口をそろえて絃葉を酷評する声を聞き、優奈はますます得意になった。彼女はわざと皆の見ている前で絃葉のもとへ歩み寄り、頭の先からつま先まで値踏みするように眺めてから、にこやかに言った。「絃葉、西尾グループの東地域社長になったって聞いたよ。おめでとう」絃葉は淡々と彼女を見た。「ありがとう。まだまだ新参者ですから、これからいろいろ教えてもらえると嬉しいわ」優奈はシャンパングラスを手に、自信と誇りに満ちた笑みを浮かべた。「そんな若さで大役を任された人に、私が教えられることなんてないわ。それにしても、絃葉はずっと芸術活動をしていたんでしょう?先代もずいぶん思い切ったものね。これほど大きな会社を、芸術家に任せるなんて」その言葉を聞き、背後にいた女性経営者たちがすぐに忍び笑いを漏らした。優奈は勢いに乗って、さらに畳みかける。「芸術界から経済界への転身なんて、ずいぶん大きな挑戦よね。西尾グループの東地域における今後の展開について、何かご高説でも聞かせてもらえるのかしら?」絃葉は落ち着いた表情で口を開こうとした。すると、つい先ほどまで優奈と親しげに話していた女性経営者たちが、すぐさま彼女を取り囲んだ。そのうちの一人が笑いながら同調する。「私たちも、就任されたばかりの西尾社長が、東地域での事業展開をどうお考えなのか、ぜひ伺いたいです。少し詳しくお話しいただけませんか?」「そうですね。新任のトップは、就任早々に大胆な改革へ乗り出すものですもの。西尾社長が最初にどの分野へメスを入れるおつもりなのか、私たちも提携の機会を楽しみにしております」「このあと歓談の時間がありますから、主催者にお願いして、西尾社長にも壇上でお話しいただいてはいかがかしら?」周囲からたちまち含み笑いが起こった。どの言葉にも皮肉が込められており、ひどく耳障りだった。いつの間にか絃葉の隣に立っていた蒼生は、彼女に向けられる嫌味を聞き、思わず助け舟を出した。「西尾社長は東地域の業務を引き継いだばかりで、現在は各事業の把握を進めているところです。全体を十分に理解した暁には、皆様にも必ず見解をお伝えできるでしょう。今すぐ結論を急ぐ必要はないかと存じます」優奈は鼻で笑った。「就任してから、のんびり業務を覚えればいいというものではないでしょう。役職に就けば見識
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