智也はあくまで紳士的に、全員分のお茶を淹れる。「どうぞ」柚葉の両親は気乗りしない様子だったが、梨花は悠然としていた。百合が先に本題を切り出した。「智也さん、娘の妊娠の件は当然ご存知だと思いますが、谷口家としてはどう考えているのでしょうか?娘が籍も入れずに、あの子の子どもを産むなんてことは、こちらとしても受け入れられませんので」智也が答えようとしたところへ、梨花が笑って、話を遮る。「あら、子どもを使って息子を縛ろうというんですか?妊娠したことはどちらにも責任があると思います。なのに、その子どもを使って谷口家の敷居をまたごうなんて虫が良すぎると思いません?我が家が嫁として認めるのは、凛ただ一人です。あなたたちの娘さんのどこが凛にまさっているというんですか?」柚葉は膝の上で手をきつく握り、攻撃的な眼差しを梨花に向けた。しかし、梨花はどこ吹く風。こちらは柚葉の弱みを握っているのだ。最後に主導権を握るのはどちらか、思い知らせてやればいい。娘を貶された隆平は怒りを露わにする。「なんてことを言うんですか!」そう言って席を立つと、百合と柚葉に視線を向けた。「もう帰るぞ。お前がどうしてもその子を産みたいと言うなら、俺と百合で育ててやる」智也は眉をひそめ、梨花をたしなめた。柚葉は智也の言葉を期待して切なげに見つめるが、彼はまたしても沈黙を守った。「智也、あなたは黙っていなさい」梨花が智也に言い返す。いつまで経っても柚葉が動こうとしないため、柚葉の両親は再び座り直すしかなかった。梨花も智也を座らせる。今度は柚葉が切り出した。「梨花さん、私のお腹にいるのは谷口家の子どもなんです。ずっと智也との子どもを望んでいたんじゃないんですか?」梨花は湯呑みに口をつけ、淡々と言った。「ええ。私たちはその子が欲しい」柚葉の表情がパッと明るくなる。「でもね……」梨花は態度を一変させ、軽蔑の眼差しを柚葉に突き刺した。「籍を入れないで、ただ子どもを産んでくれるっていうなら、こちらとしても感謝の意を示すわ」「何言ってるんだ!」と隆平が激昂する。そうして、智也に向かって言った。「男の君に、何か意見はないのか!」智也は昨晩の酒が抜けた今朝、もう心を決めていた。この子供を産ませてはいけない。将来、凛と自分の間にだって子供はできるのだ
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