All Chapters of その結婚お断り~イケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~: Chapter 201 - Chapter 210

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7 二つの禁断魔法

 シリウスはおかしくなってしまったわけではない。触れ合いは魔力の素になる気を充実させることができるから、魔力を回復させたいのだろう。  相手が真に愛している女性ならば、魔力の回復にはなおさら効果的だ。シドとの戦闘時にジュリアスに譲渡して減らした魔力を回復することができる。  ナディアはもう死んでしまっているが、まだ温かみはある。それに、ナディアに対するシリウスの『番の呪い』が「本物」であると、セシルは確信していた。  本当は、シリウスはナディアを抱いてしまいたいのだろうとセシルは思った。  けれどシリウスは一年前からずっと不能のままだった。  セシルとしては、実兄に遺体を冒涜するに等しい行為をしてほしくなかったから、そこに関してはシリウスが不能のままでよかったと思っていた。  シリウスはナディアが着ている純白のワンピースの背中のチャックを下ろし、露になった白い背中にしきりに唇を這わせていた。  下着のホックも外して、できた隙間に手を突っ込んでおっぱいを揉んでいるが、シリウスは「幻視の魔法」を簡単に見破れるセシルの存在はちゃんと頭にあるらしく、際どい場所は隠し続けていた。  そんなところにもシリウスの独占欲を感じるが、それは言い換えれば、ナディアの死亡直後は取り乱していたシリウスだったが、現在はナディアに関する細かい部分に気が回るほどには「冷静である」ということだ。  シリウスが魔力を回復させて、ナディアを助けることを目論んでいるのは明らかだった。  助けるための確実な方法は、ジュリアスの死の危機に際してセシルもその考えが頭をよぎった、「死者蘇生の魔法」を使うことだ。  だがそれでは多くの人々を危険にさらす可能性が高く、使うべきではないとセシルは考えていた。  けれど「過去の事象」を知っているセシルは、光属性を取り戻したジュリアスがいれば、それでも何とかなるかもしれないと思う部分もあった。  それから、ナディアを救う方法はもう一つある。 「過去干渉の魔法」を使うことだ。 「過去干渉の魔法」は術者自身が過去へ転移できる禁断魔法の一つで、転移中に過去の出来事を変えることができる。  ただし過去への滞在時間は術者の魔力量に比例し、時間が経過すると強制的に「現在」に戻されてしまう。  過去への転移や戻る際には、「
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8 『番の呪い』

 セシルが考えた通り、シリウスは諦めていなかった。 『お父さんとお母さんと離れ離れになって、知り合いもいないこんな場所に連れてこられたら寂しいよね』  ナディアを生き返らせる算段を立てながら、シリウスの中では、獣人の里で初めてナディアと出会った時の思い出が蘇っていた。 『でも大丈夫よ! 私がずっとそばにいるからね!』  ナディアがその時言った通り、シリウスが「姿替えの魔法」を使って獣人王シドのいる里に初めて潜入した時は、バレたら殺されると吐きそうなくらいに緊張したし、なぜここに来てしまったのだろうと自分の決断を後悔したし、心細すぎて本当は家に帰りたかった。  シリウスは里の者たちの誰からも不審がられないように、気に入られて懐に潜り込めるようにと、表情は作っていたつもりだった。  ところが、そんな不安がどこかににじみ出ていたのか、ナディアは少女の姿になっていたシリウスと手を繋ぐと、励ますようなことを言ってきた。  シリウスはその一言に、救われた。  そしてシリウスは、ナディアに「ずっとそばにいる」と言われたその瞬間に、恋に落ちることと、『番の呪い』にかかることが同時に起こった。  以降シリウスは状況が許される限りナディアのそばにいた。本来ならば地獄のような場所であるはずの潜入先は、そこにナディアがいてくれさえすれば天国だった。  定期的に「帰ってこい」と言われるので、渋々帰省するその間も、「ナディアちゃんは今日も元気かな?」と魔法で彼女の様子を探っていたし、早く里に戻りたくて仕方がなかった。  シリウスの帰る場所は、「実家」ではなくて「ナディア」一択になっていた。  ナディアの浮気が発覚し、そばにいる約束も反故にされて逃げられて…… 愛と恨みの詰まった手紙を送って彼女と距離を置こうともしたが、結局は離れられずに、『番の呪い』を解くこともできなかった。  シリウスは、南の島でナディアと離れてからアンバー公爵家に迎えに行くまで、自身の姿は一度しかナディアに見せていなかったが、実のところは四六時中ナディアのことを考えていたし、可能な限りナディアを見つめてナディアのそばにいるように努めていた。  ナディアが一人暮らしをするまでは、「真眼の魔法使い」がそばにいたので手出ししにくかったが、それ以降はシリウスの独擅場だった。  裏切られ
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《シリウストゥルーエンド 命懸けの愛》1 命懸けの愛 1

