All Chapters of 訳あり侯爵令嬢は成り行きで身代わり占い師をしています(元婚約者の皇子が相談にやって来ました): Chapter 41 - Chapter 50

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親分と子分

「カレン、心配しなくていい」 カレンの怒りも気にせず、アルフレッドは淡々と告げる。「まずは声を元に」(そんなに落ちついて言われたら、怒っている私がバカみたいじゃない!! もう!!) 正体がバレているのに、わざわざ渋くて低い声にしておく必要は確かにない。カレンは、不機嫌な顔のままで、呪文をブツブツと唱えて、声を元に戻した。「これでいいですか!」「あ……、本当にカレンだ!! カレンって、魔法が使えたの!?」 エドリックが驚きの声を上げる。しかし、カレンが答えるよりも先にアルフレッドが状況の説明を始めた。「レダどのはここを留守にしていると知られたくないのか、カレンに身代わりと留守番を頼んだ。だから、カレンは声を変え、フードで顔を隠して、ここにいる。別に深い意味はない。ただ単にレダどのはカレンが少し魔法を使えると知っていたんだろう」「ふーん、なるほどね。レダどのとカレンって、前から知り合いだったの?」「うーん、それは……。初めて会った時に留守番を頼まれたから……。元々、知り合いではなかったわ」(まぁ、嘘じゃないわよね……) 言わなくていいことをカレンが素直に答えてしまったので、アルフレッドはそれ以上言ってはダメだと視線を送る。しかし、彼女は気付いてくれない。「えっ、初めて会った時に!?」「ええ」 上手く軌道修正をしなければならないと考えたアルフレッドは、鈍感なカレンでも気が付くような分かり易い嘘をつく。「エド、レダ殿は人を選んでいられないほど急いでいた。それは、お前のところに早く向かうためだ」(えっ、そんな話は初めて……。まさか、話を作った!? 捏造?)「いや、僕のところにって……」「半年くらい前のことだ」「なっ、半年前!! カレン、そんなに前からずっとここにいたの!?」 エドリックはカレンに聞く。「ええ、そうね。半年前からここにいるわ」「僕のせいで、長い間ごめん」「大丈夫よ。気にしていないわ」(殿下が力業で、私がここへ来た理由をエドリック王子のせいにしちゃった!! 凄い!! えー、こんなに殿下って策略家だったの??) この流れなら、ここへ来た理由をこれ以上追及されることはないだろう。 カレンはホッとした。しかし、そこへ伏兵ローラが踏み込んで来る。「恐れ入りますが、二点ほどよろしいでしょうか? まず一つ目ですが、カレン
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強制送還 1

「はっ!? 文字が消えた!?」 エドリックは狼狽える。今の今までテーブルへ置かれた紙には、確かにレダからの指示が書かれていた。しかし、ここにいる全員で覗き込んだ瞬間、その文字がスッと消え去ってしまったのだ。「王子、あんた迂闊すぎるだろう。大体、そういうものは証拠が残らないように見たら燃やすんだよ!」 聞き覚えのある低い声が背後から聞こえて来た。カレンは、反射的に後ろを振り返る。「レダさん!? えっ、いつの間に???」「今、帰ったよ。カレン、待たせたね」 レダは黒いローブの中から手を出して、カレンの頭を撫でた。「あなたが……、レダどのか。お初にお目にかかります。俺はこの国の第一皇子アルフレッドです」「アルフレッド、面と向かって会うのは赤子以来だね。あたしはあんたのことを昔から良~く知っているんだよ。ニコラスだけでなく、あんたの母親セレーネとも親しいからね、フフフ」 レダは含み笑いをする。カレンはアーロック王国二人の方をみた。ローラは緊張しているのか顔を強張らせている。エドリックは困ったような表情をしていた。(ローラさんはレダさんと初めて会うから緊張しているのかしら、エドリックは……。あれ? レダさんに会いたかったんじゃないの???)「さてさて、あたしが戻って来たということは第二段階に入るってことだよ。ただ、その前に一ついいかい?」 全員に向かってレダは話し掛ける。一同が頷く。「まず、アウローラ、あんたは何で勝手に国から出て来たんだい? エドリックの根回しが、全て無駄に成っちまったじゃないか!」「えっ、根回し?」 突然、レダから注意を受けたローラは意味が分からないといった感じで、となりに座っているエドリックの顔を見る。エドリックはローラに一度、頷いてみせると、レダの方を向いた。「レダ殿、すみませんでした。僕の見通しが甘かったようです」「そうだね。アウローラ、あんたアーロック王国を出てから、ずっとつけられているって、気付いてなかっただろ?」「えっ? つけられていた?? いいえ、そんな
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強制送還 2

