「かなり幼い時です。もっと早く魔法を学んでいたら、義母たちに少しは抵抗出来たかもしれませんね」「―――いや、抵抗する術がなくて正解だったんじゃないか? カレンが下手にレベッカたちへ抵抗して、命を奪われたりしたら、俺はあいつらに何をしてしまうか分からない……」「―――殿下が暴走したりしたら……、一体、どうなるのでしょう?―――怖いですね」 ティーポットから湯気の立ち昇る琥珀色の液体をカップへ注ぎながら、カレンは苦笑する。 アルフレッドは魔導書を手に持ったまま、ソファへ腰掛けた。そして、パラパラとページを捲りながら、内容を眺める。―――途中で気になるページを見つけて、手を止めた。『第三章の二項・姿を変える方法』、そこには『姿を変化させる=物質変換するということ』と書かれていた。「物質の変換……」 アルフレッドは銀狐や人間に姿を変えるときに何かを意識して変化したことなど、一度も無い。なので、自分がそんな煩わしいことをしているという意識も無かった。 さぞ、面倒な手順が書かれているのだろうと思って、目を通してみると……、予想は大ハズレ。 この章ではアルフレッドのように無意識で姿を変える能力を持っている者ではなくても、記載されている魔法陣を描けば、自分自身、或いは対象の物・者の姿を変えることが出来るとのこと。「簡単に出来そうな気にさせるが、これは少し……」 こういう魔法陣を描いて魔法を発動するには、それなりの魔力量が必要なのである。 その重要な一文が、何処にも書かれていないことにアルフレッドは違和感を持つ。「はい、お茶が入りました。どうぞ」 カレンは、アルフレッドの前にティーカップを置き、その隣に自分の分も置いた。 そして、当たり前のように彼の隣へ腰を下ろす。 部屋の中にいるのは二人だけ。 てっきり、向かい合わせで座ると思っていたアルフレッドはカレンの行動にドキッとする。「ええっと、どのあたりが気になったのですか?」 カレンはアルフレッドの手元にある魔導書を
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