを考えながら半分寝かけていたナディアは、ギシリとベッドの軋む音と人の気配で目を開けた。 見ればゼウスが、横になっているナディアの隣に潜り込んでいた。ベッドは二人用なので狭くて寝られないということはないが、てっきり寝所は別々になるものだと思っていたので、ナディアは眠気が吹っ飛んだ。「あれ……? 一緒に寝るの?」「嫌なの? 俺から逃げる気なの?」 いきなり話が飛躍しすぎて戸惑う。ゼウスはきつく眉根を寄せていて、急に
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