 レダから辛辣な言葉を投げかけられ、ローラは唇を噛む。(ローラさん、怒られてばかりで可哀そうだけど……。でも、第二段階って、笑って話せるような内容でもなさそうだし……)「分かりました。私は足手まといにならないよう自国へ戻ります。レダさん、それで宜しいですか?」「ああ、あんたは国に戻ったら、エドリックが迎えに行くまで屋敷から絶対に出ないでおくれ」 最後の最後まで、レダはローラに釘を刺す。「分かりました」「じゃあ、おつかれさま」と言って、レダはパチンと指を鳴らす。すると、目の前からローラの姿が消えた。「なっ!? レダ殿!!」「いや~、また、あの子を野放しにするわけにはいかないだろう? 本当に行動力があるのも善し悪しだねぇ~。今回は、一気にフリッツ公爵邸へ送ったから、心配は要らないよ」「―――そうですか。ありがとうございます」 エドリックは複雑そうな顔をしながらも、お礼はきちんという。「では、本題に入ろうかね」 レダは今の状況を話し始めた。カレンの予想通り、黒魔女はレベッカでエマはその部下。二人は家族関係ではないらしい。そして、今回の首謀国として疑わしい国をリビエル公国とイシュタル共和国の二か国に絞って、先日から調査をしていたのだという。「リビエル公国とイシュタル共和国の共通点といえば、最近、世代交代した国ということだな……」 アルフレッドが、ボソッと呟く。「その通りだ。そして、今回の首謀者は野心に満ちたリビエル公国の大公メローだった。裏付けは取れているんだろう? エドリック」「はい、ご指示いただいた通りに調査したところ、リビエル公国は金と鉄鉱石を周辺諸国から、一昨年前頃から、かき集めていました。また、多くの未払いも発生しています。そして、それを隠ぺいするために、隣国である我が国の中枢に多くの諜報員を放っていました」 エドリックの話では、レダから不自然な取引、特に金融資産や武器の材料となるものを、出来るだけ信頼のおけ
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愛に満ち溢れた大魔女 1

「レダ殿、隣国リビエル公国のメロー大公が首謀者ではないかと僕も疑っています。ですが、どうやって悪事を暴くのですか? 下手に踏み込んだら、内政干渉と突っぱねられる可能性がありますよね」 (エドリック王子がこんなに真面目な顔をしているのをみるのは初めてだわ。それだけ事態は深刻ということよね。レダさんはどうするつもりなのかしら) 「エドリック、あんたの新しい婚約者を探す夜会をアーロック王国で大々的に開催するよ」 レダは楽しげな声で今後の作戦を発表した。 「えっ、新しい婚約者!? ローラは……?」 「この作戦を実行するためにアウローラを公爵邸へ強制送還したんだ。あの子には大人しく屋敷にいてもらわないと困るからね。まぁ、カレンのケガを見て、少しは懲りていたみたいだけど、フフフッ」 (レダさん……。ローラさんに厳しい気がするのだけど) エドリックはレダの発表した突拍子もない作戦に戸惑いを隠せない。 カレンはローラの恋を応援してしまった手前、レダの強引な案に賛同していいのだろうかと悩んでしまう。 (エドリック王子の新しい婚約者を探すための夜会が開催されるとローラさんが知ったら……。きっと、深く傷ついてしまうわ) 「エド、俺はこの案に乗るべきだと思う。レダどの、この下準備のためにオルセント王国とイシュタル共和国へ出向いて、婚約破棄騒動を起こしたのでしょう?」 「ああ、その通りだよ。アルフレッドは本当に勘が良いね」 「婚約破棄騒動?―――ええっと、その話を僕は知らない」 エドリックは両国の国境封鎖が発生する前にニルス帝国へ向けて出港していたため、オルセント王国とイシュタル共和国の婚約破棄騒動についての情報はまだ得てなかった。 「あんた、港が大騒ぎになっていたのに気が付かなかったのかい?」 「はい」 「はぁ~、仕方がないね~。詳しく説明していくから、しっかりと聞いておくんだよ」 レダは三人の前に立ち、婚約破棄騒動の内情を説明し始める。 「まず、今回婚約破棄をしたのはイシュタル共和国の名家モンテリーゼの長男ロミオと、オルセント王国の第一王女シャルロットだ。二人は五年前に婚約した。年齢は共に十五歳。この二人は仲も良く、両家の関係も良好。で、何故、婚約破棄をすることになったのかというと……。――――この両国の近くに野心を持つ国が出現したからだ。リビ
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愛に満ち溢れた大魔女 2

