オークションパーティーは、優雅な音楽に包まれながら幕を開けた。絃葉と悠は会場の隅に置かれた革張りのソファに腰掛け、グラスを交わす人々を眺めながら、ひときわ注目を集める凪杜と野々花へ視線を向けた。「見てよ、あの得意げな顔」悠は声を潜め、忌々しそうに言った。「本気で成功者気取りね。あの女を連れ回して見せびらかして、自分がどれだけ羽振りがいいか知らしめたいんでしょ」絃葉はグラスを軽く揺らしながら、穏やかな口調で答えた。「もともと見栄っ張りな人だから。今はきっと、みんなにもてはやされる気分を満喫してるんでしょう」「細谷にたった一か月で重要顧客を3社も奪われたのに、まだこんなに派手に振る舞えるなんて。危機感ゼロじゃない」悠は首をかしげた。絃葉は目を伏せ、静かに言った。「澤木グループはこの2年で急拡大したの。インターネット事業だけでも十分な利益を上げているし、それに......」そこで言葉を切り、グラスの縁を指先でなぞる。「彼が育て上げた中核技術チームは、みんな彼に忠誠を誓っている人たちだから」悠は鼻で笑った。「だから気前よく6億円をあなたに渡したかと思えば、その足で野々花に市内中心部のマンションを買ってあげられるのね。見てよ、あのドレスだけでも1600万円はするわ」絃葉は薄く笑みを浮かべた。「前は彼の資産なんて気にしたこともなかった。でも細谷グループで働き始めて、ネット業界の利益がどれほど大きいか初めて知ったの」「でも残念ね」悠は冷ややかに言った。「どれだけ金があっても、人間性だけは買えない」絃葉はグラスを回しながら、淡々と口を開いた。「もうどうでもいいわ。私と彼はとっくに......終わってるもの」「どうでもよくなんかない!」悠は声を潜めたまま悔しそうに言った。「まだ別れてくれないんでしょう?だったらこの機会に慰謝料でも何でも、もっとたくさん取るべきよ!少なくともこの4年間を無駄にした分くらいは」絃葉は思わず笑った。「西尾グループそのものが私のものなのに、彼のお金なんて必要かしら?」悠は彼女のおでこを軽く弾いた。「お金はいくらあっても困らないでしょ。いらないなら寄付したっていいし、それでも余るなら私に使わせて。あの二人の懐に入るよりずっとマシよ」絃葉は口元をほ
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