All Chapters of 訳あり侯爵令嬢は成り行きで身代わり占い師をしています(元婚約者の皇子が相談にやって来ました): Chapter 81 - Chapter 90

103 Chapters

銀狐と子猫 9

「それで、他の奴らは?」 アルフレッドはミトラに尋ねる。「あっちに揃っているよ」 ミトラは道路を挟んで向かい側にあるバルを指差した。人気店のようで、店内もテラス席も人が溢れている。―――お客たちはジョッキを片手に盛り上がっていた。「大丈夫! あれ、全員仕込みだから!」 ミトラは親指を立てて、笑顔で言い放つ。―――バルに入るとミトラ以外の四名が二人を待っていた。 アルフレッドはカレンに彼らのことを紹介する。 髪を肩口で束ねた長身のレッケンバード、短髪のニル、長い髭のあるウェルジュ、眼鏡を掛けているボートウェル、唯一の女性ミトラ。彼らは全員、ニルス帝国の歴代皇帝である。 彼らは普段、銀狐の姿で諜報活動をしているため、今回のように人の姿で活動するのは大変珍しいのだという。「結局、力を借りることになってすまない。彼女が俺の婚約者のカレンだ」「初めまして、カレンです」 カレンは黒いフードを目深に被ったままで挨拶をした。レダから、くれぐれも顔は晒さないようにと命じられているからだ。「二人とも待っていたぞ! 飲み物はどうだ?」 レッケンバードは豪快にエールのジョッキを掲げる。アルフレッドは隣にいたカレンに尋ねた。「カレン、何を飲みたい?」「ん~。では、レモネードを」「分かった。レック、レモネードとエールを頼む」「はいよ~」 レッケンバードは迅速に店員を捕まえて注文を伝える。 レッケンバードとアルフレッドのやり取りを聞いていたカレンはアルフレッドがエールを注文したことに驚いていた。(殿下はお酒を飲むつもりなの!? 任務中なのに?)「で、どうする? 倉庫の入口付近に結界とか張っちゃう?」 ニルが小声で聞いて来る。「ニル、倉庫の正確な場所を把握しているのか?」 アルフレッドはボソボソと小声で質問を返す。「うん。だって、この遺跡を建てたのは僕だからね!」
Read more

銀狐と子猫 10

「大丈夫だ。エールで酔うことはない」「もう! あと一杯だけですからね!!」 カレンに念を押され、アルフレッドは渋々頷く。「うわ~っ。アルに注意するなんて、強者過ぎるー!!」「ポートウェル、うるさい!」 ポートウェルがいきなり大声で叫んだので、ヴェルジュが注意する。 オシャレな眼鏡でインテリな雰囲気を醸し出していたヴェルジュの奇行が、カレンは何となく気になってしまう。(ポートウェルさま、お口を押さえて青ざめている……? ヴェルジュさまに注意されたからでしょうけど、この様子から察するに、ポートウェルさまは元々軽口を叩くようなタイプではないのかも。―――そもそも、殿下がエールを飲んだりするから悪いのよ……。私だって、人前で注意なんかしたくないわ……)「カレンさま、そろそろ、倉庫の場所の確認をして下さいませんか?」 ヴェルジュは優しい口調でカレンに進言する。(そうね。のんびり考え事をしている場合ではなかったわね)「分かりました。早速、取り掛かります」 カレンはレモネードのジョッキをテーブルに置いてから、目を閉じて集中した。 バルの賑わいが徐々に遠のき、自分の中にある世界へ入り込む……。 真っ暗闇だった視界に古代遺跡の全体像がパッと浮かび上がってきた。(多くの建物が見えて来たわ。次は地下……) 地面の下に潜ってみる。地上に繋がっている階段を見つけた。その階段の下へ意識を向ける。 階段の先に大きな部屋があった。扉を通り抜けて、室内を確認していく。(金貨の麻袋と宝石、壁際の棚には薬品の瓶、それと……)「えっ!? 嘘……」「カレン、どうした?」 アルフレッドは心配になって声をかける。(殿下の声! ああ、私が驚いて声に出したから~)
Read more