「さて、話を戻そうか。アーロック王国で行う夜会のことだけどね、このメンバーの中で参加するのはエドリックとあたしだけにする」「僕とレダ殿が? その恰好で参加したら、目立ちますよね……。」 エドリックはレダの真っ黒なローブをジーッと見つめる。「エドリック、あたしはカレンに姿を変えて参加するから、心配しなくていい。エスコートは複製人形のアルフレッドにしてもらう」(複製人形の殿下???)「レダさん、殿下をここで眠らせるのなら、私も側に居た方がいいですよね?」「いいや、ん~、今回、あんたたち二人には大きな役目があるのだけどね~。詳細は後にしておくれ。今、エドリックにあんたたちへの指示を聞かれてしまうと、敵に捕まって拷問でもされちまったら、全部喋ってしまうだろう? それは困るんだよ」「拷問!? そ、そんな、物騒な……。それと僕は親友のことを簡単に売ったりしませんよ!」「エドリック~、あんたは本当に甘いねぇ。世の中にはね、自白魔法というやつがあるんだよ。あんたの意思とは関係なく口がお喋りしてくれるんだ。覚悟や友情なんて何の足しにもならないんだよ。アハハハ」 レダは豪快に笑う。カレンの心中はとても複雑だ。(要するにレダさんから必要な情報だけもらって、各々が自分の役割を全うするというやり方じゃないと、相手に計画を見破られてしまう可能性があるのね。―――私、継母レベッカには今までに数々の狡猾な手口でやり込められてきたわ。だから、これ以上、好き勝手になんてさせない。今までの分と合わせて、何倍もお返ししてやるんだから!)「では、今回のミッションはレダどのの指示に従い、俺たちは自分に与えられた使命を遂行するということだな」 カレンが考えていたことと同じことをアルフレッドは口にする。「ああ、それがベストだろうね。ただ、あんたは勘が良すぎるから、あたしの考えていることを先読みして色々と動いてしまいそうで怖いんだよね。だから、今回は裏方に回ってくれないか」「分かりました。先走らないように気を付けます」 アルフレッドは裏方へ回ることを了承した。
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師匠と弟子 1

 レダは、ダイニングテーブルの上にバスケットを置いて、上に掛けられていた布を外した。「あらまあ~、豪勢なメニューだねぇ~」 カレンもレダの声に釣られて『今日は何が入っているのかしら~』と、バスケットの中を覗く。「これ……、今日は何かの祭り?」 カレンはボソッと呟く。 バスケットの中身はターキーの丸焼き、薄くて丸いパン、グリル野菜、スープはコンソメ、デザートはブルーベリーソースを添えたパンナコッタ、飲み物は冷たいピーチジュースと温かいブラックティーだった。 本日のランチも栄養満点だ。「アルフレッドは、毎日こんな食事を持ってくるのかい?」「はい、私が痩せたことを心配しているみたいで……」「それにしても……、これはやり過ぎだろう……」「そうですよね~」 カレンは苦笑いを浮かべる。「だけど、ご厚意を無駄にするのは良くないね。美味しくいただくとしようか」「はい、食べましょう。レダさん、こちらを使ってください」 カレンは取り皿とカトラリーをバスケットの側面から取り出して、テーブルに並べていく。昨日、アルフレッドがしていたのを真似して……。「なんてこった! 皿とカトラリーまで入っていたのか~、どうりで重いと思ったよ!!」「重い物を持たせてしまって、すみませんでした」「いや、あの子はワザとあたしに渡したんだろうよ。チッ」(今、チッって言った!?)「お腹も空きましたし、取り敢えず食べましょう!!」 レダはハイハイと頷いた後、ピーチジュースを自分のグラスへ注ぐ。(あっ! 弟子はこういう時、一緒に食べるのではなくて給仕を……) カレンは自分とレダが『師弟関係』だったということを思い出した。「レダさん、あのう……、こういう場合、お
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師匠と弟子 2

