「モンスター……じゃなさそうだな……」 向かった先には、複数の生き物の気配がする。 わざわざ術を使って探るまでもなく、樹木の合間からうじゃうじゃとした獣の姿が見て取れた。 群れが意識を向けている方を伺うと、人影がある。 革鎧と剣身が長めのバスタードソードといった身なりから察するに、戦士だ。(かなりデッカい群れだが……。集団で動く四足の獣なら、頭目をツブせば崩れる……、はず) 声には出さずクロスは思考する。 統率の取れた集団らしく、嗅覚に優れているであろう獣達なのに、近づいたクロスに気を散らしもしない。「こりゃあ、ヒョロガリもやしとナメられたか……?」 やはり声には出さずに思考し、クロスは自分が有利に術を使える場所に移動しようとした。「…………あっ!」 二匹の若い獣が、フェディンに向かって飛び掛かっていく。 自分が足場を固める余裕ぐらいあるだろうと高を括っていたクロスは、急な展開に狼狽えたが。 身を翻したフェディンは初手に踊りかかった一匹を薙ぎ払い、続いた二匹目も一閃のもとに切り捨てる。 的確で力強い見事な剣さばきにクロスは思わず足を止め、感嘆と安堵の吐息をもらした。 しかし群れなした獣たちは次々と、間を置かずにフェディンに攻撃を掛けていく。 応戦しているフェディンの剣技は目覚ましいものだったが、なにしろ獣の数が多過ぎる。 このままでは、一人きりのフェディンが窮するのは、考えるまでもないだろう。 クロスは素早く空に陣を描き出した。 セイドラーが術を行使するには、呪文にガルドルを込める必要がある。 方法は、声にガルドルを乗せて唱えるチャント、指先にガルドルを集めて空に描くサークル、特殊な道具を用いてガルドルを描写する印の三種だ。 一つのスペルを直接的に発動させる場合は、チャントの方が圧倒的に早いが、複数のスペルを組み合わせる場合は、セイドラーの技量や性格によって、チャントかサークルのどちらかを選択することになる。 そしてセイドラーとしての技量は、誰にも引けを取らないと自負しているクロスは、誰よりも素早くサークルを構築し、最速で発動させられる自信があった。「ファイアとトラッキング……、着弾した時の爆発は狭い範囲で、威力は最大に……と……」 顕現した炎は、即座に鳥の姿を模
آخر تحديث : 2026-04-24 اقرأ المزيد