銀狐と子猫 11

「上手くいきました!!」 取りあえず報告だけは口にしたが、まだ、意識はミイラだけ残る部屋の中にあった。―――と、ここで、ニルがカレンの意識の中へ直接、語り掛けて来る。『カレンさま、そのまま意識を繋いでいてくれる? 次は僕がミイラを処理するから』『はい、承知しました』 ミイラの残る部屋へ、ニルらしき銀狐が現れた。(えっ、どうやって、ここへ入って来たの??) 疑問を感じつつ、カレンは見守る。ニルはミイラに触れることなく、その身体から白銀色の粒子を放った。(ニルさまが殿下みたいなことをしているわ) 粒子はミイラたちを包み込んで輝きを増していく。そして、パンッと弾けるような音が鳴った瞬間、ミイラたちは消滅した。「カレンさま、もう戻ってきていいよ」 ハッキリとしたニルの声が聞こえて、カレンは意識をバルの店内に戻す。 ゆっくりと瞼を開けると皆がカレンの肩や腕を掴んでいた。何とも言い難い光景につい笑いが込み上げてくる。(魔力って、こうやって渡すのね……。予想外だったわ、フッ)「ウフフフッ……。皆さま、ご協力いただきありがとうございました! 無事に完了しました!!」「ミイラも黄泉送りしておいたから、ご心配なく!」 ニルが付け加える。「これで、あたしたちの任務も完了!!」 ミトラはジョッキを掲げて、宣言した。「アルたちは夜会の助っ人に行くのか?」 レックはポートウェルの手を取って、彼をダンスの時のようにクルリと回す。無茶振りだったのにポートウェルの動きは優雅だった。「ああ、今、レダどのに確認したら、すぐに来いと言われた」 アルフレッドの言葉を聞いて、ヴェルジュは眉を寄せる。「『すぐに』って、何かトラブル?」 ニルが心配そうに聞いて来た。「ああ、それは……。この国のアウローラというご令嬢が……
Read more

夜会 1

「カレン、そろそろ準備はいいか?」 衝立の向こう側から、アルフレッドが急かしてくる。 今、この部屋に居るのは、カレンとアルフレッドの二人だけだ。 何故なら、エドリックが使用人たちに、夜会の間は自室(エドリックの部屋)への立ち入りを禁じたから。 この指示は諸々の機密(今回の任務)を守るために出した。しかし、その弊害でアルフレッドとカレンは夜会の準備を自分たちでしなければならなくなってしまったのである。(―――後ろのボタンが止められなくて困っているって、素直に言った方がいい? まさか、レダさんから急いで身なりを整えて、夜会会場へ来るようにと言われるなんて思わなかったわ。この半年間で色々と身の回りのことも出来るようになったけど、流石にドレスを一人で着るのは難しいわね) 本来、カレンとアルフレッドは荷物の転移任務が終わった後、この部屋で夜会が終わるまで待機する予定だった。 このタイミングでレダに呼び出されたということは『レベッカたちを捕縛し、エドリックが隣国リビエル公国の大公メローに釘を刺す』という段取りが上手く行かなかったのだろう。 アルフレッドは下手したら、黒魔女レベッカとレダの全力魔法合戦が勃発するのではないかと心配している。 出来るなら、最悪の事態は回避したい。 だから、カレンに何度も声を掛けてしまったのである。「殿下、大変申し訳ないのですが、手の届かないところを手伝って欲しくて……」「分かった。入るぞ」 アルフレッドが衝立の横から現れた。カレンはアルフレッドの目の前で、クルリと回転して背を向ける。「後ろのボタンを留めて欲しいのですが……。すみません」 カレンは申し訳ない気持ちで一杯だった。 アルフレッドは露わになった彼女の真っ白で一点の曇りもない美しい背中をあまり見てしまわないよう、ドレスのボタンに意識を集中する。(緊急事態とは言え、皇子様に着替えを手伝わせていいの? これ、不敬じゃない?) カレンは手伝いをお願いしたも
Read more

