それはつまり、これから凛が迎える冬には、いつも海斗がいるということだ。「ずっとそばにいる」そんなありふれた言葉より、凛には海斗の「一緒に胡蝶蘭が咲くのを見よう」のほうがずっと心に響いた。凛は小さく微笑んだ。さっきまで「子どもがいる家であまりくっつくのはよくない」と思っていたくせに、今度は自分から海斗を抱きしめる。「海斗。今の言葉、ちゃんと守ってくれる?」「もちろん」海斗も腕を回した。「凛との約束なら、なおさらだ」凛はふと思い出したように言う。「前に、恋人としてでも家族としてでも友達としてでも、欲しいものは全部海斗に求めていいって言ったよね?」海斗は凛をさらに強く抱き寄せた。「ああ。だから教えてくれ。何が欲しい?」「もう、もらったよ」「何を?」「海斗がそばにいてくれること」海斗の胸の奥が、どうしようもなく柔らかくなる。凛のうなじを軽く揉むように撫で、低い声で囁いた。「……そんなこと言って、今夜どうなっても知らないからな」B市でのことが一気に蘇った。海斗の身体を思い出しただけで、凛はまだ内腿がかすかに痛むような気さえする。すぐに海斗を押し返し、少し乱れた髪を整えた。「今日は自分の家に帰って」海斗は不満そうに舌を鳴らした。「A市に戻った途端、遠距離か」凛は目を丸くする。「どこが遠距離なの?」「区が違う」「……」海斗にとっては、一緒に住んでいなければ全部遠距離らしい。あまりにも真顔で言うものだから、凛はとうとう吹き出した。「やること山ほどあるんだから、いい加減、仕事モードに戻らないと。私も明日から仕事が一つ増えるし」授業が始まるのは明後日だが、その前に明日の午後、大学で会議があった。翌日、海斗はわざわざ午後の予定を空け、自分で車を運転して凛を大学まで送った。凛の研究室はすでに使える状態になっていたため、そこで待つよう凛が勧めたものの、研究室と会議が行われる建物が少し離れていたから、海斗は断り、会議室のある建物で待つことにした。待ち時間は2時間。とはいえ、ただ座っていたわけではなく、携帯やパソコンで会社の仕事をかなり片づけ、ときどき腕時計に目をやって時間を確認する。その途中には、人を使ってスイーツや軽食まで届けさせていた。やがてエレベーターから人が出てくるのが見えると、海斗は組んでいた脚を
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