ドラゴンが島に巣食った直後は、湖はそれほど危険な場所では無かった。 しかし大きなガルドルは、それを持つ者が周辺への影響をコントロールせずにおくと、ガルドリングを起こす。 強大な存在であるドラゴンは当然のようにガルドルも大きいのだが、ファンタズマは敢えて周辺をガルドリングさせ、妖魔化した生き物を自身の傘下へと引き込む本能を持つ。 その結果、湖はモンスターの巣窟へと変貌した。 そんな場所にある麓の町がガルドリングされていないのは、町に降りた時に相談を持ちかけられたので、アークがガルドリングを防ぐ印を主要な場所に刻みつけたからだ。 それは町の人々を守ってやりたいと思ったからではなく、ただアークが人恋しい時に人の気配を感じるために、麓の町が無くなっては不便だと思ったからだった。 アークの実力を持ってすれば、ガルドリングを完全に防ぐ…どころか、指先一つでドラゴンを島に封じ込めることすら可能だったが、それはしなかった。 なぜ、あえて手間と面倒が掛かり、更に効能が頼りない方法を選んだのかと言うと、アークはドラゴンに対して、個人的に全くなんの関心も無かったのが大きな理由だった。 こちらから一方的に、ドラゴンに喧嘩を仕掛けるような〝面倒〟に巻き込まれることを避けた…と言ったほうがいいかもしれない。 更に、町のリオン達にアークの能力を推し量られたくなかった。 故に、わざと〝頼りない〟風を装って、町に居る人々がギリギリでガルドリングしない、必要最低限の防壁を作ってやった。 だが湖を渡るとなれば、ガルドリングを防ぐだけでは済まない。 ドラゴンの傘下となったモンスターが、行く手を阻んでくるからだ。 元々湖に生息していた魚類が妖魔化したモンスターは、水中行動が得意である。 ドラゴンが棲まう以前、島からの産出物を利便良く運ぶために、岸と島とを繋ぐ橋があったがモンスターの巣窟となった時にその橋は失われてしまった。 いくら街道を整備しようと、標高の高いこの町に軍艦を運び込むのは至難の業であり、モンスターの巣食う湖畔に造船所を作ることも出来ない。 湖を渡る術を持つのは、山の上の〝隠者のビショップ〟だけだ。 となれば、リオン達は必ずアークの助力を請うてくる。 そうして申し出て
آخر تحديث : 2026-04-05 اقرأ المزيد