「それで、他の奴らは?」 アルフレッドはミトラに尋ねる。「あっちに揃っているよ」 ミトラは道路を挟んで向かい側にあるバルを指差した。人気店のようで、店内もテラス席も人が溢れている。―――お客たちはジョッキを片手に盛り上がっていた。「大丈夫! あれ、全員仕込みだから!」 ミトラは親指を立てて、笑顔で言い放つ。―――バルに入るとミトラ以外の四名が二人を待っていた。 アルフレッドはカレンに彼らのことを紹介する。 髪を肩口で束ねた長身のレッケンバード、短髪のニル、長い髭のあるウェルジュ、眼鏡を掛けているボートウェル、唯一の女性ミトラ。彼らは全員、ニルス帝国の歴代皇帝である。 彼らは普段、銀狐の姿で諜報活動をしているため、今回のように人の姿で活動するのは大変珍しいのだという。「結局、力を借りることになってすまない。彼女が俺の婚約者のカレンだ」「初めまして、カレンです」 カレンは黒いフードを目深に被ったままで挨拶をした。レダから、くれぐれも顔は晒さないようにと命じられているからだ。「二人とも待っていたぞ! 飲み物はどうだ?」 レッケンバードは豪快にエールのジョッキを掲げる。アルフレッドは隣にいたカレンに尋ねた。「カレン、何を飲みたい?」「ん~。では、レモネードを」「分かった。レック、レモネードとエールを頼む」「はいよ~」 レッケンバードは迅速に店員を捕まえて注文を伝える。 レッケンバードとアルフレッドのやり取りを聞いていたカレンはアルフレッドがエールを注文したことに驚いていた。(殿下はお酒を飲むつもりなの!? 任務中なのに?)「で、どうする? 倉庫の入口付近に結界とか張っちゃう?」 ニルが小声で聞いて来る。「ニル、倉庫の正確な場所を把握しているのか?」 アルフレッドはボソボソと小声で質問を返す。「うん。だって、この遺跡を建てたのは僕だからね!」
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