隆は、海斗に隠し通せるとは思っていなかった。「クラウドルートだ」その名を聞いた瞬間、日和まで息を詰めた。クラウドルート国際貿易は、竹内グループ最大の海外貿易子会社だ。つまり駆の一家は、帰国早々、竹内グループの海外事業を丸ごと押さえようとしている。隆が具体的な役職を口にしなかったということは、狙いはクラウドルート国際貿易の社長の座だろう。海斗はさらりと言い放った。「無理だな。駆がクラウドルートの経営に口を出したいなら、実力で俺を納得させろ。話はそれからだ」日和は何度もうなずいた。隆と瑶子は何も言わなかった。竹内グループには数多くの子会社がある。かつての遺言では、長女と次女は株式を相続するものの、経営には直接関与しないことになっていた。四男一家、つまり禎一家も株式を相続しているが、経営参加については曖昧なまま。その後、息子が成人すると、一家そろって海外へ渡っていた。表向きは息子の留学に付き添うためだったが、それが本当の理由だったのかは以前から疑われていた。そして今回、帰国するなり竹内グループの海外事業の要を押さえようとしている。こうなれば、留学への付き添いが建前だったことはほぼ間違いない。海斗は立ち上がり、両親と日和を見た。「明日の朝8時、みんなで朝飯を食べよう」普段竹内家の朝食は7時なのだが、わざわざ8時にした理由は、朝が極端に弱い日和に合わせたためだ。本人もそれは分かっているが、それでも日和は口を尖らせた。「8時でも早すぎるよ」海斗が冷たい目を向ける。「起きられないのか?」「起きる!起きるって!」海斗はそのまま自室へ戻っていった。海斗の姿が見えなくなるやいなや、日和は勢いよく両親を振り返った。「絶対なんかある!お兄ちゃんがわざわざ家族全員そろって朝ご飯食べようなんて、絶対なんかあるって!」隆と瑶子は笑いながら、明日の朝を少し楽しみにしていた。翌朝7時55分。身支度を整えた隆と瑶子がダイニングへ向かう。日和も眠そうに目をこすり、大きなあくびをしながらやってきた。ところが、言い出した本人の姿がないため、日和は腰に手を当てた。「お兄ちゃんは?私たち全員来てるのに、お兄ちゃんだけきてないの?」「朝からうるさい」背後から響く海斗の声。振り返った日和は自分の目を疑った。海斗はいつもどおり隙の
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