完膚なきまでに言い負かされ、和真は完全に言葉を失った。目の前にいる実花は、薄く冷笑を浮かべている。かつての大人しく従順だった妻とはまるで違うその姿が、なぜか彼の目には、不覚にも『魅力的』に映ってしまったのだ。和真は頭を振り、その馬鹿げた思考を必死に追い出した。そして、わざと乱暴な口調で捨て台词を吐いた。「わかったよ!そこまで言うなら、せいぜい真面目にやることだな。これ以上、瀬戸家の名前に傷がつくような真似だけは絶対にするなよ!」---その日の実花の作業は、いつもより少し早く終わった。作品の全体像がほぼ形になりつつあるため、ここ二日ほどは彼女も精神的にかなりリラックスできていた。右手の怪我もほぼ順調に回復しており、長時間酷使したり重い物を持ったりしなければ、外見からはほとんど異常が分からないレベルにまでなっていた。実花がアトリエのゲートを出ると、なんと外で和真が待っていた。実花の姿を見つけた瞬間、和真の目はパッと輝き、大股で彼女に歩み寄ってきた。「実花、終わったのか?今夜、一緒に食事でもどうだ?」実花は心底不可解に思い、呆れたような視線を彼に向けた。瀬戸グループのトップともあろう人間が、こんな所でわざわざ出待ちをするほど暇なのだろうか?「結構よ。用事があるから」「実花、もうあんなに騒いだんだし、そろそろ機嫌を直してもいい頃だろう?ほら、今だって君がアートコンクールに出ることは『許可』しているし、こうしてずっと外で暮らしていることも『大目に見てやってる』じゃないか」和真は自信ありげに言葉を継いだ。「それに、最近は離婚だなんて言わなくなったしな」『許可する』、『大目に見る』。その高圧的な言葉のチョイスが、実花の越えてはならない一線を的確に踏みにじっていく。それに、彼の様子を見る限り、美佐子はまだ彼に『すでに離婚協議書にサインが済んでいる』事実を伝えていないようだ。そう気づくと、実花は和真を奇妙なものを見るような目つきで見つめ返し、果ては少しばかりの同情すら覚えてしまった。彼を取り巻く女たちは、みんな彼に嘘をついている。……それは、彼の実の母親でさえも例外ではないのだから。「行かないって言ってるでしょ。もうすぐ最終審査だから、夜も準備があるの」これ以上和真と関わって時間を無駄にす
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