「もう寝てる」じゃあ、切るよ?」「切らなきゃ駄目か?」凛は少し考えて、さっき美穂子が持ってきてくれた充電器に目をやった。白い充電器はベッド脇のコンセントに差し込まれ、ケーブルがこちらまで伸びている。「充電器を持ってるか聞いたのって、このため?」「うん」海斗は悪びれもせず認めた。結局、凛は電話を切らずに、今夜撮った3枚の写真を海斗から送ってもらった。その中から海斗の横顔が写った1枚を選び、さらに海斗の投稿をスクリーンショットした。名前とアイコンは切り取り、写真と文章だけを残して自分のSNSに投稿する。添えた言葉は――【許可しました】投稿を終えると、そのまま眠りについた。隣の部屋でそれを目にした海斗は、嬉しさのあまり一睡もできなかった。すぐに凛の投稿をスクリーンショットし、同じように名前とアイコンを消して、また自分のSNSに載せた。普段は1年に1度投稿するかどうかという男が、一晩で2回。しかも同じ内容の投稿だ。翌朝それを目にした恵と理央は、言葉にせずとも同じことを思った。社長が冷淡で口が悪くて強引で、女心なんて分からないって言ったの、誰?好きな人が相手なら、誰よりも女心が分かってるじゃない!一方、柊病院を出た隆も、瑶子に話していた。「凛さんがようやく海斗と付き合うことにしたらしい。海斗のやつ、一晩で2回も投稿してたぞ。プライベートも仕事用も両方」瑶子は夫を見て、嬉しそうに笑った。「よかったわね」隆もうなずく。「ああ、本当によかった」長年の心配事が、一つ解決に向かいそうだ。凛がいなければ、息子は一生独身なのではないかと本気で心配していたのだから。二人はそのまま南山ヒルズ1号棟へ向かった。凛はすでに起きていて、髪を一つにまとめ、キッチンでお湯を注いでいた。足音に気づいて振り返る。「隆さん、瑶子さん。おはようございます」これまでは二人の前でも比較的自然に振る舞えていた凛なのに、今朝はどことなくぎこちない。海斗と付き合い始めたことで、自分の立場を意識してしまうのだ。もっとも隆と瑶子からすれば、凛は最初から未来の嫁候補で、あとは息子がいつ口説き落とせるか、それだけの問題だった。「おはよう、凛さん」瑶子は近づいてきて聞いた。「昨夜はよく眠れた?」「はい。よく眠れました」海斗が夢に
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