「レダさん、私……」 カレンはナイフとフォークを皿の上へ置く。「殿下の婚約者はエマなのに……、殿下のことを好きでいてもいいのでしょうか。これって世間体的に問題がありますよね?」 カレンは心の中でグルグルと考えていたことを素直に吐き出してみる。レダなら複雑に絡まっているカレンの心を、上手に解いてくれるような気がしたからだ。 レダはフウ~と大きなため息を吐く。そして、グリルされたキャロットをフォークでグサッと刺した。「いいかい? 先ず、エマとアルフレッドの婚約のことだけど……。あれはレベッカの策略、―――愛も恋も関係ない、ただの策略だ! そんなのを気にする必要なんてあるのかい? カレン、あんたは罠に嵌められたんだ。 アルフレッドとあんたの仲を阻むものなんて、最初から何もなかったんだよ。それから、世間体を気にしているみたいだけど、皆は今、レベッカに騙されている状態だからね~。まぁ、世間も正気じゃないということだよ。だから、あんたは今、考えても無駄なことを考えているということだね」 ここまで一気に捲し立て、レダは少し大きいキャロットをパクッと頬張る。「私は罠に嵌められた……」「そうら、それら……って、待って……」 レダはキャロットを急いで咀嚼する。そして、しっかりと飲み込んでから、話を再開した。「――――今、アルフレッドはあんたを失いたくないから、必死に何とかしようとしていて、毎日、ここへ通っているだろう?」「はい」「気付いているなら、あんたも素直に行動したらいいじゃないか」(素直に行動……、全く出来てないわ。レダさんのいう通りね。アレコレ理由を付けて、殿下と向き合おうとしなかったもの)―――レダの言葉はカレンの心に染みていく。「レダさん、私、実は自分で思っている以上にバカなのかも知れないです。継母のおかしな指示に従ったり、世間体に囚われた
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アルフレッドとレダの密談 1

「すっかり遅くなってしまった……」 アルフレッドは『レダの家』の前でボソッと呟く。 あの後、皇宮へ戻ると、早朝に市場を視察したニコラス(皇帝)が、イシュタル共和国とオルセント王国の仲裁をする準備を始めていた。アルフレッドはそれを今の今まで手伝っていたのである。 しんと静まり返るヤドリギ横丁。 コ……ン。 アルフレッドは『レダの家』のドアを軽くノックした。二人が眠っていたら、今夜は皇宮へ戻るしかないと考えながら……。―――予想に反し、レダがすぐにドアを開けてくれた。「おかえり、アルフレッド、だいぶん遅かったね~」「夜分にすまない。カレンは?」「こめかみの傷を治してやるといって、さっき眠らせたよ。あたしはあんたと話がしたかったからね」「―――分かった」 レダはアルフレッドをダイニングルームに連れて行き、シナモンの効いたラテとナッツの入ったクッキーをテーブルへ出す。「たいしたものが出せなくてすまないね」「いや、用意してくれてありがとう」 アルフレッドは、ラテに口をつけた。彼が毒見もせずに、安心して飲み食い出来るのは『レダの家』だけだ。 ゴクンとラテを飲み込むとシナモンのいい香りが鼻から抜けてきて、心地良かった。―――チラリとレダを見ると黒いローブを目深に被ったまま、器用にラテを飲んでいる……。「レダどの、今は俺しかいない……」 アルフレッドはフードを脱ぐ仕草をしてみせる。「そう? じゃあ……」 レダは躊躇なく、フードを後ろに引き下げた。 サラサラの金髪は後ろで三つ編みにしていて、瞳はコバルトブルー。カレンと違うのは口元にホクロが一つあること。 アルフレッドがレダをジーッと観察していると……。―――パチン。
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アルフレッドとレダの密談 2

