松田家。英樹が病院から戻ると、そこには柚葉と彼女の両親がいた。柚葉の両親は娘を見て、あきれ果てたような表情を浮かべている。柚葉の母親である百合が口を開いた。「柚葉、あなた何考えてるの?自分の将来どころか、お爺様のことまで巻き込むなんて」「結果、大丈夫だったでしょ?」柚葉が言い返す。「そもそも、私は情報なんて漏らしてないし、本当に漏らしていたとしたら、今ごろここにいられると思う?それに、お爺様……」柚葉は見るからに高級そうな椅子に座る祖父を見やり、俯いた。「ごめんなさい、お爺様」続けて隆平も柚葉に聞いた。「それにしても、なんで谷口社長からあんな大金をもらってたんだ?俺たちが渡しているだけじゃ足りなかったのか?」「足りるわけないでしょ」柚葉が反論する。「今は昔と違うんだから、お父さんたちがくれるだけじゃ生活するだけで精一杯」百合は呆れた顔をして言った。「まるで、私たちが悪いみたいじゃない。私たちの稼ぎが、あなたに月6000万もあげられないほど少なくて、ごめんなさいね」柚葉の眉間に皺がよる。「そんなこと言ってないでしょ?」「言ってなくても、そう思ってるんじゃない」柚葉は両親と過ごした時間が少なく、もともと深い情があったわけではなかった。そんな中で突然、両親から問い詰められ責め立てられた彼女は、とっさに祖父の後ろへ身を隠すようにして逃げ込んだ。「私を育ててくれたのは、お爺様なの。だから、私を怒る資格があるのはお爺様だけ」隆平は怒りを露わにする。自分たちだって、柚葉を育てたくなかったわけじゃない。柚葉が自分たちを選ばなかったのだ。幼い頃から才気があった柚葉を英樹が引き取りたがった際、両親は迷いつつも娘の選択に任せることにした。そして、幼い柚葉はこう言った。「お父さんとお母さんよりお爺様の方が凄いし、私のことを助けてくれる。だから、私はお爺様と一緒に住むね」当時、二人は娘の考え方が少し歪んでいるのではないかと感じた。自分たちの育て方に何か問題があったのかもしれない――そう考え、いっそ英樹のもとで育った方が、柚葉のためになるのではないかと考えたのだ。ところが実際は逆で、年を重ねるほどに増長していった。案の定、今ではこんなことになっている……隆平は言った。「もうマイクロチップ開発プロジェクトから
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