 ナディアがハッと目を開けた時には、仰向けの状態でベッド上に寝そべっていた。 ナディアがいるのはブラッドレイ家の、オリオンことシリウスの部屋――そもそもの最初にシリウスの存在を認識して、彼に襲われかけた場所――だった。 自分は処刑場にいたはずなのになぜここにいるのだろうと不思議に思ったところで、いきなり、ガツンと頭が殴られたような衝撃と共に、記憶が流れ込んできた。 意識を失う直前、ナディアはゼウスに銃で胸を撃ち抜かれて倒れ、薄れ行く意識の中で自分を愛してくれた二人に対して色々と後悔していた。 ゼウスは狙撃に関してはとんでもなく的確な腕前を持っているので、あの時自分は確かにゼウスに心臓を撃ち抜かれていたのだと思う。(あのまま死んでいてもおかしくない状況だったけど、死なずに助かったということ?) 元々あったその記憶とは別に、衝撃と共に頭の中に流れ込んできたのは、あわやのところでゼウスの銃には撃たれなかった記憶だ。 ナディアはヴィクトリアの元に向かって走っていた途中で、いきなり横に現れたシリウスに腕を掴まれて体を引っ張られた。 直後にゼウスの放った銃弾が体の横をかすめていき、ナディアはそのままシリウスの転移魔法で処刑場から消えた。「撃たれた記憶」と「撃たれなかった記憶」がナディアの中に同時に存在していて、一体どちらが本当なのかとナディアは混乱した。 おまけに、シリウスと共に転移魔法で処刑場からどこへ向かったのか、その後、なぜシリウスの部屋のベッドに横になっている流れになったのか、そのあたりの記憶はごっそりと抜け落ちている。「シーちゃん!」 辻褄の合わなさ具合にナディアが首をひねっていると、階下から女性の叫び声が聞こえてきた。声の主はシリウスの母ロゼだ。 緊迫感を孕んだその声に何か大変なことが起こったように感じたナディアは、自分の身に降りかかっている奇妙な現象について考えるのは一旦放棄して、急ぎロゼの元へ向かった。 ****** ――ナディアが目覚める少し前。 処刑場で魔力が満ちるのを待っていたシリウスは、そのまま「死者蘇生の魔法」を発動させてナディアを救うつもりだった。 シリウスが危険な禁断魔法の発動を企む中、処刑場では、魔力暴走を起こしかけたヴィクトリアを殺そうとするアークに対し、一度はアークの指示通りヴ
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2 命懸けの愛 2

