二人の誘拐犯の言い争いが、ぴたりと止んだ。次の瞬間、二人の視線が一斉に絃葉へ向けられる。「今言ったのは、本当か?」絃葉は力強くうなずいた。「私を解放して、黒幕が誰なのか教えてくれれば、お金はいくらでも払うわ」二人をじっと見つめたまま、悟られぬようさらに条件を上乗せする。「足を洗って、まともな仕事に就きたいなら、それも私が手配する。こんな状況で嘘をつく理由なんてないでしょう。もし約束を破ったら、そのときはまた私を誘拐すればいいから!どう?」二人は即座に意見を一致させ、そろって絃葉に歩み寄った。左右から絃葉の前にしゃがみ込み、その視線を何度も彼女の全身に這わせる。何を考えているのか、表情からはまるで読み取れない。二人の意図を推し量れず、絃葉は頭皮がしびれ、背筋が凍りつくような恐怖を覚えた......――凪杜は待ち合わせ場所を目指し、車を猛スピードで走らせていた。その助手席では、野々花が休むことなくしゃべり続けている。「あの女はきっとお金に困ってるから、あえて自分で誘拐を仕組んだのよ。凪杜からお金を騙し取るために。それに凪杜、会社は今あちこちから融資を受けて、どうにか資金を回してる状態でしょう?もう彼女のことには関わらない方がいいよ。社員からも不満が噴き出してるし、顧客の半分以上は細谷に奪われた。あの女は明らかに、凪杜の会社を潰そうとしてるのよ。まだ分からないの?那乃葉は何とか脚を失わずに済んだけど、これからの治療にも大金がかかるの。私のためじゃなくても、那乃葉のことを考えてあげて?」「......」凪杜の顔は怒りで青ざめ、車の速度も無意識のうちに落ちていった。心の中では、激しい葛藤が渦巻いている。「黙れ!絃葉が顧客を引き抜いたのは、俺が黙認したからだ!彼女は俺を陥れようとしてるんじゃない。助けてくれてるんだ!これ以上くだらないことを言うなら、車から降りろ」「......」ハンドルを握る凪杜の手には青筋が浮かび、額からは冷や汗が絶えずにじんでいた。ナビでは1時間で着くはずの距離だったが、2時間近く走っても、まだ半分しか進んでいない。野々花の話はうるさくて仕方なかったが、ここ数日、彼女から同じことを繰り返し吹き込まれ続けたせいで、凪杜の心が揺らいだのも事実だった。彼は、絃葉はいずれ自
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