夜会 2

「カレン、レダどのがここに来るらしい」「えっ!?」「お疲れさま、荷物の件は無事に終わって良かったね~」 衝立の向こう側から聞こえてくる、レダの声。タイムラグゼロである。 レダは指先をひょいと振って衝立を消し、カレンたちと半日振りの対面をした。 偽アルフレッド(人形)もレダの隣に立っている。 今のレダは一応、カレンに変装している(ことになっている)ため、いつもの真っ黒なローブ姿ではない。美しく輝く金色の髪はリボンを一緒に編み込んでオシャレに結い上げられ、ドレスもすみれ色の柔らかな生地を使用した若々しいデザインのものを着用していた。 ちなみにカレンも同じドレスを着ている。(これは私と交代するということ?)「レダさん、夜会を抜けるつもりなのですか?」「う~ん、抜けるというか、修羅場が予想以上に長くてね~。居心地の悪さが半端ないんだよ」「修羅場……」「というわけで、あたしはいつもの姿に戻らせてもらうよ。あとはよろしく!」(あ、やっぱり入れ替わるんだ……) レダは指をパチンと鳴らして、いつもの黒いフード姿になった。後ろにいたアルフレッド人形も白い人形に戻されて、レダの懐へ。「レダどの、状況を教えてくれ」「いや~、状況もなにも……。アウローラが他国から来たご令嬢の一人一人に、エドリックを横に連れて挨拶して回っているんだよ~。『私がエドリック王子の婚約者アウローラです。以後、お見知りおきを~!』って、そりゃ~、いい笑顔を浮かべてね。でも、目は全く笑ってないんだ。あれは見ているだけで怖いよ……、クックック」(ローラさん、あいさつ回り……。良かった~! 流血事件とかじゃなくて……)「カレン、良からぬことを考えただろ」 アルフレッドはカレンの頬を人差し指でプニッと押した。タイミングが良過ぎて、アルフレッドに心を読まれ
Read more

夜会 3

 カレンはアルフレッドの袖を引っ張る。  少し屈んでくれたので耳元へ囁いた。 「エドリック王子って、おバカなのでしょうか?」 「ああ、この謎の演出が今回の計画を狂わせたのは間違いないだろう」  アルフレッドは視線を上げて、会場内をゆっくりと見回す。精悍な横顔にカレンはつい見惚れてしまう。 (まるで彫刻の巨匠が手掛けたような造形美ね。鼻もスッとしていて、くちびるの厚みもちょうど良くて、額の広さも……。殿下、今日は前髪を上げているから余計に美しい顔が際立っているわ~~~)  そこへ、イランイランの魅惑的な香りが漂ってくる。  アルフレッドへ無意識に手を伸ばしてしまいそうになり、カレンはハッとした。 (ん? この殿下に対して、やけにムラムラとしてしまうのは何なの? もしかして、この香りのせい?? 何か変なものを仕込んでないわよね? エドリック王子!!)  カレンは心の中でエドリックを疑う。―――と、ここで、アルフレッドから肩をトントンと優しく叩かれた。 「カレン、あそこにエドリックたちがいる」  カレンはアルフレッドの視線の先を辿る。 「あれは……」 「ああ、エマと対峙している。到着したタイミングが良かったのか、悪かったのか……。俺たちの出番だな」 「そうですね。行きましょう」  カレンはアルフレッドにエスコートされながら、彼らに近づいて行く。 歩いていると、先日、エマに傘で殴られたことを思い出した。ついつい怪我をしたこめかみを手で触ってしまう。今はもう傷も消えているが……。 (エマは私を殴ったとは気付いていないのだから、気持ちで負けないようにしないと!!)  カレンは首を左右に振って、あの嫌な出来事を振り払う。  近づくにつれ、会話の内容が耳に入ってくる。 「―――そう、あなたはアウローラというのね……。わたくしはニルス帝国の第一皇子の正式な婚約者として、エドリック王子の婚約者選びを見届けに来たの。婚約者気取りの女の挨拶なんていらないわ。下賤な女、今すぐここから去りなさい。目障りよ!」 (どうしょう……。エマの発言が酷すぎる。これ、相手がエドリック王子じゃなかったら即国際問題になってしまうレベルよ。だって、ローラさんはこの国の宰相閣下の娘さんなのだから……)  バシン!!  大きな音が、会場に響き渡った。 (ローラさん!)
Read more