 転移魔法で処刑場から逃げてきたシリウスは、実家であるブラッドレイ家の私室にいた。 シリウスは諜報活動のために実家にいないことが多く、兄ジュリアスが寮住まいになってからは、一人部屋になったこの部屋を他の兄弟の部屋にしようという話も出たが、シリウスの母ロゼがそれを断固として拒否し続けていた。 なかなか家に帰れないのに、息子の部屋がなくなったらシリウスの居場所までなくなってしまうようで嫌だと、ロゼはずっと危険な場所で仕事をする息子を心配し続けてくれていた。 シリウスはナディアの体を、大切に自分のベッドの上にそっと横たえた後、急いで部屋を出た。近くにある弟たちの部屋を開けて、気絶しているカインの体をベッドの上に放り投げる。 カインに恨みはないが、とにかく時間がない。父アークが追ってくることを考えると、一秒すら惜しかった。 シリウスはナディアにかけた優しさを弟へは省略した。子供であっても獣人である弟たちは総じて頑丈にできているので、多少手荒にしても大丈夫だ。 ナディアと同じベッドに寝かせておけば運ぶ手間は省けるが、独占欲の強いシリウスがそんなことをするはずがなかった。 たとえ相手がまだ毛も生えていないような思春期前の実弟であっても、自分の嫁と同衾させるなんて言語道断だった。 シリウスはカインから吸い取った魔力を使って、この家全体に結界を張った。 先ほどは押し負けてしまったが、シリウスの魔法使いとしての力はかなり優秀だ。 通常の場合魔法は先にかけた魔法が優先されることもあり、熟練した魔法使いのアークであっても、無事に残っているもう片方の腕を黒焦げにでもしない限り、簡単には破れないだろう。 シリウスは家の中に誰も入れないように結界を張りながら、求める部屋へ向かう。魔力温存のため瞬間移動ではなくて獣人の身体能力でもって急ぎ走った。 シリウスがやってきたのは母ロゼが出産した部屋だった。ロゼは起きていたがベッドに横になっていて、すぐそばには、おくるみに包まれている生まれたばかりの弟が眠っていた。「や、やめて! お兄ちゃん! どうしたの?! シーお兄ちゃんやめてぇっ!」「ふぇぇぇぇー! 黒いぐるぐる怖いよぉぉぉーっ! 兄ちゃん怖い怖い怖い怖――」 魔法使いに覚醒したばかりのレオハルトの叫び声が先に消えて、次いでシオン――あまりにも女の子が生まれなさすぎて
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3 とある銃騎士隊隊員の進むべき道

「ゼウス! この剣はお前が持ってろ!」 レインの声が聞こえてゼウスはうなだれていた顔を上げた。 地面に崩折れるように座り込み号泣しているゼウスに向かって、鞘に収まった一振りの剣が飛んでくる。 レインは、獣人姫ヴィクトリアを――ゼウスとアテナの命の恩人であり、ナディアを殺したゼウスに罰を下そうとした銀髪の獣人を――殺そうとしていた。 けれど果たせずに、その後アーク隊長と揉めているようだった。 ゼウスは飛んできたその剣を反射的に受け取った。 この剣は姉の元恋人であり、ゼウスも慕いその強さに憧れていた銃騎士隊の先輩アスターが、レインに託していったものだ。『あいつ本当は俺じゃなくてゼウスに持っていて欲しかったと思うんだよ』『いりませんよそんなもの』 レインはその剣をゼウスに渡そうとしてきたことがあったが、ゼウスはすげなく断った。 本当は自分がその剣を持っていたかったけれど、その時はアスターのことを一生許さないと思っていたから、興味のないふりをした。 現在の姉はアスターのことを乗り越えていて、――それでも先のことは全くわからず心配な部分はあるけれど――ノエルと結ばれて幸せになった。 もういい加減、アスターのしたことは水に流して許してもいいんじゃないかと思う。 できれば自分も―― 取り返しのつかないことをしてしまったけれど、ナディアに許されたいと思っている。 でも、謝りたいのに、彼女はもういない…… ナディアの亡骸は、恋敵のシリウスと共に消えてしまった。ただの人間でしかないゼウスは、彼らを追いかける術を持っていない。 アスターの剣をゼウスが掴んだところを見届けたレインも、腕に抱くヴィクトリアと、それから、こんな自分でも生きてほしいと言ってくれたノエルと一緒に、消えてしまった。 レインはヴィクトリアを大事そうに抱えて愛おしそうに見つめていた。 あんな風に女性に接するレインをゼウスは今まで見たことがなかった。きっと、先輩がずっと愛していたのはあの女性だったのだろうと、ゼウスは思った。 ゼウスは、まるで形見のように大事にしていたアスターの剣を渡してきたレインの考えを、理解していた。(レイン先輩はきっと、銃騎士隊を辞めるつもりなんだろう) ナディアがいなくなり、いつしか心の拠りどころのようにしていた大好きな先輩まで去ってしまって、ゼ
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4 魔王の心臓を掴んだ女

