訳あり侯爵令嬢は成り行きで身代わり占い師をしています(元婚約者の皇子が相談にやって来ました) のすべてのチャプター: チャプター 71 - チャプター 80

86 チャプター

カレンのお部屋 2

「かなり幼い時です。もっと早く魔法を学んでいたら、義母たちに少しは抵抗出来たかもしれませんね」「―――いや、抵抗する術がなくて正解だったんじゃないか? カレンが下手にレベッカたちへ抵抗して、命を奪われたりしたら、俺はあいつらに何をしてしまうか分からない……」「―――殿下が暴走したりしたら……、一体、どうなるのでしょう?―――怖いですね」 ティーポットから湯気の立ち昇る琥珀色の液体をカップへ注ぎながら、カレンは苦笑する。 アルフレッドは魔導書を手に持ったまま、ソファへ腰掛けた。そして、パラパラとページを捲りながら、内容を眺める。―――途中で気になるページを見つけて、手を止めた。『第三章の二項・姿を変える方法』、そこには『姿を変化させる=物質変換するということ』と書かれていた。「物質の変換……」 アルフレッドは銀狐や人間に姿を変えるときに何かを意識して変化したことなど、一度も無い。なので、自分がそんな煩わしいことをしているという意識も無かった。 さぞ、面倒な手順が書かれているのだろうと思って、目を通してみると……、予想は大ハズレ。 この章ではアルフレッドのように無意識で姿を変える能力を持っている者ではなくても、記載されている魔法陣を描けば、自分自身、或いは対象の物・者の姿を変えることが出来るとのこと。「簡単に出来そうな気にさせるが、これは少し……」 こういう魔法陣を描いて魔法を発動するには、それなりの魔力量が必要なのである。 その重要な一文が、何処にも書かれていないことにアルフレッドは違和感を持つ。「はい、お茶が入りました。どうぞ」 カレンは、アルフレッドの前にティーカップを置き、その隣に自分の分も置いた。 そして、当たり前のように彼の隣へ腰を下ろす。 部屋の中にいるのは二人だけ。 てっきり、向かい合わせで座ると思っていたアルフレッドはカレンの行動にドキッとする。「ええっと、どのあたりが気になったのですか?」 カレンはアルフレッドの手元にある魔導書を
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カレンのお部屋 3

「―――その時は俺がカレンに魔力の供給をする」 想定外の発言を受けて、カレンは目を見開く。(魔力の供給??? 何それ?)「そんなことが出来るのですか?」「魔力を分け与える方法がある。だから、二人で行けといわれたんだ」「ふぇ~、やっと意味が分かりました。私の知らないことがまだまだ沢山ありますね~」 アルフレッドは魔導書を一旦閉じて、ティーテーブルの上に置いた。 そして、カレンの淹れてくれたお茶を飲むため、カップに手を伸ばす。―――口元にカップを寄せて、一口飲む。ベルガモットの爽やかな香りが鼻に抜けていく。「美味しい。ありがとう」 アルフレッドはお茶のお礼を告げる。 カレンは軽く頷いて、自分のティーカップを手に取った。音を立てないようにスーッと息を吹きかけてから、ゆっくりと口に含む。(まだ少し熱いけど美味しい~。香りも良いわね。上手く魔法でお湯を沸かせて良かった!) カップを手に持ったまま、カレンはアルフレッドへ寄り掛かる。触れた腕から優しい温かさを感じた。春だとは言え、夜はまだ寒い。(人肌が恋しいってこういうことを言うのかしら……。ん? この言葉の使い方は合っている? それとも間違っている?) アルフレッドは、寄り掛かったまま動かないカレンの手から、中身がこぼれそうになっているティーカップを取り上げた。「カレン、眠たいのか?」 横からカレンの顔を覗き込むアルフレッド。目が合うとカレンは軽く首を振った。「殿下にくっついていると温かくて心地いいので、離れがたくて……」「そういうことを軽々しく言わないでくれ。俺の理性を試しているのか?」(理性? 試している?)「私は殿下に何にも試していないですよ? 離れたくないというのは素直な気持ちです」「カレン……。俺は、レダどのに結婚するまでカレンに手は出さないと約束した。だから、本当は部屋で二人き
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銀狐と子猫 1