夜会 4

エマはアルフレッドに堂々と言い返した。 (マズイわ! 殿下が……) カレンは血の気が引いてしまう。アルフレッドが人を殺してしまいそうな目で、彼女を睨みつけていたからだ。 (物凄く怒ってる……。そうよね~、殿下のことを『アル』と呼ぶのは、ごく親しい人だけだものね。不快になるのも分かるわ。エマは私に見せつけるためにわざと言ったのでしょうけど……) 「この場ではっきりと断言しておく。俺の婚約者はカレン・マーレ・シュライダー侯爵令嬢だ。そこの女(エマ)! 帝国法に則り、不敬罪で逮捕する。捕縛せよ!!」 (エマのことをそこの女って……。もう、名前も呼びたくないのね) アルフレッドの指示を受け、ニルス帝国の騎士が六名現れた。 (どこから騎士が……。あれれ? 全員銀髪じゃない? もしかして……) 騎士たちはエマを拘束しようと近づいていく。 バチッ。 バリ、バリバリ。 異様な音がした。エマが抵抗したのだろう。 しかし、騎士たちは何事もない様子で平然と対応している。あっという間にエマは後ろ手に手錠を嵌められた。 「カレン、あれはまた別の歴代(歴代皇帝)だ。心配はいらない」 アルフレッドはカレンの耳にくちびるを寄せて囁く。 (やっぱり! だから、エマの抵抗にも対応出来たのね) 「あ~、あんた! よく見たら、カレンじゃないの。どうやって屋敷から抜け出したのよ!!」 エマは騎士たちに引き摺られながら退場していく途中で、カレンの存在に気付いた。 (エマは私が侯爵邸からここに来たと思っているのね。あれは身代わり人形なのに……。私が絶望して『レダの家』に駆け込んだことも知らないのだわ) カレンは無言でエマを見据える。真実を教えてやるつもりなどない。 「くっそ~、泥棒猫め!! あんたなんかお母さまに言いつけて、二度と表に出られないようにしてやる!!!」 この期に及んでも、エマは大きな声でカレンを罵った。 (どうしてこの子は私にいつも敵意を向けて来るのかしら。でも、もう何を聞いても、負け犬の遠吠えにしか聞こえないけど……) 絶望していたあの頃も今となっては懐かしい。 カレンがそう思えるようになったのは『レダの家』で身代わり占い師をして経験を積んだからだ。仕事を通じて、世の中にはいろいろな悩みを持つ人がいることを知った。そして、
Read more

夜会 5

「あ~ら、殿下。うちのエマをどうするおつもりなのかしら? その嘘つき女に誑かされていらっしゃるの? 目を覚ましなさい!! 淫乱なその女を妃にするなんて、誰も認めないわ!!!」(殿下に対して、不敬だわ。レベッカ、あなたって……、本当にみにくい言葉しか吐けないのね……。淫乱? それは、あなたが捏造した話でしょう) レベッカの常軌を逸した発言に呆れてしまう。(この女と同じ土俵に立ちたくない、視界に入れたくない、口も聞きたくない) カレンはレベッカへ激しい嫌悪感を抱く。 一方、隣のアルフレッドは深呼吸と瞑想で落ち着こうとしていたが……。「罪人レベッカ!!」―――たった今、堪忍袋の緒が切れた。レベッカがカレンのことを『淫乱な女』と侮辱したからだ。 アルフレッドはレベッカを双眸で鋭く見据える。「お前に最後通告をする。俺の最愛に対する侮辱は許されない。今すぐ謝罪をしろ。然もなければ、この場で斬り捨てる」 圧のあるアルフレッドの声が響き渡った。 夜会会場は呼吸をするのも忘れてしまいそうな緊張感に包まれる。 しかし、ほとんどの参加者は事前に『この夜会は悪党を捉えるための茶番である』とレダから伝えられていたため『何が起きても静かに見守る』という覚悟が出来ていた。 そして、何も知らされていないのは断罪される側のリビエル公国の大公メロー、大公妃リステル、公女エイミール。 リビエル公国の大公一家は固唾を飲んでこの様子を見守っていた。 それは彼らとレベッカが一蓮托生だからだ。 レベッカの悪事がニルス帝国やアーロック王国及び、周辺諸国へ知られてしまうのは彼らにとって非常に都合が悪い。 周辺諸国を侵略しようしていたリビエル公国は諸々の計画が破綻したら、一気に存続の危機を迎える。「何をバカなことを……。その女は平民の母親が産んだ卑しい子なの。殿下、目を覚ましなさい!! 卑しい血筋を皇家に入れるなんて、
Read more