 ブラッドレイ家で目覚めたナディアが、急いでロゼが出産していた部屋に入ると、床に倒れているシリウスをロゼが抱き起こしていた。 生まれたばかりの赤子――ジークオルトと名づけられる予定と聞いている――が寝かせられているベッド上には、ブラッドレイ家六男シオンと七男レオハルトも横になっている。 八男ジークオルトはおくるみの中で動いていたので起きているようだが、シオンとレオハルトの二人は意識がない様子だった。 シオンとレオハルトはただ眠っているだけにも見えるが、ベッドではなくて床に倒れていたシリウスの顔面は、真っ青で血色がなくて、すぐにでも死人の仲間入りをしてしまいそうだった。「オリ―― シリウス!」 ナディアは呼び慣れていた彼の名前を叫ぼうとして、すぐに訂正した。 本当の名前で呼んでほしいというのが彼の望みだったからだ。 ナディアもロゼにならってシリウスのそばに駆け寄った。ナディアが近づくと、ロゼは腕の中にいたシリウスを丸ごとナディアに明け渡してきた。「死んじゃ駄目! シリウス! 私まだあなたに返事してない!」 意識を失う前にした後悔が再びナディアの胸に押し寄せてくる。 シリウスが生きてくれることを願ってしがみつくように彼を抱きしめていると、部屋の中に人の気配が増えた。 転移魔法で現れたアークだった。 家の外に張っていた結界は、シリウスが昏睡状態になったために維持できなくなり、自然と崩れていた。 ナディアはアークに構う余裕がなかったので振り向かなかったが、アークの全身から自分に向かって物凄い殺気が飛んできているのは、背中ごしに感じていた。「殺しちゃ駄目よアーちゃん!」 ロゼが叫んだのと同時に、アークの火魔法によって部屋の壁が破壊されて黒焦げになった。衝撃音にナディアはようやく顔を上げて振り向いた。 ロゼは出産後でまだ安静にしていた方がいいと思うのに、シリウスを腕に抱くナディアを庇うように、剣呑な表情でこちらを睨んでいるアークとの間に立ちはだかっていた。 たぶんアークは本当はナディアを攻撃したかったのだと思うが、シリウスとロゼがいてそれが叶わず、壁に向かって八つ当たりをしたのだろう。「なぜかばう! とんだ疫病神だ! あのまま捨て置けばいいものを! この女を蘇らせたせいでシリウスは死にかけているんだぞ!」「そんなことないわ! シーちゃんが
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5 決断

 ナディアは「番になれ」という言葉に正直戸惑った。 アークがナディアを認めてくれたことは何となくわかったが、番云々に関してはもう少し時間がほしいというのがナディアの偽らざる本心だった。 しかしナディアがそれについて何か言うよりも前に、アークが間髪入れずに口を開く。「お前は一度死んでいる。今生きているのはシリウスが『過去干渉の魔法』を使い、過去に戻ってお前が死なないように細工した結果だ。 だがシリウスはその禁断魔法の影響で常に大量の魔力を奪われ、死にかけている。 シリウスが死ねば、改変した過去を維持できなくなり、過去は干渉する前の過去に戻る。つまり、必然的にお前も死ぬ」 一度死んでいると言われてかなり驚いたが、アークの言葉を整理すると、あの矛盾する二つの記憶はどちらも本当にあったことのようだ。 一度目はゼウスの銃に撃ち抜かれて死んでしまったようだが、シリウスが過去に戻って自分を助けてくれて、だからナディアが生きている「今」がある。 けれど、シリウスが死ねば魔法の効果は失われ、ナディアも死ぬということのようだ。「あの、番になれっていうのは……?」 シリウスと自分が一蓮托生で、二人とも現在死の危機に瀕していることはわかったが、それと番になることはどういう関係があるのかと思い問いかける。「シリウスが使った禁断魔法はかなりの量の魔力を消費する。魔力が底をつくと今度は術者の命を削って魔力を抽出するようになり、やがては死に至る。 この状況ならば死んでいてもおかしくないが、シリウスは自分の保持する魔力のみで禁断魔法を維持できていた。瀕死だがな。 シリウスが死なないようにするには、消費され続ける魔力を常に補充し、魔力の枯渇を防げばいい。 他の魔法使いから魔力をもらうのも一つだが、愛する者との触れ合いでも魔力の素になる気力が充実する。 魔力の自然回復をもっと早めて、シリウスが自分の魔力だけで安定的に禁断魔法を維持できる方法を構築すれば、事態は好転していくだろう。 要は、お前と頻回にセックスすればいい」「セッ……」 身も蓋もない言い草にナディアは絶句した。「アーちゃん…… セクハラが酷いわ…… でもそこが素敵……」 そばにいるロゼが頬をポッと染めながら、発言をたしなめているのか褒めているのかわからないことを言っているが、動揺するナディアはロゼの反
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6 君じゃなきゃ駄目なんだ