「それはそうと……、あんた、レベッカの魔法がことごとく効かなかったみたいだね」「いや、それは違う。多分、効いていた。以前、シュライダー侯爵邸へカレンの見舞いに向かったら、いつの間にか皇宮に戻っていて、俺はそれを最近までおかしいと気付かなかったんだ」「なるほど、記憶操作系の魔法か……。あんたを公爵邸へ近づかせないように、レベッカはかなり警戒していたんだろうね。それであんたはどうして『レダの家』に来たの?」「それは……」 『レダの家』へ来た理由をアルフレッドは語りだした。 シュライダー侯爵の政敵が自滅しそうな悪事(アルフレッドに媚薬を盛る)を計画している。この悪事はどう考えても失敗に終わりそうだ。しかし、政敵が失脚するとシュライダー侯爵家を牛耳っているレベッカの勢力拡大してしまう。アルフレッドはそれを阻止するため、事態を穏便に収めなければならなかった。 そこで、思い出したのが、ニコラスから何度も聞かされた『昔、大魔女レダに獣化を治療してもらった話』だ。この話でアルフレッドは魔法使いレダが獣化のことに詳しいと知った。 媚薬を使われるのは満月の夜。政敵はアルフレッドが銀狐に獣化することを知らない。 彼らは単に満月の夜は男性の性的な衝動が増すという都市伝説を信じているだけだった。 偶然とは怖い。 真実、銀狐は満月の夜になると血が騒ぎだして、性的衝動もいつもより増すのである。その日に媚薬を盛られて、皇宮で大人しくしていられる自信はアルフレッドにはなかった。 だから、彼はレダに助けを乞うために『レダの家』へ来たのである。「ふ~ん、政敵か。なるほどね。それにしても、ニコラスはあんたに、そんな話(幼少期の話)をしていたんだね。懐かしいよ」 レダは昔のことを思い出して、クスリと笑う。そして、ナッツクッキーを一枚、口にポイッといれた。「レダどの、あなたは皇家の秘密をどこまで知っている?」 ゴホッ、ゴホッ。 アルフレッドの唐突な質問に驚いて、レダはナッツクッキーを喉に詰まらせてしまう。「大丈夫か?」 
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となりの部屋 1

 本日は快晴。 深く眠っていたカレンの意識も朝日と共に浮上してくる。「ん~、明るい? えっ! もう朝!?」 カレンはびっくりして目が覚めた。(レダさんが入浴後にケガを治してやるっていうから、お願いしたのは覚えているけど……。私、それからずっと寝ていたってこと!?)「あっ、殿下は……」 カレンは床をみる。敷物の上には誰もいなかった。(殿下は夜に戻って来るって言っていたよね。どうしよう! ドアを開けてあげないといけなかったのに……。もしかして、皇宮に帰っちゃった!?) カレンは、アルフレッドを閉め出してしまったかもしれないと焦る。 一先ず、状況を確認しようとガウンを羽織って、廊下へ出ると……。 ガチャ。―――隣の部屋から、アルフレッドが現れた。「えっ?」(はっ? 殿下!? ええっ~、何、そのドア???) 知らないうちに廊下のドアが増えていて、しかも、その増えたドアから、アルフレッドが出て来たのである。 カレンはワケが分からず混乱してしまう。「おはよう、カレン。傷はどうなった?」 一方、いつも通りのアルフレッド。彼は指先を伸ばして、カレンの髪を一房持ち上げると、傷があった場所を確認する。―――昨日、ドス黒くなっていたこめかみ付近の打ち身と傷はすっかり消えていた。「良かった。きれいに治っている。レダどのは凄いな。俺も回復系の魔法を教えてくれと頼んでみるか……」「……」 アルフレッドはここで漸くカレンの様子がおかしいと気付く。「カレン? どうした」「あっ!? いえ、知らぬ間にドアが増えていたので、ちょっと驚いてしまって……。ところで、殿下はいつここへ戻って来られたのですか?」「昨夜は日が変わる頃に戻っ
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