―――風を切るというのはこういうことなのだろう……。 ヒュンヒュンという音となびく銀色の毛。 カレンは今、アルフレッドの背中に小さな足で必死にしがみ付いている。―――美しい銀狐は道なき道をスイスイと駆け抜けていく。 ここはアーロック王国の西部にあるカーブラ山岳地帯。リビエル公国との国境と面している地域である。 この辺りは岩山ばかりで、石ころと僅かな草しか生えていない殺伐とした風景が続く。そして、両国の国境はカーブラ山岳地帯にある山々の頂を繋ぐように引かれているため、とても険しい。 かなり離れているふもとの村まで降りなければ、人とすれ違うこともないほどに……。 なので、こんなに険しい山々を越える者などいないと判断した両国は国境に検問所や警備隊を配置していないのである。 アルフレッドはレダからこの話を聞いた時、驚きを通り越して、呆れた。国境を手薄にするなんて、ニルス帝国ではあり得ないことだからだ。 恐らく、リビエル公国が昔はアーロック王国の一部だったという歴史的背景がこの緩さの根底にあるのだろう。―――というわけで、ここは悪人が宝を隠すには打ってつけの場所なのである。♢♢♢♢♢♢♢―――カレンは、ポルチーニ茸の事件以来、レダから連日連夜、魔法を叩き込まれた。 期間は僅か一週間程だったが、今回の任務に必要な魔法を一通り身につけ、予定通りアルフレッドと一緒にアーロック王国へやって来たのである。 二人に課せられたのは、リビエル公国の大公メローが周辺国から集めた金品と武器を没収するということ。(結局、攻撃魔法は初歩なものしか、レダさんに教わる時間がなかったし、魔法戦士のような強敵と遭遇したら……、ん~、どう対処して良いのか分からないわ。―――でも、まぁ、殿下がいれば何とかなりそうよね。こんなに浮ついた気持ちじゃ危ないと分かってはいるけど……) カレンは頼りになる相棒の背に頬を寄せる。♢♢♢♢♢♢
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銀狐と子猫 2

 アルフレッドが可愛すぎると口走るのも当然だった。 カレンは今、子猫の姿をしているのだ。金色のふんわりとした柔らかな毛に鮮やかなコバルトブルーの瞳。目に入れても痛くないくらいの愛らしさを放っている。 本人は大人の猫の姿で任務に参加するつもりだったのだが……。残念ながら、新米魔法使いカレンの技術では子猫にしかなれなかったのである。(私だって、子猫になった自分の姿を見て、これじゃ緊張感がないかも~と思って、色々とチャレンジしてみたけど、全然、上手くいかなかったのだもの~)「アル、舌で舐めるのはゾワッとするから、本当に止めて!! それと、他の動物になるのは今の私の能力では無理なの!! あきらめて!」「あ~、分かった……、すまない」 今朝方、アルフレッドとカレンはレダ(カレンに変装中)と偽アルフレッド(魔法人形)と一緒に、レダの転移魔法でアーロック王国へ入国した。 当初の予定ではレダと偽アルフレッドは船、カレンとアルフレッドは転移魔法を使ってアーロック王国へ入国する予定にしていたが、出発直前にレダが海軍にレベッカの手先がいると騒ぎ出した。 なので、レダ一行は急遽、転移魔法を使用して、アーロック王国へ入国することになったのである。―――いきなり現れた一行にエドリックは目を見張った。 そして、カレンに扮するレダをまじまじと見て『本当に? どこから見てもカレンだ!!』と驚きの声を上げる。アルフレッドはレダが変装していないことを知っているので、つい笑ってしまいそうになってしまった。 レダにキッと睨まれて何とか耐えたが……。 また、レダ一行がアーロック王国へ到着するタイミングに合わせて、ニルス帝国では、二つの大きなニュースが帝国民へ発表された。 一つ目のニュースはレベッカとエマの犯罪に関することだ。『レベッカ、エマの二名は国家転覆を目論み、シュライダー侯爵家を乗っ取って、エマを皇子殿下に嫁がせようとした。罪名は詐欺罪、偽証罪、殺人罪、恐喝罪など多岐に渡る』とのこと。
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銀狐と子猫 3