 ナディアはブラッドレイ家の二階にあるシリウスの私室に戻ってきていた。 部屋の中には三人いる。ベッドの上に寝かされて相変わらず意識のないシリウスと、ナディアと、そしてジュリアスだ。 この家にはアークとロゼと、それから魔力切れで気絶中らしいシリウスの弟たちもいる。ナディアにとっては慣れない場所での初体験となってしまうが、仕方がない。 一応ジュリアスが魔法で覗き防止とか音漏れのないようにはしてくれるそうだ。 シリウスの勃起障害についても、頼りになる男ジュリアスが自分の魔法で治療すると言った。 ジュリアスは魔法の光属性とやらを獲得したらしく、どんな病でも立ちどころに完治させてしまうという神様みたいな力に覚醒めたばかりとのことだった。 ジュリアスが横たわるシリウスに手をかざすと、部屋全体が光に包まれるほどの大量の光がほとばしった。光が去った後にシリウスを見ても、あまり変化がなく治ったかどうか不明だが、ジュリアスいわくこれで治ったはずだという。 本当に治ったのかどうかは、君がこの後直接確かめてみてくれと言われてしまった…… ナディアとしてはこういうことは自分の心の整理をつけてからと思っていたが、そんな余裕もないほどのかなりの急展開だ。色気も素っ気もない気がするが、とにかくセックスしないと死ぬのである。ヤるしかない。 ジュリアスは続けてナディアにも手をかざしてきた。『あれ何か怪我とか病気とかしてたっけ?』と思いつつ、一度は死んだ身なので何かあるのもしれないと、黙って治療がすむのを待った。「シリウスは処刑場で魔力節約のために君にかけていた『行動制限の魔法』――俺たちの秘密を漏らすと死んでしまう禁断魔法を解除していたんだ。 通常は魔法の効力が消えても痣だけはずっと残ってしまうんだけど、今の光魔法で君の胸にあった痣は消えているはずだ」 言われて襟元から服の中を覗けば、心臓に近いあたりにあったハート型の二つの痣が消えていた。 あの痣は永遠に残り続けるのではないかと思ったこともあったが、それが消えて、故郷に帰ったりブラッドレイ家の秘密をバラすと死んでしまう「呪い」の効果もなくなったのなら、万々歳だ。 ジュリアスの魔法の確かな力を目撃したナディアは、きっとシリウスの勃起障害も回復していることだろうと思った。(でもこれ私が上になるしかないよ
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7 結合