夜会 6

「だから、何なのさ! あたしが妻だって言ってるだろ!!」「帝国法はお前をシュライダー侯爵の妻だと認めていない」「ふん、死んだ女が妻として登録されているだけじゃないか!!」 レベッカの口調は一気に崩れていく。 もはや、貴婦人の欠片もなかった。目じりは吊り上がり、くちびるの端も歪ませている。 アルフレッドは一旦、レベッカから視線を外し、カレンの方を向いた。「レダどのが来る」「分かりました」 アルフレッドは再びレベッカを見据える。「化けの皮が剥がれたおまえに良いことを教えてやろう。カレンの母親は生きている。シュライダー侯爵との仲も良好だ!」「「えっ?」」 カレンとレベッカの声が重なった。(は、初耳なのだけど!? お父様とお母様の仲が良好??? いやいやいや、それよりも生きているって……、嘘、本当に!?) カレンは、頭の中でグルグルと色々な可能性を考える。(もしかして、屋敷にいる侍女の誰かが、実のお母様だったという可能性も……。―――いいえ、それは無いわ。侍女頭は壮年だし、他の侍女たちは私と年が近過ぎるもの!) ギ~~~ッ。 突如、夜会会場のドアが開いた。 会場内の視線がドアの向こうに立っている人物へ集中する。―――そこにいたのは黒いフードを目深に被ったレダだった。(レダさん!! ああ、心強いわ!) 直近まで考えていた母親のことをカレンは忘れてしまう。 レダは皆に見守られながら、ゆっくりとカレンたちの方へ歩いて来る。 そして、あと二、三メートルで合流するという時。 ガサ、カサッ。 変な物音がした。 レダ、アルフレッド、カレン、歴代皇帝たち、捕縛されているエマ、夜会の参加者の順に音の発生源へ目を向ける。 音を立てたのは……。―――どさくさに紛れて、夜会会場から逃げようとしたリビエル公国の大公メローとその家族だった。「転・捕縛!」
Read more

夜会 7

 ピキッ。 ピリッ、ビリッ……。 パリン!! アルフレッドの言った通り、レベッカはいとも簡単に決壊を破った。 カレンはレベッカの口元が動いていることに気付き、即座に防御シールドを展開する。「シールド!」 キ~ン!! レベッカの攻撃はカレンが迅速に張った魔法の盾に当たり霧散した。 ここでアルフレッドは参加客の避難を決断する。流石に各国の主要メンバーを魔法合戦に巻き込むわけにはいかない。 「エド!参加客の避難を頼む!!」「分かった!! ローラ、手伝って!!」「はい、エドリックさま」 アルフレッドの指示を受け、エドリックとローラは壁際に逃げた参加者を外へ誘導し始めた。 レベッカとレダはにらみ合っている。 幸いなことに、一、二分で参加者は無事に避難を完了した。 大広間に残っているのは騎士たち(歴代皇帝たち)が取り押さえているエマと、敵意丸出しのレベッカ、そして、レダ、カレン、アルフレッドと捕縛されている大公一家である。「レダどの、避難が終わった。俺も暴れていいか?」「ああ、構わないよ」「カレン、俺はあいつらと話を付けて来る。出来れば振り返らないでくれ」 アルフレッドはカレンに一言告げると、大公とその家族の方へ向かった。(んんん? 出来れば振り返らないでくれ……って、どういう意味!?) カレンが首を傾げていると、レダから肩を叩かれた。「カレン、あたしの手伝いを頼むよ」「―――はい、分かりました」 カレンは気持ちを切り替えて、レダの隣に立つ。 その直後、背後からおぞましい断末魔が聞こえて来た……。(ああ、そういう……。殿下は、怖いことをしている姿を私に見せたくなかったのね)「レベッカ! あんたは全く反省していないようだね。さて、どうしよう
Read more
PREV
1
...
67891011
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status