「カレン、草が邪魔で見えないのなら、もう一度、俺の背中へ乗るといい。この草むらの先に大岩がある。見張りは5名。相手を傷つけたくないなら、俺が魔法を使って眠らせることも出来るが……、どうする?」 カレンはピョンとアルフレッドの背中へ飛び乗る。アルフレッドのいう通り、前方に大きな岩があった。 ところが、五名の見張りは見えない。「アル、見張りはどこにいるの?」「ああ、あの大きな岩は入口で、見張りはその奥にいる。カレン、透視して見てみろ」(透視なんて、したことがないのだけど!?)「どうやって?」「そうだな……。カレンは感覚的な魔法が上手いから、透けろと願ってみたらどうだ?」(感覚的って、何となく馬鹿にされているような気がするのは、なぜ……) カレンはアルフレッドのアドバイスが、あまりにザックリ過ぎていて、何となくイラッとしてしまう。 ただ、念のため……、以前、空間移動魔法で煮詰まっていた時にアルフレッドのアドバイスで上手く出来たので、一度くらいは試してみることにした。 カレンは大きな岩をジーッと見つめながら『透けろ~』と願う。 すると、軍服のようなものを身に纏った男の姿がボヤ~ッと見えてきた。(あっ、あ~~~~!? 見えた!? 本当に見えたわー!! ウソでしょ!?)「ああ、その様子……、見えたのか! やはり、カレンの能力は、感覚とか、感情に左右され易いということか」「なんで、そんなことが分かるんですか!?」「いや、アレと親子だからな……」 アルフレッドはカレンに聞こえないくらい小さな声で呟く。 彼の脳裏にはグジグジと思い悩むレダの顔が浮かんでいる。「え? 何?」「いや、何でもない。この後の二か所も結構遠いから、早く済まそう」「は~い。では、殿下、敵を眠らせてください。怪我人
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銀狐と子猫 4

「カレン、魔力なら、俺がいくらでも供給してやるから心配するな」(ん~ん、ウジウジしていても仕方がないわよね。だって、何が何でもしないといけないのだもの……)「分かった。やってみます。でも、魔力が足りないって、どうやったら分かるの?」「それは心配しなくていい。俺がカレンの様子を見て補充するから。取り敢えずやってみろ」(なんて、力強いお言葉!!)「では、まず姿を元に戻します」「ああ」 カレンは子猫の姿から、いつもの姿に戻った。 深呼吸を一回、二回、三回、息を整える。 両手を広げて、集中。(今日はズ~~~~~~ッと引っ張って、ゴォ~~~~~~ッと押し込むくらいの感覚でいかないと、この量は無理~!!) 荷物を強い力で吸い込むイメージを脳内に浮かべて、カレンは手先から魔力を放出する。 隣でカレンの指先から流れ出る魔力の強さを計っていたアルフレッドはまだ助ける必要はないと判断した。 カレンから、十分な魔力を感じたからである。 眼下の大荷物はスッと消えた。(次は『レダの家』の地下倉庫、左側の六枚目のドアの奥にある倉庫へ荷物を入れ込むわよ!!) カレンはゴォ~~~~~~ッと力いっぱい押し込んだ。 アルフレッドは上手く送られたかどうかを、即座にレダへ念話で確認する。『大丈夫、六番へバッチリ入ったわよ』と、レダから直ぐに返事がきた。 相変わらず謎の多い『レダの家』である。 今回の荷物は兵器と金品だ。横取りされてしまったら大変なので、『レダの家』を倉庫として大いに活用させてもらう。 金品については後日、周辺諸国へ返還することになっている。武器も全体量を把握してから、各国と協議する予定だ。「カレン、『六番へバッチリに入った』と、レダどのから返事があった。次に行こう!」「ああああ~、良かった!! 本当に良かった! 滅茶苦茶、緊張した~! 私、凄い!」 小声で喜びを伝えて来る、カレン
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銀狐と子猫 5