 ジュリアスが部屋から出て行き、意識のないシリウスと二人きりになったナディアは、とりあえずシリウスの服を脱がせるところから始めた。 シリウスが着ていたのは少年の姿の時に着ていたのと同じ動きやすそうな黒服だ。これを好んで着ていたのか、任務のためにと、かつての自分のように色彩を封印したような服を着ることにしていたのか、そのあたりはシリウスに聞いてみないとわからない。 半同棲をしていた頃は冷たい態度ばかりとってしまって、自分から会話をすることは避けていた。でも、これからはシリウスと色んな話がしたい。「シリウス…… 起きて」 声をかけても反応はない。シャツのボタンを外すと鍛えられた美しい胸板が見えてくる。それだけでこの超絶的な美貌を持つ色男が、元から備えている天性の色気が漏れ出してくるので、ドキドキしてしまった。 ジュリアスの光魔法のおかげか、シリウスの胸からもハート型の痣は消えていた。 あの痣をつけた時、シリウスはお揃いだと言って喜んでいたが、今はもう二人の胸にはない。互いに繋がってるような証が消えたことは、ナディアも今はちょっぴり寂しく思うが、すぐにもっと強固な絆で自分達は結ばれる。(いきなり犯そうとしてきたことも、知らない間に一緒にお風呂に入っていたことも全部許すから、どうか目を覚まして、また私の名前を呼んでほしい……) ナディアは自分の全てを捧げるつもりで、痣があったあたり――心臓付近――にキスをする。唇の先からトクトクとシリウスの確かな鼓動を感じる。(この人を死なせたくない。これから先もずっと一緒にいたい) ナディアの中にはまだゼウスへの未練のようなものはあるが、既に覚悟は決めてある。 二人同時には選べない。自分はもう選択した。ゼウスのことを思い出すと胸がツキリと痛むけれど、猶予期間は終わったのだ。ナディアはゼウスのことはあまり考えないようにしようと、目前のシリウスだけに意識を集中させた。 シリウスのシャツを脱がして上半身裸にする。眠るシリウスの体は意識がない状態でもとても美しい。抱きしめてシリウスの胸や男らしい鎖骨や首筋にキスをして、それから……「シリウス、愛してる」 告白と共に唇に触れる。初めは唇をついばむように軽く触れ、舌で自分の唇とシリウスの唇を湿らせてから、口を開いて唇を大胆に合わせる。舌を侵
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8 君がいないと生きられない

「い、ああっ…… あうううっ……」 目の前でシリウスの女神が、シリウスの陰茎を最奥まで突き入れられていうめいている。 ナディアの可愛らしい茶色の瞳は虚空を見つめていて、自分でもデカいと思っている男根に処女を散らされた痛みというか衝撃に、半分意識が飛びかけているようだった。「ナディアちゃんが俺を襲ってくれるなんて最高のご褒美だ♡ 死ななくてよかった♡」 過去へ飛ぶ禁断魔法を使ってナディアを救ったシリウスは、「現在」に戻ってきた途端に意識を失った。 覚えているのは母ロゼがいる部屋に戻ってきたところまでで、そこでシリウスは魔力が急激に消費される感覚と共に失神した。 次に目を覚ました時には女神が全裸で自分の上に乗っていて、肉欲に上気した色っぽい表情で、まさにシリウスのデカブツを神聖すぎる彼女の性器に挿入しようとしていた。 シリウスが起きたのに気づくとナディアは赤面して逃げようとしたが、この長年の片思いが成就できるこんな千載一遇のチャンスをシリウス逃がすわけがなかった。 それにナディアがシリウスの上に乗っていたのは、匂いからも察するに彼女が進んでやったことだった。 手は出さないと約束したが、ナディア自身が「食べて食べて♡」と言っているのに、ここで据え膳を食わないなんて選択肢がシリウスにあるわけなかった。 禁断魔法の跳ね返りのせいか、目覚めたばかりでまだあまり体が動かせないと気づいたシリウスは、最小の動きで確実にナディアと番になるべく、自分の息子を容赦なくナディアの奥まで一気にぶち込んだ。 ナディアの頭の中では今確実に、カチカチカチという例の音が響いているはずだ。 対して、彼女の柔らかくて温かくて最高に気持ちよすぎる膣肉の感触を味わいながらも、シリウスの頭の中でその音は響かない。 ナディアと初めて会ったあの運命的な出会いの場で、既に番になったことを示す音が鳴り響いていたのだから、二度目の音など鳴るはずがない。(やっぱりあの時、俺の番はナディアで確定したんだ) シリウスの『番の呪い』は――その思いは――本物だった。(ようやく俺たちは、あるべき正しい形になれた)「あー♡ ナディアちゃんの中あったかくてぬるぬるですごく気持ちいい♡ ありがとう、ナディアちゃん♡ 大好き♡」「あぁぁっ…… ふぁぁんっっ……」 潤滑油は使われたようだが
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