物音に気づいた海斗が尋ねた。「何をしてるんだ?」「ちょっと荷物の整理を」凛自身、何のために引っ張り出しているのか分かっていなかったが、箱の中身をすべて目の前に並べたところで、ふと気づく。自分はやはり、自分の出生のことをどうでもいいとは思えていない。凛は古びたおくるみに目を落とし、ふいに海斗の名を呼んだ。「海斗」「ん?」海斗は一度聞き返したが、すぐに、ただ名前を呼びたかっただけなのだと察し、今度は穏やかに返す。「うん」凛はそっとおくるみを撫でた。自分の誕生を祝うために用意された青いおくるみではないが、凍えるような寒さの中に捨てられた自分を、唯一暖めてくれたもの。「私の出生について、海斗のほうが私よりいろいろ知ってるんだよね」「ああ」瑶子に言われたことを思い出し、海斗は凛に問い返した。「聞きたい?」凛はしばらく黙った。「帰ってから聞く。今は普通に、楽しくお正月を過ごしたいから」「分かった」竹内家の皆の予想に反して、凛はその夜、海斗と本当に長電話をした。というより、音声通話をつないだまま眠ってしまい、結局一晩中つながっていた。最初に目が覚めたのは海斗だった。身支度の音で凛を起こさないよう携帯を消音モードにし、どこへ行くにも携帯を持ち歩いた。やがて通話が切れ、画面には相手側の通信が不安定になったと表示された。目を覚ました凛は、昨夜からずっと海斗と通話したままだったことを思い出し、真っ先に携帯へ手を伸ばす。だが電源が落ちていた。充電して電源を入れると、通話時間は11時間。長い……こんなことをしたのは初めてだった。でも、またやりたい。凛はメッセージを送った。【起きた】すぐに音声通話がかかってきた。そんな調子で、年末から正月にかけて、二人は電話をしているか、写真や動画を送り合っているかのどちらかだった。内容は何でもよく、時には空に浮かぶ雲の写真まで送り合った。凛が送るのは子供たちや景色ばかりで、海斗が送ってくるのはダイトやコマキ、それから何かと騒がしい日和の写真ばかりだった。日和も、しょっちゅう海斗の写真を凛へ送りつけてくる。それで凛は知ったのだが、休みといっても海斗には関係がないらしい。場所が変わるだけで、会社のこと、それに一族のことまで相変わらず激務だった。それでも海斗は忙しい合間を縫
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