「そう、エドの婚約者のローラさんです!」「カレン、会いに行かなくても、あのご令嬢なら今夜の夜会に乗り込んで来そうじゃないか? クククッ……」(殿下も私と同じ様なことを考えていたのね……)「私もローラさんなら、乗り込んで来そうだな~とは思いましたけど……。でも、今日の夜会は、黒魔女レベッカが来るかも知れないのでしょう? さすがに危険ですから、レダさんが登城を阻止しそうじゃないですか?」「いいや、レダどのなら喜んで乗り込ませるだろう。それも演出の一つにしてしまおうということくらい考えていそうだ。フッ、フフフ」 アルフレッドは下を向いて笑いを押さえ込む。―――ここからは真面目な話をしないといけないからだ。「カレン、話を戻すぞ。浮島の魔物で気を付けた方が良いのは、一頭のグリフォンだけだ。あいつはまあまあ強いから。それから、グリフォンを置いているということは、あの奥に金が隠されている」「グリフォンって、どんな魔物ですか? それから、金があるって、なぜ分かるの?」「グリフォンの見た目はライオンに羽が生えたような感じだ。飛んで来ると厄介だから、先に羽を燃やして動きを封じないといけない。グリフォンは金を好むといわれている。あいつらは大体、金鉱脈のある場所に巣を作るんだ。だから、金が隠されていると確信したんだ」 アルフレッドの話を聞いて、カレンは目を見開く。「なるほど! 金の近くにいる習性があるのね。で、グリフォンと私たちは真っ向から戦わないといけないの? さっきみたいに眠らせるのはナシ?」「カレン、戦うにしても、真っ向から突っこんでいくようなことはしない。出来るだけ気配を消して近づく戦法を取る。グリフォンは確実に仕留めたいからな。中途半端に眠らせて放置したりしたら、俺たちが去った後、グリフォンが暴れ出して、近隣の住民に被害を及ぼすかもしれないだろう?」 アルフレッドの説明は納得出来るものだった。カレンも近隣住民に被害が出るのは嫌だ。「分かりました。確実に仕留めましょう」
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銀狐と子猫 6

危険なグリフォンと対決しなくても良いよう、カレンは倉庫の内部には侵入せずに荷物を移動しようと決意した。 カレンはアルフレッドの耳元まで、ズッ、ズッ、ズッと落ちないように気を付けながら、腹ばいで移動する。 「アル、ここから内部の荷物を移動させようと思うの。サポートをお願い!」 敵に悟られないよう、かなり小声で……。 それでも、アルフレッドにはちゃんと伝わったようで、大きく頷いてくれた。 早速、カレンはアルフレッドの背中で集中を高め、先ほど透視した荷物を脳内に思い浮かべる。そして、一気にゴォ~~~~~~ッと、異空間へ引っ張った。 (ん~、上手く出来たかな? 倉庫の内部をもう一度確認してみよう。『透けろ!』―――おおっ! 倉庫が空っぽになってる!! ここまでは成功ね。あとは、あの荷物を……) ド、ドーーン!!!! 突然、鼓膜が破れてしまいそうな爆破音がした。 続いて、大きな衝撃波が来て、カレンの張った結界を粉々に破壊する。 強い風を受け、カレンはアルフレッドの背中から、宙に投げ出されてしまった。 スローモーションのように子猫のカレンは湖へと落下していく。 (あ~、殿下は無事みたい……。盾が利いて……、良かった……) 空中で強風に耐えたアルフレッドは、背中から滑り落ちた子猫のカレンを見失ってしまわないよう、視線で追っていた。 そして、風が止んだので、助けに向かおうとした、その時……。 「アル! 先に敵を!!」 (私は後でいいから……) ―――大声で叫んだ後、カレンの視界は真っ暗になった。 彼女の叫び声を聞いて、アルフレッドは冷静さを取り戻す。 今は攻撃を仕掛けてきた敵を無視している場
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銀狐と子猫 7

