バックライトが灯り、画面には『Lonely Me』というタイトルの作品が表示される。征二郎の視線が、その画面に釘付けになった。最初は気軽な気持ちで覗き込んでいた様子だったが、すぐに表情から余裕が消える。傍らに茶碗を置き、無意識に身を乗り出すと、その眼差しは次第に鋭く、深く沈んでいった。食卓を、数秒の静寂が支配する。「……見事だ」征二郎が低く呟いた。顔を上げたその瞳には、隠しきれない賞賛の光が宿っている。「実に見事な画だ」彼は画面の一箇所を指差し、いつになく重みのある口調で言った。「この明暗の対比(コントラスト)は実に巧みだ。これほど自在に色を操るには、相応の歳月をかけた鍛錬が必要なはず。失礼ながら、君のような若さで辿り着ける境地ではない」そう言って、征二郎は「全く、底知れぬ才を持った若者がいたものだな」と感慨深げに息を吐いた。実花はただ、「ありがとうございます」と静かに会釈を返した。それが七年も前の……今に比べればまだ技術が未熟だった頃の作品であることは、あえて口には出さなかった。征二郎はスマートフォンを向かい側の湊の方へ向けると、楽しげに笑いかけた。「湊くん、君も見ておきなさい」画面が湊の瞳に映った瞬間、彼の呼吸がわずかに止まった。キャンバスから溢れ出す圧倒的な『孤独』。それは、湊が心の奥底に封印し続けてきた、ある古い記憶の断片に酷似していた。胸の奥を、何かで不意に突かれたような衝撃。彼はそれ以上直視することができず、視線を逸らすと、絞り出すような声で一言だけ告げた。「……素晴らしい画ですね」二人の間に流れる微妙な空気を察してか、征二郎はそれ以上深追いせず、朗らかに声を上げた。「さあ、まずは食事にしよう。このスープは裏方が七、八時間もかけて煮込んだものでね、今がちょうど最高の火加減だ。実花さん、遠慮せずたくさん飲みなさい」宴席も終盤に差し掛かった頃、少し疲れを覚えた征二郎は先に自室へ戻ることになり、実花を玄関まで見送るよう湊に言い残した。二人は前後して客間を出て、静寂に包まれた夜の庭園へと足を踏み入れた。青白い月光が水面のごとく降り注ぎ、ししおどしから溢れるかすかな水音が、かえって夜の静けさを際立たせている。「征二郎様は、ずいぶんと君を気に掛けている様子だったな」並んで歩きながら、湊が
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