「完了したわ!」 カレンの言葉を聞いて、アルフレッドは、レダに念話で荷物の確認をした。 『レダどの、二つ目の荷物の確認を!』 『ああ、二つ目が金だったんだね。無事に入ってるよ』 『分かった。カレンに伝える。それと、浮島にグリフォンがいた』 『はぁ? 何だって!?』 『真っ黒になっていて、とても神獣には見えなかった。レダどのには悪いが、遠慮なく倒した』 『はぁ~ぁ、そうだったんだね。まぁ、闇落ちしているなら、倒すしかないからねぇ。アルフレッド、面倒をかけてごめんよ。レベッカめ! あたしの眷属に手を出すなんて、千年早いんだよ!! 次の三つ目の倉庫も十分、気を付けていくんだよ。夜会ではなく、そちらにレベッカが現れる可能性もないとは言えないからね』 『分かった』 「カレン、レダどのに確認が取れた。荷物は無事だ。暗くなって来たから、次へ急ごう。ただ、少しだけ……」 「はい、どうしました?」 子猫のカレンは首を傾げる。 すると、突然、アルフレッドは銀狐の姿から人間に戻った。 「―――抱きしめたくなった」 アルフレッドは両腕を伸ばして、子猫のカレンを抱き上げる。 そして、ギューッと抱き締めた後、目線が合う高さまでカレンを持ち上げた。 「カレン、痛いところはないか。水面に打ち付けられただろう?」 「あ~、いえ、落ちた時の記憶はなくて……。ただ、どこも痛くないので、大丈夫だと……」 大好きな相手から、真っ直ぐ見つめられて、子猫は動揺する
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銀狐と子猫 8

「手伝いたいのなら勝手にすればいいだろ。俺はカレンと二人で行く」 アルフレッドは銀狐の集団に色々言われても全く動じない。「ああ、もう若いんだから」「一人で突っ走るタイプはだいたい失敗してしまうんじゃ!」「もう、勝手にさせたらいいじゃん。あたしたちはこのまま別行動で行こうよ!」(ダメだ~、会話が早すぎて、誰が何を言っているのかが分からない!!)「カレン、こいつらのことは気にしなくていい」 アルフレッドはカレンに向かって優しく話し掛けた。 一方、五頭の銀狐たちには厳しい態度を取る。「無闇に俺たちに近づくな!!」(え、怒鳴った! 殿下が強いの? 一番、若造っぽいのに!?)「群れるな! 口を閉じろ! 敵に勘づかれるだろ!」 アルフレッドの強気な姿勢にカレンはハラハラしてしまう。「ああ、分かった、分かった!! 散るから! 俺たちは遠くからカレンさまの護衛を務める。それでいいか、アル?」「―――ああ、そうしてくれ」 アルフレッドが渋々了承すると、銀狐たちは一斉に四方八方へ散っていった。「ああ、もう、時間を無駄にした。最初から黙って護衛していればいいものを!!」「まあ、お手伝いに来て下さったようですし、そんなに悪く言わなくても……」「お手伝い? あいつらはカレンのことを見たかっただけだ!」(私を見たかったって……、どういう意味? 殿下に釣り合うかとか、そういう見極め的な……? こういう状況で、そういうのはお断りしたいけど……) カレンは真面目に考え込んでしまう。「そんなに悩まなくてもいい。理由は君が可愛いからだ」「―――可愛いから!? 流石にそんな理由ではないでしょう?」「さあ~、急いで目的地へ向かうぞ!」 アルフレッドはカレンの質問をはぐらかすと「遅れを取り戻す」と言って、再び、風を切
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